おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です
節税のために経営セーフティ共済に加入するフリーランスの皆さんもたくさんいらっしゃるでしょう。1年目に前納をした人は、2年目以降も前納手続きをしなければ、節税の恩恵があまり受けられない事態になるかもしれません。ご注意を!
経営セーフティ共済(倒産防止共済)とは
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。もし取引先が倒産し、債権が回収困難になった時は、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れできるんですよ。そしてその掛金(月5,000円~200,000円まで選択できる)は、損金または必要経費に算入できることから、節税目的に利用をする企業・人もたくさんいます。
1年目前納した場合、2年めに何の手続きもしないと、1ヶ月分の掛金しか経費参入できない
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)には、掛金の前納という仕組みがあります。前納掛金は前納期間が1年以内であるものは、支払期の損金または必要経費として算入できますので、この制度を使って(だいたいは年度末ギリギリに)前納をするという人が結構います(僕もその口です)。
1年目はそれでいいのですが、注意しなければならないのは2年目です。1年目の前納分の掛金は、11ヶ月後に(下記の図のように1年目の12月に前納した場合は、2年目の11月分をもって)充当が完了します。経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は原則が月払いですから、このときに何の手続きもしなければ、2年目の12月以降は掛金月額が口座振替によって引き落とされる、ということになります。
これはつまり、2年目に何の手続きもしなければ、2年目に経費参入できるのは1ヶ月分の掛金だけということになり、2年目の節税効果は限られたものになります。
2年目も前納の手続きをすると、12ヶ月分を経費参入可能
2年目も前納の手続きをして、1年分の支払いを行えば、2年目も12ヶ月分をその年の経費に参入ができます。2年目以降もこの手続きを毎年やらないと、上記のような月額払いになってしまいますので、毎年前納をしたいという人は、毎年手続きが必要です。(年払いという制度を作ってくれたらいいんですけどね)
「掛金前納預かり分充当終了のお知らせ」でリマインドしてくれる
年に1回のことなので、手続きを忘れそうですよね。そういう人のためか、中小機構はちゃんとリマインドのはがきを送ってきてくれます。これがきたら、前納の手続きをすることを思い出しましょうね。(1年に1回だと、それさえも忘れてしまいそうですが……?)
2年目も1年分の前納手続きをする場合は、上記のはがきに書いているように、前納希望月の5日までに、「前納申込書」が中小機構に到着しているように手続きをしなければなりません。前納申込書は、登録取扱機関に提出することになります。
手続きがきちんとできていれば、前納希望月の27日に、指定の口座から前納額の全額が引き落とされます。残高があるかどうかきちんと確かめておきましょう。(引き落としができないと経費に参入されないかもしれません)
もし2年目以降の手続きを忘れてしまっても、しっかりと前向きに生きよう(?)
とはいえ人間なので、手続きを忘れてしまうことだってあると思います。残念ながら手続きを期日までにしなければ、確かにその年の経費参入額は限られたものになりますが、長い目で見ると節税効果は変わらないものです。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、経費にして納税を先延ばしにしているだけですから(課税の繰延)、先延ばしにした分は後から納税をしないといけません。ですので、2年目に前納しようがしまいが、最終的に支払うべき税額はそれほど変わらないということを意識しておく必要があります(解約時に大幅な赤字などになれば別ですが)。そういう意味では、厳密に言うと経営セーフティ共済は「節税策」というよりも、「先延ばし策」というほうが適切かもしれません。また、忘れてしまった場合は1年分のキャッシュ(掛金満額の場合は240万円)が懐から出ていかないので、資金繰りの心配も薄くなりますね。
ですので、忘れてしまっても、税額はトータルではほとんど変わらない上、キャッシュも安定するのだと前向きに(?)生きていきましょう(^_^;)