今、3件ほど「早期経営改善計画」の支援をしています。この制度、「メリットがなかなかわかりにくい」という、ちょっと不思議な制度なんです。
「早期経営改善計画」とは何か
僕なりに簡単に言うと「今後の資金繰り改善のため、認定支援機関のサポートを得ながら事業計画書を作成し、銀行と共有する制度。その取り組みに対して、国から補助金(最大20万円)がもらえる」という感じでしょうか。
2017年5月からスタートした制度で、会社版「人間ドック」というふうに、TKCのホームページでは表現されていました。中小企業庁金融課の茂木高志課長補佐によると、この制度には次のような目的があるそうです。
「リスケを繰り返すような状況になる前に経営者自らが経営課題を発見し、それに適切な対応をとる、いわば『早期発見、早期治療』による効果的な経営改善を推進するのが、この事業の目的です」
「早期経営改善計画」に取り組むメリットは?
これが……正直なところ、よくわからないんですよね(^_^;)
この制度に取り組むことを、僕の支援先企業の取引銀行の担当者に話をしたところ、
「で、その制度は、企業や銀行にとって、どんなメリットがあるんですか?」
と逆に聞かれました。
事業計画書の中には予測PL、予測BSだけでなく、返済計画表なんかも盛り込んで銀行と共有するのだから、銀行としても借入金・利息完済のための具体的な道筋が見えるという点でメリットはあると思うのですが、当の銀行がその制度・メリットを認識していないんですよね。。
もしかして、そんな計画を作って銀行と共有しても、銀行としては「ふ~ん」で終わっちゃうのかな?企業側としては、銀行に「こうやってちゃんと返済しますから!」と明言し、信頼を得ることで、これからもよしなにしてもらえることを期待して、この制度を使っているんだけどな。
(また確かに「この制度を使っても、銀行からの融資が得られるという確約はありません」と、いろんな資料にしつこく書かれているのはわかっているけれども)
経営改善支援センターに言われたこと
ちなみに僕が支援している企業のうち一社は、無償でこの制度を活用することを検討していました(つまり補助金もいらないということ)。
「補助金もらわなくても、この制度を使うことはできるんですよね?」と、経営改善支援センター(窓口となる事務局)に僕が問い合わせをしたところ
「補助金をもらわかったら、その企業にとって、どんなメリットがあるんですか?」
とこれまた逆に聞かれました(^_^;)
センターの方によく話を聞くと、補助金をもらわずに、この制度を使うということはできないのだそうです。
僕はこの制度は、経営の可視化を公的な枠組みでやることで銀行の信頼を得ることがメリットなんだと理解していたけれども、こりゃもしかして補助金がもらえるというのが最大のメリットなのかな……という気がしてきました。
まあそれで企業が喜ぶのであれば、それはそれでいいのだと思いますが。
ちょっと制度に無理がありそう
かといって、銀行の人やセンターの人を非難するつもりは毛頭ありません。むしろ、私も含めて、こういった支援の現場の人たちが「何がメリットなのか」ということを、シンプルに解釈できない制度のほうに問題があるのではないかという気もします。「経営力向上計画」の認定メリットとして、信用保証の別枠化、枠の拡大というものがありますが、こういうほうが銀行にとっても企業にとっても、ずっとシンプルじゃないでしょうかね。
まあ、政治的にはこの「早期経営改善計画」は、405事業といわれる「経営改善計画」の失敗を埋め合わせるために行われたという噂を耳にしますので、このモヤモヤ感の残る制度には、ちょっと複雑な背景があるのかもしれませんが。
(こんなこと書いて大丈夫か!??)