おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
6月26日、経済産業省は持続化給付金の支援対象拡大を正式発表しました。雑所得・給与所得申告者、今年1~3月までの創業者が新たに対象となりました。申請方法・開始日、給付額の計算方法、必要書類等について考察します。
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経済産業省の正式な告知はこちら
「持続化給付金」の拡大対象者は誰?
主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者・フリーランスの場合
まず、主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者・フリーランスの場合は、下記の3点を全て満たす必要あります。
関連
- 雇用契約によらない業務委託契約等に基づく収入であって、雑所得・給与所得として計上されるものを主たる収入として得ており、今後も事業継続する意思がある(※確定申告で事業収入あり→現行制度で申請)
- 今年の対象月の収入が、去年の月平均収入と比べて50%以上減少している
- 2019年以前から被雇用者または被扶養者ではない
いくつか疑問があります。まず「※確定申告で事業収入あり→現行制度で申請」とありますが、確定申告で事業収入が仮に1円でも計上されていれば、今回の処置の対象にはならないのでしょうか。確定申告書告Bに事業収入と給与所得、雑所得が併記して書かれているというケースは割とよくあります(僕もかつてはそうでした)。これがどう扱われるかは申請要領や給付規定などが公開されて確認する必要がありそうです。
また、「2019年以前から被雇用者または被扶養者ではない」という要件があります。これを素直に読むと、2019年以前から(2019年も含んで)、サラリーマンであるが副業等で雑所得・給与所得として確定申告をした人や、被扶養者(おそらく健康保険上の被扶養者)で雑所得・給与所得として確定申告をした人は対象外ということでしょう。これはなかなか理解しがたい要件です。現行の持続化給付金ではこのような条件はありません。なぜそれが給与所得、雑所得で申告をしていたら対象外になるのか疑問に感じます。被雇用者や被扶養者で事業収入として確定申告していた人で、現行制度の持続化給付金を受給した人も確実にいるはずです。このあたりは不公平感を覚える人がたくさんでるのではないかと推察します。
今年1月~3月創業者の場合
今年1月~3月に創業をした個人・法人の場合は、下記を全て満たす必要があるようです。
関連
- (当たり前ですが)今年1月~3月に創業
- 創業月~3月の月平均収入と比べ、対象月(4月以降から選択)の収入が50%以上減少している事業者
「持続化給付金」拡大対象者はいくら給付される?
主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者・フリーランスの場合
要件を満たす場合の計算方法は、下記に示します。前年同月と比べて、前年の月平均収入と比べて収入が50%以上減少している月があれば給付の対象になります。ただしこの時の収入は事業活動からの収入であり、後述する書類をもって額を証明する必要があります。
計算方法は「前年の収入 ー(対象月の収入✕12ヶ月)」で、求められます(2ページ目には。2019年の収入が600万円で、2019年4月の売上が70万円、2020年4月の売上が35万円であった場合の例を下に記します。なお、このケースはフリーランスだけなので上限額100万円が給付額になります。
今年1月~3月創業者の場合
この場合の計算方法は、従来の持続化給付金制度とは異なり、少し複雑です。まず、今年1月~3月の総売上から、創業月~3月の月平均収入を求めます。この平均収入と比べ、対象月(4月以降から選択)の収入が50%以上減少していれば対象になります。
計算方法は「今年1月~3月の総売上÷今年3月までの創業後月数✕6ー対象月の売上✕6」と、割り算と掛け算と引き算が混ざり合っていて複雑です。補助的に( )をつけて計算例を示しました。
「持続化給付金」の拡大対象者はなんの書類が必要になる?
主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者・フリーランスの場合
主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者・フリーランスの場合は、下記の書類が必要です。結構複雑です。
関連
- 前年分の確定申告書
- 今年の対象月の収入がわかる書類(売上台帳等)
- 収入が、業務委託契約等の事業活動からであることを示す書類(以下の1~3の中からいずれか2つを提出。2の源泉徴収票の場合は、1との組み合わせが必須)
- 業務委託等の契約書の写し、 または 契約があったことを示す申立書
- 支払者が発行した支払調書 または 源泉徴収票
- 支払いがあったことを示す通帳の写し
- 国民健康保険証の写し
- 振込先口座通帳の写し、本人確認書類の写し
支払調書と源泉徴収票のイメージを下記に示します。
今年1月~3月創業者の場合
今年1月~3月創業者の場合は「税理士が確認した毎月の収入を証明する書類」が必要とのことです。したがってまずは税理士さんを見つけ、相談をするところから始めましょう。インターネット等で自宅や仕事場の近くにある税理士事務所を探すか、知り合いの経営者に紹介してもらうか、商工会・商工会議所・自治体の中小企業支援センターに相談をして専門家登録している税理士を紹介してもらう、という方法あたりが考えられます。
それ以外にも求められる書類はきっとあると思います。振込先口座の写しや本人確認書類の写しは必要でしょうし、もしかしたら現行の持続化給付金制度の個人特例B-1や法人特例B-6で求められたような、創業日を証明するもの(履歴事項全部証明書や開業届の写しなど)も必要かもしれません。
何が必要かは、申請要領や給付規定などが公開されて確認する必要がありそうです。
「持続化給付金」拡大対象者はいつから申請できる?
6月29日から、オンラインで受付開始のようです。オンラインで対応が難しい場合は、全国に設置した申請サポート会場でも申請が可能です。
これまで報道された内容や、大臣記者会見の内容などを踏まえると、現行の持続化給付金制度の申請とは異なる方法になる可能性もあります。
「持続化給付金」拡大対象者はいつ給付金を受け取ることができる?
公開された資料には次のように書いています。
関連
- 従来よりも、審査に時間を要することが想定されます
- 審査の結果、給付要件を満たさない場合には給付できません
提出書類が多くなることから審査に時間を要するものだと思われます。現行の持続化給付金制度では「概ね2週間を目安」ということでしたが、給付までは2週間を超える可能性を考慮に入れたほうが無難かもしれません。また、現行の持続化給付金制度で初期申請者がなかなか給付されなかったという事例もありますので、審査現場での混乱、意思の不統一などにより、最初のうちはもっと時間がかかる可能性もあるでしょう。