おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
10月30日、下村博文自民党政調会長はBSフジの番組に出演し、新型コロナウイルス対策として低所得世帯に限定した新たな現金給付を検討すると明らかにしました。下村氏の発言を分析・解説します。
『自民・下村政調会長 BS番組で現金追加給付言及 3次補正「10兆~15兆円」』
下村博文自民党政調会長の発言は、10月30日の毎日新聞記事から確認できます。下記に引用します。
下村氏は追加給付案について「今後本当に必要な方々への給付を考えようということになっている」と明かし、対象は感染拡大で収入が減ったかどうかにかかわらず「(住民税の)非課税世帯とか、低所得世帯」とする案があるとした。給付額は今後詰める。年明けの通常国会に提出する3次補正での対応を検討する。一方で「暮れも越せない人には間に合わない」とも述べ、2次補正の予備費活用も視野に入れるとした。
(10月30日 毎日新聞より)
所得制限つきの給付金再給付では「収入が減ったかどうかに関わらない」
毎日新聞記事によると「対象は感染拡大で収入が減ったかどうかにかかわらず(住民税の)非課税世帯とか、低所得世帯とする案があるとした。」とあります。これはどういうことでしょうか。
今年の4月上旬頃に検討されていた『生活支援臨時給付金(仮称)』では、給付の条件の一つとして、世帯主の月間収入(本年2月~6月の任意の月)が新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少していることが求められていました。(4月7日に公開された『新型コロナウイルス感染症緊急経済対策』(p27)より)ところが支給要件が複雑すぎるという声がありました。こうした世間の声が、一律給付へ変更となった要因の一つでもありました。
こうした経緯があったことから、今後検討される所得制限つきの給付金再給付では、収入が減少したかどうかは問わないのだと思われます。
住民税非課税世帯や低所得世帯であること
既に更新されていますが、4月11日に更新された総務省の情報によると住民税非課税水準となる低所得世帯であることがもう一つの要件になっています。しかし住民税非課税世帯の要件は自治体によっても異なる上、非常に定義が難解であるためか、総務省が基準を明確にしました。それが下記の基準です。
この基準は世帯主(給与所得者)の月間収入に適用されると、4月の時点での資料では説明がされています。今後検討される所得制限つきの給付金再給付でも、これと同等の基準が適用される可能性があります。
所得制限つきの給付金再給付は何世帯を対象としているのか?
4月上旬の時点で検討されていた所得制限つきの給付金は、4月10日の日経新聞によると、全国の世帯数の4分の1にあたる約1,300万世帯に支給をする見通しでした。この見積りで予算が4兆円(正確に言うと40,205.8 億円)でした。
今後編成される第3次補正予算の規模(真水)は10兆円から15兆円だと報じられています。この予算規模であれば、4兆円程度の所得制限付きの給付はじゅうぶん実行可能な予算規模だと思われます。
最終的にはどの程度の予算が確保されるかによりますが、今後検討される所得制限つきの給付金再給付でも、同等(1,300万世帯)程度に給付される可能性はあるでしょう。
所得制限つきの給付金に批判が起きる可能性もある
下村博文自民党政調会長は、低所得世帯に限定した新たな現金給付を検討すると明らかにしましたが、これに対する批判が起きる可能性もあります。まだ所得制限つきの給付が議論されていた4月上旬、自民党の山田太郎参議院議員は、下記のような動画をアップロードしています。
この動画の9:00頃から、「生活支援臨時給付金」について山田議員が解説をしています。山田議員によると、一律制度ではないことについて、4月6日の自民党政調会の中でも大変な議論があったようです。
生活に困っている世帯や個人への支援ということで、一世帯に対して、住民税非課税世帯に30万円、または収入が半減した世帯に30万円が給付となりましたが、これはたいへん自民党の中でも議論がありまして、どうして一律給付じゃないんだと怒号が飛び交いました。
今回、下村博文自民党政調会長はBSフジの番組に出演して所得制限付きの給付金再給付について言及しましたが、これについて与党(自民党と公明党)内からも異論が出ないとは限りません。
今後、給付金再給付がどのように扱われるのかは、世論次第だと言えるかもしれません。