おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2月15日、中小企業庁は『事業再構築補助金の概要』という資料を公開しました。この中では補助金返還ペナルティや事業実施期間に関する新情報が数多く明らかになっています。その中でも申請書(事業計画書)のポイント例を中心に解説をします。
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中小企業庁『事業再構築補助金の概要』の資料閲覧・ダウンロードはこちら
2月15日、ミラサポPlusや経産省のページにて、『事業再構築補助金の概要』が公開されました。下記のリンクをクリックすれば、PDF資料にアクセスできます。
まずは『事業再構築補助金の概要』の表紙紙と目次を下記に引用します。
『事業再構築補助金の概要』で新たに明らかになったポイント
当社が観測している範囲ですが、この度公開になった『事業再構築補助金の概要』で新たに明らかになったポイントを下記に箇条書きで記します。
新たなポイント
- 売上減少要件の「コロナ以前」とは、2019年又は2020年1~3月のこと
- 補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して事業計画を策定する必要がある
- 「特別枠」で不採択となったとしても、加点の上、通常枠で再審査される
- 中堅企業の定義「中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社」(ただし調整中)
- 補助対象外経費の例:不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費
- 事業計画に含めるべきポイントの例が公開(後述)
- 概算払制度(補助事業完了前に補助金の一部を前払いする制度)を設ける予定
- 補助事業期間(設備の購入等を行う期間)は1年程度
- 付加価値目標未達の場合の補助金返還ペナルティは、「卒業枠」「グローバルV字回復枠」に適用予定
- 事前着手申請を提出し、承認された場合は、2月15日以降の設備の購入契約等が補助対象となり得る(採否確定前に着手が可能。ただし着手しても不採択となるリスクあり)
- 設備の購入等では入札・相見積が必要
『事業再構築補助金の概要』で明らかになった、申請書(事業計画)に含めるべきポイント
この度明らかになった情報のなかで、申請を検討している企業にとって一番役に立つ情報は、「事業計画に含めるべきポイントの例」が公開されたことでしょう。『事業再構築補助金の概要』の7ページに、下記のようなスライドがあります。
まず「補助金の審査は、事業計画を基に行われます。採択されるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です」とあります。この補助金は、持続化給付金や家賃支援給付金とは違い、提出した申請書(事業計画)を外部有識者からなる審査員が評価し、より優れた事業計画を採択するというものです。いわば「ビジネスプランコンテスト」であり、後日公募要領にて掲載される「審査項目」を漏れなく、かつ説得力高く記述をしないといけません。
なお、申請書(事業計画)は、認定経営革新等支援機関と相談しつつ策定することが必須となっています。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)に相談して事業計画を策定する必要がありますので、気をつける必要があります。
その上で、次のようなポイントが、申請書(事業計画)に含めるべきポイントの例として挙げられています
ポイント
- 現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性
- 事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)
- 事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法
- 実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)
- 事業化に向けた計画の妥当性、再構築の必要性、地域経済への貢献、イノベーションの促進
これらを一つずつ見ていきましょう。
事業再構築補助金の申請書(事業計画)に含めるべきポイントの例と解説1
まずは「現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性」について見ていきます。
「現在の企業の事業」とは、再構築をする前の段階(今の段階)の事業のことを指していると思われます。
「強み・弱み、機会・脅威」とは、いわゆるSWOT分析のことでしょう。現在の自社をSWOT分析し、強みを活かし、機会を捉えられる領域に進出する(それが事業再構築の方向性になる)というストーリーが求められるでしょう。
「事業環境」は、あいまいなキーワードであり、どのようなことを記述するのかは、これだけの情報ではわかりません。一般的には事業環境を分析するフレームワークとして3C分析というものがありますので、こういうフレームワークを使い、自社が置かれている環境を分析することが求められているのではないかと推察します。
「事業再構築の必要性」では、現在の事業がコロナの影響を受けて売上が下がっており、しかもポストコロナ・ウィズコロナ時代において売上が回復する見通しが薄い、ということを主張するものだと考えられます。
事業再構築補助金の申請書(事業計画)に含めるべきポイントの例と解説2
ポイントの2点目には「事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)」と書かれています。
これは、ポイント1で述べた「事業再構築の必要性」を踏まえ、具体的にどういう事業再構築(業態転換や新分野展開)をしていくのかを書くことが求められているのでしょう。「提供する製品・サービス、導入する設備、工事等」とありますので、事業再構築をするにあたり、どういう新製品・新サービスを提供するのか、それらを実現するために必要な設備や工事にはどういうものがあるのか、ということを記述することが期待されているのだと考えられます。
事業再構築補助金の申請書(事業計画)に含めるべきポイントの例と解説3
次に「事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法」が何をさしているのかを見ていきましょう。
「事業再構築の市場の状況」では、自社がやろうとしている新分野は、どういう市場なのかを分析することが求められています。具体的には、市場の規模はどの程度か、どういう競合他社がいるか、市場は将来的に発展の可能性があるか、といった分析が必要でしょう。
「自社の優位性」では、自社がやろうとしている新分野等における競合他社と比べて、自社がやろうとしていることにはどんな優位性(競争力)があるのかを記述する必要がありそうです。ここでいう優位性は、例えば価格の面、製品・サービスの機能の面、納期の面、品質の面、アフターサービスの面など、多様な切り口があるでしょう。
「価格設定」では、新分野等で新たに行おうとしている新製品・新サービスの提供を、いくらくらいの価格で行うかを記述することが求められると思われます。
「課題やリスクとその解決法」では、事業再構築を行うにあたっての課題(解決しなければならないこと)やリスク(こうなったら困るなという出来事や心配事のこと)にはどういうものがあるかを挙げた上、それをどうやって解決するかを記さなければならないでしょう。
事業再構築補助金の申請書(事業計画)に含めるべきポイントの例と解説4
「実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)」の記述も求められています。
「実施体制」とは、社内で誰が何をするか(役割や責任・権限)を明確にする必要があります。社内だけではなく、社外の協力会社との役割なども触れる必要があるでしょう。
「スケジュール」は、1年間程度の事業再構築補助金の事業実施期間において、いつ、誰が、何をするかを明らかにします。
「資金調達計画」では、投資や工事にどの程度の費用が必要になるか、そしてその費用をどうやって調達するか(主には自己資金なのか融資なのか、どちらか)を明らかにする必要があります。
「収益計画」では、3~5年間の事業計画期間において、売上や利益、付加価値額がどう推移するか、財務的なシミュレーションをする必要があります。もちろん、付加価値額が年率平均で3%以上向上する計画をここで立てた必要があるでしょう。
事業再構築補助金の申請書(事業計画)に含めるべきポイントの例と解説5
最後のポイントは「事業化に向けた計画の妥当性、再構築の必要性、地域経済への貢献、イノベーションの促進」です。
「事業化に向けた計画の妥当性」が具体的に何を指すかは分かりづらいですが、例えば立てた収益計画が現実的なものかとか、技術的に実現可能な内容なのか、企業の売上規模からすると過大すぎる投資ではないか、といった点などが審査員で評価されるのではないかと考えられます。
「地域経済への貢献」は、これは推測ですが、地域未来牽引企業に選定されている企業、もしくはそれに準じるような企業は加点をされるのかもしれません。
「イノベーションの促進」とは、行おうとしている事業再構築に"革新性"があるかどうかということが評価されるのかもしれません。革新性とは「自社にはなく、他社でも一般的ではない取り組み」のことと理解するとわかりやすいと思います。また、これは当社の推測ですが「イノベーションの促進」については、経営革新計画の承認を受けた企業が加点されることを指すのかもしれません。
事業再構築補助金に関する全体的な解説は下記の記事をご覧ください
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10分でわかる!事業再構築補助金(概要・書き方・記入例)
【9/21更新】令和3年度補正予算「事業再構築補助金」の6次公募が開始になりました。2年目を迎え、制度が大きく変わった事業再構築補助金ですが、このページではの全容を10分でわかるようにまとめて解説します。