おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2月15日に中小企業庁から「事業再構築補助金の概要」が公表されました。この中では、現段階(公募開始前)で準備可能な事項として「現在の企業の強み弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定及び解決方法、実施体制、資金計画」が示されています。これら要素の概略について解説します。
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事業再構築補助金 現段階で準備可能な事項
中小企業庁から公表された「事業再構築補助金の概要」では、現段階で準備可能な事項として、①電子申請の準備、②事業計画の策定準備、③認定経営革新等支援機関との相談、の3点が挙げられています(下図)。
特に「「事業計画の策定準備」では、次のように推奨されています。
一般に、事業計画の策定には時間がかかります。早めに、現在の企業の強み弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定及び解決方法、実施体制、資金計画などを検討することをお勧めします。
ここで推奨されている「現在の企業の強み弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定及び解決方法、実施体制、資金計画」について、検討する上で抑えておくべきポイントを下記に述べます。
事業再構築補助金 事業計画書策定準備 ①現在の企業の強み弱み分析
企業の強み・弱み分析と言われて真っ先に思い浮かべるのは、よく知られた「SWOT分析」です。「事業再構築補助金の概要」の7ページ「事業計画に含めるべきポイントの例」には、「強み・弱み、機会・脅威」とSWOT分析項目全てが記されています。SWOT分析とは、SWOT分析とは、自社の強み・弱み、そして自社を取り巻く機会・脅威を洗い出し、洗い出した要素の中から、自社が向かうべき方向性について検討するための手法です。
事業再構築補助金では、「強みを活かして」「機会を捉える」という組み合わせが、最も期待されていると思われます。というのも、事業再構築補助金の申請要件では「自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かす」ことが申請要件として求められています。強みを活かす必要がありますので、「強み」と「機会」とOの組み合わせが、この補助金申請における方向性としては、もっとも適切でしょう。
事業再構築補助金 事業計画書策定準備 ②新しい事業の市場分析
事業再構築補助金では、「新分野進出」「業種・業態転換」を行うことが求められています。新しい事業を興すことが要求されているわけですが、新しい事業における市場の分析をすることが求められています。例えば航空機部品の加工を行っている製造業が、ロボット部品加工の分野に乗り出すのであれば、ロボット部品加工の市場はどうなっているのかを分析する必要があります。
市場分析は、①インターネットで調べる、②図書館にある「業種別審査辞典」で調べる、のどちらかの方法で行うのが一般的だと思います。インターネットで調べる場合は、検索エンジンで、例えば「ロボット」「市場」などと、2つのキーワードを組み合わせて調べると見つかりやすいでしょう。
なお、市場は「成長している」というデータを提示することが望ましいと考えます。とはいえ、少子高齢化で人口減少に直面している我が国の市場では、成長分野を見つけることが困難な場合もあります。そうした場合は、海外市場の成長に着目するのも一つの案です。成長分野ではなくても、法改正や規制の見直しなどで市場が動く可能性があれば、それに言及することもよいでしょう。
事業再構築補助金 事業計画書策定準備 ③優位性の確保に向けた課題設定及び解決方法
「優位性確保に向けた課題設定及び解決方法」とは、なかなか難しい表現です。まず「優位性」というのは、他社と比べて自社が優れている点のことを指します。「優位性確保」とは、他社と比べて自社が優れている点を作り出すこと、と言い換えてもいいでしょう。
繰り返しになりますが、事業再構築補助金では、「新分野進出」「業種・業態転換」を行うことが求められています。しかし自社が向かおうとしている新分野には、既に先行者がいることでしょう。先行者と比べて優れた製品・サービスを提供しなければ、新分野で発展を遂げることはできません。ですので、なにか他社よりも優れた特徴を具備した製品・サービスを展開しなければなりません。
こうした点から考えると「課題設定及び解決方法」というのは、他社よりも優れた特徴を具備した製品・サービスを展開する上で自社がやらなければならないことは何か、それを実現するには具体的にどうするか、と言い換えることもできるでしょう。具体的には製品・サービスの機能、品質、価格、納期、アフターサービスなどの面から、課題と解決方法を押さえておく必要がありそうです。
事業再構築補助金 事業計画書策定準備 ④実施体制
「課題設定」と「解決方法」が明確になれば、次に押さえるべきポイントは、それを社内外の誰がやるか、という点です。事業再構築補助金では、自社が保有する強みを活かす必要がありますので、誰がそれを実行できる能力・力量をもっているかというのも明確にしなければならないでしょう。
具体的には、下記のような組織図で、体制を示すことができると考えます。
事業再構築補助金 事業計画書策定準備 ⑤資金計画
「事業再構築補助金の概要」10ページの策定準備の例として挙げられている最後のポイントは「資金計画」です。資金計画とは、機械装置やシステム購入費、建築費や改修費などといった費用を、どこから調達するかという計画のことを指します。
事業再構築補助金の場合、補助金が申請企業に支払われるのは、原則として事業完了後です(概算払い制度は設けられるようですが)。つまり、機械装置等が納品され、支払まで完了した後に、ようやく補助金の請求ができるようになるというのが原則です。先に企業側が支払いをする必要がありますので、補助金が入金されるまでの間の資金繰りが確実にできるかどうかが重要です。この間の資金繰りをどうするかということを、明確にしておくことがここでいう「資金計画」でしょう。
現段階でできることとしては、まず自社が取り組もうと思っている事業再構築にどれくらいの費用がかかるのか、見積もりを立てることです。その見積もりに基づいて、資金繰りは自己資金で対応可能なのか、それとも融資が必要なのかということを見定めます。融資が必要な場合は、金融機関へ相談へ行き、融資額、返済期間、据置期間、利率などの諸条件について、交渉をはじめておくのがよいでしょう。
事業再構築補助金に関する全体的な説明はこちらをご覧ください
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