ものづくり経営革新等支援機関

事業再構築補助金の事業計画書策定のために現段階でできること(実施体制・資金計画編)

https://imamura-net.com

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

2月15日に中小企業庁から「事業再構築補助金の概要」が公表されました。この中では、現段階(公募開始前)で準備可能な事項が示されています。これに基づき、現段階でできることをまとめます(今回は実施体制と資金計画編です)。

動画でも解説しています(無料・登録不要)

事業再構築補助金 現段階で準備可能な事項

中小企業庁から公表された「事業再構築補助金の概要」では、現段階で準備可能な事項として、①電子申請の準備、②事業計画の策定準備、③認定経営革新等支援機関との相談、の3点が挙げられています(下図)。

https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf

特に「「事業計画の策定準備」では、次のように推奨されています。

一般に、事業計画の策定には時間がかかります。早めに、現在の企業の強み弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定及び解決方法、実施体制、資金計画などを検討することをお勧めします。

ここで推奨されている内容のうち、今回は「実施体制」「資金計画」について、検討する上で抑えておくべきポイントを下記に述べます。

【事業再構築補助金 事業計画書策定準備】「実施体制」とは何か?

は「課題設定」と「解決方法」について解説をしました。「課題設定」とは、「新分野において優位性ある状態になるためにやるべきこと」であり、「解決方法」とは「設定した課題に対して具体的にどうするか」ということと言い換えができます。

 

例えば航空機部品加工を行っている製造業がロボット部品加工へ乗り出す場合、「課題」は「ロボット部品加工分野の先行者よりも短納期で納品するため工程設計しなおすこと」などがあり、その「解決方法」は「どんな設備を使い、どんなレイアウトで設備や人、工具等を配置し、その作業をするためにどんな教育訓練をして……」ということに該当するでしょう。

「課題設定」と「解決方法」が明確になれば、次に押さえるべきポイントは、それを社内外の誰がやるか、という点です。「どんな設備を使い、どんなレイアウトで設備や人、工具等を配置し、その作業をするためにどんな教育訓練をして……」というのが解決方法であれば、誰が設備を発注するか、誰が新しく導入した設備を操作するか、誰がレイアウト案を考えるか、誰がレイアウト変更を実行するか、誰が教育訓練を受けるか……というのが「実施体制」で明確にすべきことです。

ところで、求められているのは「実施体制」です。体制という言葉には、単なる役割分担にはとどまらず、組織や制度、仕組みまでも含むというニュアンスがあります。したがって事業計画書の中では、下記のような組織図で、体制を示すことができると考えます。

なお、事業再構築補助金では、自社が保有する強みを活かす必要がありますので、誰がそれを実行できる能力・力量をもっているかというのも明確にしなければならないでしょう。上記の組織図の中には、それぞれの人にどういう能力・力量があるかも示されています。能力・力量を具体的に証明するためには、資格の有無や経験年数なども記述することが望ましいでしょう。

【事業再構築補助金 事業計画書策定準備】「資金計画」とは何か?

最後のポイントは「資金計画」です。資金計画とは、機械装置やシステム購入費、建築費や改修費などといった費用を、どこから調達するかという計画のことを指します。

事業再構築補助金の場合、補助金が申請企業に支払われるのは、原則として事業完了後です(概算払い制度は設けられるようですが)。つまり、機械装置等が納品され、支払まで完了した後に、ようやく補助金の請求ができるようになるというのが原則です。先に企業側が支払いをする必要がありますので、補助金が入金されるまでの間の資金繰りが確実にできるかどうかが重要です。この間の資金繰りをどうするかということを、明確にしておくことがここでいう「資金計画」でしょう。

現段階でできることとしては、まず自社が取り組もうと思っている事業再構築にどれくらいの費用がかかるのか、見積もりを立てることです。その見積もりに基づいて、資金繰りは自己資金で対応可能なのか、それとも融資が必要なのかということを見定めます。融資が必要な場合は、金融機関へ相談へ行き、融資額、返済期間、据置期間、利率などの諸条件について、交渉をはじめておくのがよいでしょう。なお、補助金額3,000万円以上の場合は、金融機関も事業計画策定に巻き込む必要がありますので、必ずその旨を金融機関に伝えてください。

ところで、事業再構築補助金では、申請時に見積書を添付することが求められる可能性があります。初回申請時に求められなくても、交付申請時等には必ず求められるでしょう。メーカーや商社から見積書を入手する必要がありますが、見積書上の「有効期限」と「納期」の記載に気をつけたほうがベターです。

見積書の有効期限は、見積日から1~2ヶ月程度であることが普通です。しかし交付決定時に有効であることが(事務局から)求められるでしょう(ものづくり補助金ではよくあることなのですが、有効期限が短すぎて見積書の取り直しを命じられることがあります)。したがって、最初の見積書を取得する段階で、見積書の有効期限を長めにとっておくか(例えば6ヶ月程度)、もしくは有効期限の記述を削除しておいたほうが、二度手間にならずに済みます。また、見積書における納期の記載も同様です。これも事業実施期間(交付決定からおよそ1年程度)以内に納期があるような記述であったほうが、見積書の取り直しの手間が省けるでしょう。

事業再構築補助金に関する全体的な説明はこちらをご覧ください

10分でわかる!事業再構築補助金(概要・書き方・記入例)

【9/21更新】令和3年度補正予算「事業再構築補助金」の6次公募が開始になりました。2年目を迎え、制度が大きく変わった事業再構築補助金ですが、このページではの全容を10分でわかるようにまとめて解説します。

続きを見る

  • B!

最近の人気記事

1

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 国際標準化機構(ISO)は、現行のISO9001:2015(品質マネジメントシステム規格I)を改訂する準備を進めているようです。現在の ...

2

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 2024年2月、ISO(国際標準化機構)は、マネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で規格の一部を改定しました。今回 ...

3

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 5Sの考え方がISO9001や14001の運用に役立つことがあります。その逆もあって、ISOの仕組みが5S活動に役立つこともあるんです ...