おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
3月1日、経産省ホームページにある「事業再構築補助金に関するよくあるお問合せ」が更新されました。新たに9つのQ&Aが追加されています。その9つ全てについて解説をします。
経産省ホームページ「事業再構築補助金に関するよくあるお問合せ」はこちら
経産省ホームページ「事業再構築補助金に関するよくあるお問合せ」は、下記のリンクからアクセスができます。3月1日に更新されたものは、Q31~Q39までの9つです。
事業再構築補助金に関するよくあるお問合せQ31.
GビズIDプライムをすでに取得しているが、本事業に申請するために、再度発行する必要があるのか。
再度の発行は不要です。GビズIDプライムは、同一の法人かつ同一の利用者の名義により、複数のアカウントの発行を行うことができません。
回答の通りです。GビズIDプライムは、一度取得をすれば、各種補助金の申請はもちろん、経営力向上計画の電子申請や、社会保険関連(資格取得届、資格喪失届、算定基礎届など)の電子申請が、同一アカウントで可能です。なお、GビズIDには、プライムとエントリーの2種類があります。エントリーでは事業再構築補助金の申請ができませんので、エントリーしか取得していないという企業の方は、GビズIDプライムの取得が必要です。
事業再構築補助金に関するよくあるお問合せQ32.
「コロナ以前」が2019年又は2020年1~3月を指しているとのことだが、仮に2021年4月に申請し、任意の3か月として2021年1,2,3月を選択した場合、2019年1~3月または2020年1~3月のどちらと比較してもいいのか
2019年1月~3月又は2020年1月~3月と比較することが可能です。また、2019年1月、3月、2020年2月のように、連続していなくても構いません。
これは下記のような図で示したほうがわかりやすいでしょう。事業再構築補助金では、申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していなければ、申請ができません。このQ32の質問は、4月に申請をするケースですから、直近6ヶ月である2020年10月~2021年3月までの6ヶ月間のうち、任意(どれでも好きな月)の3つの月を選ぶことができます。質問では、2021年1~3月を任意の3ヶ月として選んだ、とあります。このような時は、2019年1~3月で比較をしてもいいですし、2020年1~3月でも比較をしてもいい、というのが経産省の回答です。
事業再構築補助金に関するよくあるお問合せQ33.
認定経営革新等支援機関や金融機関は、事業所の所在地域にある機関でなければならないのか。
認定経営革新等支援機関や金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございません。任意の機関を選択ください。
制度上はたしかに、全国どこからでも選ぶことができるでしょう。認定支援機関のサポートや助言を受けながら計画策定をする必要がありますが、リモート等を活用すれば、認定支援機関の所在地はいとわないのではないかと思います。ただし補助金額が3,000万円を超える案件は、金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する必要があります。これに該当する場合、一般的には取引のある金融機関に相談することになるでしょうから、あまり遠方にはならないのではないかと思います。
事業再構築補助金に関するよくあるお問合せQ34.
通常枠では、補助額が100万円~6,000万円となっているが、事業再構築に必要となる経費が50万円の場合、申請することができないのか。
通常枠では、補助額の下限を100万円としております。中小企業の場合、補助率は2/3であるため、少なくとも150万円以上の支出を行う事業計画である必要があります。
投資総額が150万円未満だと申請ができません。無駄遣いを奨励するわけではありませんが、比較的有効だと思われる対策としては、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)を形状できないか、検討することでしょう。事業実施期間は約1年間と見込まれていますので、交付決定後1年間でどんな販促をするかを検討して見てください。ただし補助金は後払い(精算払)ですので、費用を支出して補助金が入金されるまでの資金繰りにはじゅうぶんに注意する必要があります。
事業再構築補助金に関するよくあるお問合せQ35.
一般的なパート、アルバイトは従業員に含まれます。具体的には、従業員(常勤従業員)は、労働基準法第20条に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と定義する予定です。
確かに「一般的なパート、アルバイトは従業員に含まれます」というのはそのとおりですが、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者が全て該当するわけではありません。該当するかどうかは、労働基準法第20条~21条の条文をもとに個別に判断されると解されます。なお、会社役員及び個人事業主は予め解雇の予告を必要とする者に該当しないので、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」には該当しないと解されます
参考:労働基準法第20条~21条
(解雇の予告)
第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
第21条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。
但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
一 日日雇い入れられる者
二 2箇月以内の期間を定めて使用される者
三 季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
四 試の使用期間中の者
事業再構築補助金に関するよくあるお問合せQ36.
補助事業の実施期間よりも短期間で事業を終了してもよいのか。
実施期間より短期間で補助事業を完了することは差し支えありませんが、事業実施期間を超えることは認められません。実施期間内にすべての手続きを完了する必要があります。
これも下の図を見ながら解説したほうがわかりやすいでしょう。事業再構築補助金では、採択発表後、交付申請という手続きを行い、その後に正式な交付決定がおります(採択発表から1ヶ月くらい後になると想定されます)。その正式な交付決定から補助事業期間(設備の正式発注、納品、検収、支払いを全て済ます期間)が1年程度設けられる予定です。交付決定から1ヶ月後や2ヶ月後に、検収や支払いまでを済ませて事業を終了しても構いませんが、交付決定から1年を超えてしまってはダメ、という意味です。
事業再構築補助金に関するよくあるお問合せQ37.
事業再構築に取り組むにあたって、これまでの事業は必ず縮小又は撤退しなければならないのか。また、新規事業は必ず既存事業と関連した事業である必要があるのか。
事業再構築の定義については、今後、事業再構築指針等で詳細を公表いたします。また、事業再構築により取り組む事業は、必ずしも既存事業と関連している必要はありません。今後、公募要領等で詳細を公表いたします。
「これまでの事業は必ず縮小又は撤退しなければならないのか」という問いには明確な回答がありませんでした。事業再構築指針の発表を待つ必要がありそうです。「事業再構築により取り組む事業は、必ずしも既存事業と関連している必要はありません」とあります。確かに制度上は、既存事業と関連をしていなくても申請は可能でしょう。ただ、それが審査で評価されるかどうかは別問題として考える必要があるかもしれません。事業再構築補助金の申請要件では「自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かす」ことが求められています(
基金設置先法人募集要項28ページより)。また、申請時に提出をする事業計画書では、自社の強み分析も求められています(
事業再構築補助金の概要7ページより)。既存事業との関連はなくても、強みや経営資源を活かした取り組みでなければ、申請はできても審査で評価されない可能性もありますので、注意が必要です。
事業再構築補助金に関するよくあるお問合せQ38.
フランチャイズ化も対象となるのか。対象となる場合、加盟料も補助対象経費に含まれるのか。
フランチャイズ化することで事業再構築を行う場合は対象となり得ます。ただし、フランチャイズ加盟料は補助対象経費には含まれません。
フランチャイズ化する(例えばコンビニや中古車販売店、学習塾などのフランチャイズに加盟すること)が対象になるのは、事業再構築のリスクを低減する上では朗報でしょう。ただしQ37と同様ですが、フランチャイズ化は対象となったとしても、審査でどのように評価されるかは不透明だと当社では考えます。その理由もQ37で書いたのと同じく、「自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かす」事業でないと審査で評価されない可能性があるためです。
事業再構築補助金に関するよくあるお問合せQ39.
事業計画期間内に事業を継続できなくなった場合、補助金の返還が求められるのか。
残存簿価相当額等により、補助金交付額を上限として返還を求める予定です。
事業再構築補助金では補助事業終了後、5年間は事業計画期間として年次報告が求められます。この事業計画期間中(最長5年)のうちに断念する場合のことを指しているのだと思われます。この時は、補助金を返還しなければならないようです。ただし「残像簿価相当額等により」とありますので、もらった補助金全額ではないようです。導入した設備等の簿価のうち、補助金額に対応する分(例えば残存簿価等×補助金額/実際の購入金額といった式)で返還額を決めるのではないかと考えられます。