おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
事業再構築補助金は、過去に遡って設備の購入契約等が補助の対象になります。具体的には、2021年2月15日以降の購入等が対象ですが、いろいろと注意すべき点があります。今日はこの「事前着手申請」について解説します。
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事業再構築補助金は過去に遡って設備の購入契約等が対象
事業再構築補助金では、原則として、建物や設備等の購入契約の締結等は、交付決定を受けた後です。下記の図は、通常の手続きの流れを示したものですが、採択をされてもまだ建物や設備等の正式発注はできません。交付申請という、初回の応募に続いて2回めの事業計画書関連書類の提出を行い、それから1ヶ月ほどで交付決定がおります。その交付決定を受け取った後に設備の購入等が可能になります。事業再構築補助金の「よくあるお問い合わせ」によると、初回の公募締切が4月頃だと想定されますので、交付決定はどんなに早くても6月~7月頃になると思われます。つまり、初回の締切に採択をされた人でも、6~7月にならなければ建物や設備等の正式発注はできないということです。
しかし、公募開始後、事前着手申請を提出し、承認された場合は、2月15日以降の設備の購入契約等が補助対象となり得ます。原則としては6~7月を待たなければ正式発注できないものが、承認を受けていれば、2月15日以降に正式発注をした建物や設備等も補助の対象になるというものです。
事業再構築補助金の事前着手申請では、どんなことを申請するのか(予測)
この事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が下がっている中小企業を対象としたものですから、事前着手承認はすぐにでも対策を打ちたいという企業にとってはありがたい仕組みです。
いったいどんな申請を提出する必要があるんでしょうか。事前着手申請書の内容については、この記事の執筆時点ではまだ明らかになっていないのですが、ここで先輩格の補助金制度である「ものづくり補助金」の事前着手申請書をちょっと参考にしてみましょう。下記の図は、2020年実施ものづくり補助金3次締切における事前着手承認様式です。
ものづくり補助金の事前着手申請書では、まずまずの分量を書く必要があります。コロナウイルス感染拡大について、どんな影響を受けていて、事前着手をしなければどんな悪影響があるか、ということを、具体的に書かせる内容です。
ここからは推測ですが、おそらく事業再構築補助金の事前着手申請でも、同様(もしくはこれ以上)の記述が求められるものだと考えられます。申請書では、事業再構築の内容と必要性、今すぐ着手をしなければどんな影響があるか、といった点が問われるのではないかと推察します。もちろん、ここで提出したものは事務局において審査され、内容が妥当だと判断されたものに限って、承認されるものと考えられます。
事業再構築補助金の事前着手申請を行う上での注意点
今の時点でわかっている注意点としては、下記の3点があるでしょう。
注意ポイント
- 相見積を取ったものであること
- 事前着手申請の承認を得ていたとしても、本審査で不採択になる可能性があること
- 関連経費は上限が設けられること
設備の購入等では入札・相見積が必要
経産省が公表した「事業再構築補助金の概要」の9ページでは、「設備の購入等では入札・相見積が必要です」と書いています。
多くの補助金制度に言えることですが、ある一定の金額を超える買い物については相見積書の提出が求められます。当然ですが、相見積書のほうが正式契約の額よりも高いものでなければなりません。また、正式契約以前の日付の相見積書でなければ無効でしょうから、こうしたルールに基づくと、相見積書を取らずに発注をしてしまったというケースでは事前承認は不可と考えられます。
- 事前着手申請の承認を得ていたとしても、本審査で不採択になる可能性があること
事前着手申請の承認を得ていたとしても、本審査で不採択になる可能性があること
同じく、経産省が公表した「事業再構築補助金の概要」の9ページでは、「補助金申請後不採択となるリスクがありますのでご注意ください。」ともあります。事前着手申請の承認は、補助金の採択や交付決定を約束するものではありません。事前着手申請の承認を得ていたとしても、本審査で不採択になる可能性があります。
もし「補助金をもらえるならばやろう」「補助金がもらえなかったら止めておこう」という考えでの事業計画の場合は、先に契約をしたにも関わらず補助金が交付されず、完全に自己負担になるという可能性のことを、経産省の資料では警告しています。
関連経費は上限が設けられること
この事業再構築補助金は、基本的に設備投資を支援するものです。経費は大きくわけて、主要経費と関連経費の2種類がありますが、関連経費については上限が設けられる予定です。したがって事前着手申請の承認を受けていたとしても、この経費計上ルールの範囲内でしか補助されないということにも注意が必要です。これは当社の推測ですが、関連経費については、補助対象経費全体の1/2以内や1/3以内といった制限がつくと思われます。
例えばですが、事前着手申請をして外注費として、交付決定前に契約したとします。外注費が全て補助の対象になるかどうかは、補助対象経費全体の額との兼ね合いで決まりますので、場合によっては外注費も一部しか補助の対象にならないことに留意が必要です。
事前着手承認はすぐにでも対策を打ちたいという企業にとってはありがたい仕組みですが、数々設けられるであろう事業再構築補助金のルールの範囲内でしか承認されないということになると思われます。いろんなリスクも考えられますので、皆さんに検討していただきたいこととしては、事前着手申請の承認を受けておいた上、採択発表された直後に正式契約をするという方法が、もっともリスクが低減できるのではないかと当社では考えます。