おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
事業再構築補助金の審査項目は全部で13あります。一つずつ解説をします。今回は政策点③について解説します。
事業再構築補助金審査項目は動画でも概説しています(無料・登録不要)
事業再構築補助金審査項目「政策点」とは何か
そもそも「政策点」とはどういう位置づけの審査項目なのでしょうか。事務局が公開した動画「中小企業等の思い切った事業再構築への挑戦を支援 事業再構築補助金のご案内 =実践編=」にて、中小企業庁経営支援部長村上敬亮氏は下記のように説明をしています。
基本はここまで(事業化点と再構築点)で(採択が)ほとんど決まります。ですが、いくつか政策的に、今、政権をあげてデジタルとカーボンニュートラルってやっていますんで、これDXで考えるとすごいこと言っているよねと、コロナ禍のV字回復の中でこれおもしろいねとか、ニッチな分野でこれちょっとグローバルニッチトップっていうんですけど、世界のトップ取れちゃうかもとか、それからこれ地域引っ張るよねとかいうようなやつは、そのチャレンジは買おうと言うところは逆転ありと、いうふうにしようと思っている(後略)(動画39:08ごろより)
当社の解釈としては、行政として政策的に重要視しているものと合致する取り組みであれば加点をするという審査項目といえます。村上氏は「基本はここまで(事業化点と再構築点)で(採択が)ほとんど決まります」と説明をしているところから、政策点の得点配分はもしかしたら事業化点や再構築点の得点配分と比べて低いのかもしれません。
事業再構築補助金審査項目 政策点③
ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
この審査項目は「新グローバルニッチトップ企業100選」を意識したもの
当社の解釈では、経済産業省の施策である「新グローバルニッチトップ企業100選」を意識した審査項目と思われます。新グローバルニッチトップ企業とは、世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、国際情勢の変化の中でサプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する優良な企業のことで、こうした企業を経産省は2020年に100社選定し、様々な支援策を提供しています。
つまり、世界でトップを取れる企業であるかどうかということを問うている審査項目ということで、おそらく、新グローバルニッチトップ企業100選に認定された企業に対する事実上の加点項目だと当社では考えます。新グローバルニッチトップ企業100選に認定されていない企業が、この政策点で加点を受けられるかどうかはわかりません。わかりませんが、何も書かないよりもマシですので、未選定企業が少しでも採択の可能性を高めたいのであれば、新グローバルニッチトップ企業の認定要件に沿って、自社が世界でトップを取れる企業であるかどうかを事業計画書でアピールしたほうがよいでしょう。
ちなみに2020年の「新グローバルニッチトップ企業100選」選定企業の業種は下記のとおりです。製造業がメインであることがわかります。
(1)機械・加工部門 61社
(2)素材・化学部門 24社
(3)電気・電子部門 20社
(4)消費財・その他部門 8社
新グローバルニッチトップ企業の認定要件
新グローバルニッチトップ企業の認定要件を、新グローバルニッチトップ企業100選の公募要領からみてみましょう。
ご覧のようにかなり厳しい審査項目です。特に「競争優位性」の部分では、特定の商品・サービスについて、近年で概ね10%以上の世界シェアを確保したことがあるものが対象とされています。中小企業レベルで世界シェア10%以上確保するのはかなりきつい要件でしょう。そんな企業はほとんどないでしょうが、未選定企業は、グローバルニッチトップ企業100選の評価項目に沿って、できる限りのことを記述するしかないでしょう。
事業再構築で海外進出を考える企業でなければ、とても書きづらい審査項目だと思います。無理に書かなくても良いと思います。