おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
5月31日に行われた行政事業レビュー公開プロセスでは、中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金)についてのレビューが行われました。外部有識者による評決の結果、「制度の一部改善」に決まりました。
令和3年度行政事業レビュー経産省ページおよび動画はこちら
中小企業等事業再構築促進事業(事業再構築補助金)のレビューシート・概要・論点シート
令和3年度行政事業レビュー公開プロセス動画(中小企業生産性革命推進事業は1:29:00ごろから)
評決の結果は現状通り1名、一部改善3名、全体の抜本的改善2名
中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金)の行政事業レビュー・公開プロセスが行われましたが、出席した外部有識者は下記の6名です。(50音順・敬称略)
- 上村 敏之 関西学院大学経済学部 教授
- 梶川 融 太陽有限責任監査法人 代表社員 会長
- 佐藤 主光 一橋大学国際・公共政策大学院 教授
- 滝澤 美帆 学習院大学経済学部 教授
- 藤居 俊之 関西学院大学経済学部 教授
- 水戸 重之 TMI総合法律事務所 パートナー弁護士
評決の結果、現状通り1名、一部改善3名、全体の抜本的改善2名であり、制度の「一部改善」が評決結果となりました。
中小企業生産性革命推進事業に関する論点1:補助対象についての検討を深めるべき
論点1「補助対象についての検討を深めるべき」については、下記のようなコメントが挙げられました。
- 予算ありきで採択をしていくと、これまでよりもレベルが低い事業に対する補助が行われることになりかねないため、審査を厳格に行うべき。
- 審査担当によって審査の厳しさが違うことがあり、地域差をなくし、中立性を高める取り組みをさらに検討すべき。
- 広く補助金が行き渡るよう、複数回受給しづらくなる仕組みを減点以外にも検討すべき。
- 複数の補助金の併給を受けられる体力のある中小企業は限られるため、同時に複数の補助金に応募した事業者への採択は厳しく審査すべき。
- 電子申請のみとすることが補助対象を狭めることとならないか、サポート体制は十分か、再度検討を行うべき。
- 採択結果に地域差がある要因をさらに検討すべき
中小企業生産性革命推進事業に関する論点2:成果測定の実施方法を十分検討すべき
論点2「成果測定の実施方法を十分検討すべき」については、下記のようなコメントが挙げられました。
- 新型コロナウィルス感染症の影響を受けた時期と比較すると、成長目標の達成が容易になってしまうため、付加価値額の増加率等の成果測定に当たっては、比較対象をよく検討すべき。
- 補助金を受けなかった事業者と補助金を受けた事業者を比較し、補助金の純粋な効果を測定する方法を検討すべき。その際、(特に補助金を受けなかった事業の申請時及びそれ以降の財務情報など、)検証に必要なデータの整備に取り組むべき。
- 補助金の効果測定の観点からも、複数の補助金の併給を受けることは相当限定的な事業者とすべき。
- 仮に複数の補助金を受給する事業者の限定が難しい場合でも、個々の事業者が経産省のどの補助金を受給しているのかが網羅的に把握できるようにし、効果測定に活用すべき。
中小企業生産性革命推進事業に関する論点3:補助金の差別化と事業者に対する説明について
論点3「補助金の差別化と事業者に対する説明について」については、下記のようなコメントが挙げられました。
- 補助対象経費が似ている補助金があるため、補助金間の差別化を行い、事業者に分かる形で示すべき。
- 同じ補助金に複数メニューがある場合、事業者がどういう申請をすることができるかを分かりやすく示すべき。
- コロナの影響で新たな政策が追加されているが、こうした補助金メニューは並列ではなく階層化して示すべき。
- 各補助金の窓口(事務局)を一本化して申請手続きの簡素化を図るべき。
中小企業生産性革命推進事業に関するその他改善要求事項
上記のほか、外部有識者からは下記のようなコメントがありました。
- 同じような補助金メニューも多く、租税特別措置などにも類似のものがあるので、同じ目的をもつなら補助金の整理・廃止を検討すべき。
- 補正予算で執行されているが、補正予算の規模ありきや予算消化ありきだと審査が甘くなりがち。
- 何度も採択されないように(リピーターが生まれないように)回数制限などを設けるべき。
- 経営計画の策定を中小企業のガバナンス改善の契機とすべき。
こうした外部有識者の声により、評決結果は制度の「一部改善」となりました。上記のコメントのうち、いずれかが今後、制度として反映されるものだと思われます。