おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
今日はものづくり補助金の審査項目のうち、技術面②について解説をします。課題と目標、達成度に関してですね。
審査項目にはどう書いているか
平成29年補正予算「ものづくり・商業・サービス経営力向上補助金」公募要領28ページ(2)技術面には、次のように書かれています。
サービス・試作品等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
これはどのような意味であり、どういうことを書けばよいでしょうか?
「課題」は、ものづくり高度化法や生産性向上ガイドラインの「課題」である
まずここで注目したいのが「課題」という言葉です。私たちは何気なく「これは課題だなあ」という言葉を使っていますが、この補助金申請においては注意が必要だと思っています。結論を言うと、ここでいう課題とは「中小ものづくり高度化法」の指針や「中小サービス生産性向上ガイドライン」に書かれている課題のことだと、僕は解釈しています。
技術面の審査項目①にも明記されていますが、この補助金申請は、これらの指針やガイドラインに沿ったものであるというのが前提になっています。ですので「課題」と言われたときには、このガイドラインの課題に沿っているというのが望ましいでしょう。これら指針・ガイドラインと補助事業の関連性を申請書上で明示しなければなりませんが、このように課題を指針・ガイドラインに沿ったものとしておけば、関連性の明示も容易になります。
中小ものづくり高度化法の精密加工の指針で例を下記に示しましょう。赤線のところではっきりと「課題」って書かれていますよね。ここでいう「川下製造業者等」というのは、下請けで加工している製造業などにとっては、取引先の大企業(親会社)と考えればわかりやすいです。
下の画像の「ア.高機能化・精密化・軽量化」でいうと「取引先から、〇〇の加工についてもっと精度を高めてほしいといわれているので、それに取り組む必要がある」ということが課題であり、それを補助金の申請書に具体的に書くということですね。
この課題は「機械装置を取得しなければならない必要性」でもある」
公募要領の20ページから21ページにかけて、(4)事業の具体的な内容のその1(a)には、次のような要求もあります。
本事業の目的・手段について(中略)、今回の補助事業で機械装置を取得しなければならない必要性を示してください。
皆さんは機械装置をお得に買いたいので補助金が欲しいというのが本音だと思います。補助金の審査では「なぜ機械装置を取得しなければならないのか」、その理由を書けと要求しています。しかしこれは、課題に沿って書けば簡単なのです。
例えば先ほどの例でいうと、
「取引先から、〇〇の加工についてもっと精度を高めてほしいといわれているので、それに取り組む必要がある」
というのが課題でした。こういうふうに課題を設定していると、その解決する方法として
「もっと高精度の加工をするために、この設備が必要だ」
とつなげて書きやすくなりますね。
申請書上、課題はいくつくらい設定するのがよいか
最低でも2つ、できれば3つは設定したいところです。絶対に外せない課題の方向性は「生産性向上」です。なぜなら今年のものづくり補助金は、は、生産性革命実現の一環として行われていますので「〇〇の生産性をあげてほしいという顧客の要望がある」(課題)に対して、「△△という機械装置を導入し、〇〇の生産性をあげる」(実現方法)という記述は欠かせないでしょう。
その他の課題としては、品質面、コスト面などが書きやすいでしょう。いわゆるQCDですね。
「補助事業の目標に対する達成度の考え方」とは?
審査項目で求められているのは、課題の明確化だけではありません。「補助事業の目標に対する達成度の考え方」も明確にしなければなりません。正直に言うと、ここでいう「補助事業の目標」というのが具体的に何を指すのかは定かではありませんが、僕は「課題の解決」という風に読み替えています。
ただ「達成度」となると、これはある程度想像がつきます。つまり「何をもって、この補助事業が達成したとみなすのか、その基準を書け」ということです。どの企業も何かの目標や課題の解決に向けて、この補助金を活用しようとしているのです。いったいどうなれば、その目標や課題解決が達成したのかという目安、物差し、指標が明確でなければ、補助金をもらって取り組んだことが成功だったのか失敗だったのかを判断することができませんよね。
というわけで、それぞれの課題に対する目安、物差し、指標を明確にしなさいというのが審査項目であり、国の要求事項でもあるわけです。
達成度を示す指標について、2つの考え方
何をもって目標(課題)が達成したのかをみなすための指標は、2つの方向性で検討してください。
- 数値による指標
- 状態による指標
それぞれ解説しましょう。
数値による指標
これは明白ですね。数字で示せる指標のことです。生産性向上の課題に対しては、次のようなものが一般的にはあるでしょう。
- 日産(時産でも月産でも可)の平均生産個数
- 平均リードタイム
- 直接加工時間
- 作業工数(人月など)
状態による指標
指標は何でもかんでも数値で表すことができるとは限りません。数値目標のほうが具体的で説得力はありますが、どうしても数値で示せない場合は、達成した状態を明記するという方法でも構いません。例えば
「〇〇の加工について、非熟練作業者3名が作業できると班長が認めたら達成とみなす」
などという表記になるでしょう。
まとめ
- 課題は「中小ものづくり高度化法」や「中小サービス業生産性向上ガイドライン」に書かれている課題と関連付けて設定する。
- 課題は2~3個は設定したい。生産性向上の課題は必須。そのほかは品質やコスト削減といった観点。
- 課題の達成手段が設備投資になるように。
- 達成度は課題ごとに明確にし、数値目標や状態目標で表す。