おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
7月29日、時事通信は「菅首相、追加経済対策指示へ 衆院選アピール、30兆円規模か」と報じました。一部報道では11月の臨時国会で補正予算を成立させる可能性にも言及をしています。中小企業対策はどうなるでしょうか。
時事通信「菅首相、追加経済対策指示へ 衆院選アピール、30兆円規模か」
菅義偉首相は緊急事態宣言の拡大など新型コロナウイルスの感染防止策の強化に合わせ、国民生活を下支えする追加経済対策の取りまとめを近く政府・自民党に指示する方針だ。同党は公明党との協議を経て、衆院選でアピールできるよう9月前半にも提言を策定。衆院選後の国会で追加対策を盛り込んだ2021年度補正予算の成立を図る日程を描いている。
(7月29日 時事通信記事より)
SankeiBiz「「10万円給付」や「30兆円規模」…与党に経済対策求める声 衆院選に強い危機感」
また、7月29日のSankeiBizにも、追加経済対策の可能性についての記事がありました。これによると
甘利明税調会長も25日放送のBSテレ東番組で補正予算の成立については「衆院選後、11月の臨時国会で成立させて直ちに執行していくのがいい」と強調した。
(7月29日 SankeiBizより)
中小企業対策はどうなるか
「30兆円規模」という数字が先走っている感がありますが、この30兆円とは何の数字でしょうか。一般的に、予算規模を測る際、「事業規模」「財政支出」「真水」の3つの観点から規模を図ります。「真水」とは国が直接支出する、実際に使われるお金のことです。「財政支出」は真水に自治体の支出や財政投融資を加えたもの、そして「事業規模」は、財政支出に金融機関の融資や保証の枠、補助金を受けて民間企業が設備投資に拠出する資金などを含みます。一般的には実際に使われるお金である「真水」の規模が重要だとされています。
時事通信の報道で言われている「30兆円」が「事業規模」「財政支出」「真水」のいずれを指すのかは定かではありません。
ところで、コロナウイルス感染拡大が顕著になった2020年以降、補正予算は3度編成されています。第一次補正予算は「定額給付金」や「持続化給付金」などの裏付けとなった予算であり、このときの事業規模は117.1兆円(真水としては27.5兆円)でした。第二次補正予算では事業規模が117.1兆円(真水としては31.9兆円)で、このときは「家賃支援給付金」「持続化給付金の拡充」などに用いられました。2020年度第三次補正予算は今年1月28日に予算成立しましたが、この事業規模が73.6兆円(真水としては20兆円)で、中小企業政策としては「事業再構築補助金」が創設されました。時事通信の報道で言われている「30兆円」が「事業規模」を指すのであれば、2020年度第一次~第三次補正予算と比べるとかなりスケールダウンですし、「真水」を指すのであれば、2020年度第一次~第三次補正予算と同等の規模だと言えるでしょうか。
中小企業対策はどうなるでしょうか。緊急事態宣言が延長・再発令されることからも、まず可能性として考えられるのは、月次支援金のような緊急事態宣言の影響を受ける企業に対する給付金の拡充は優先順位が高いと考えられます。地方創生臨時交付金も予算化されるでしょうから、自治体による休業補償などに充てられる可能性も高いと言えます。雇用調整助成金の特例措置の延長に予算が割かれる可能性もあります。
一方、かつて行われたような「持続化給付金」「家賃支援給付金」のような給付金制度は、不正受給が相次ぎ社会問題になったことを踏まえると、考えにくいと思われます。その代わり、現行で公募が行われている中小企業向けの補助金施策の拡充や延長が行われる可能性は考えられるでしょう。