おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
「ISO9001の箇条にゼロなんてあったんだ?」とか「箇条3って別に大したこと書いてないだろ?」と思う人もたくさんいると思います。確かに箇条のゼロから3は具体的な要求事項とも言えませんので、あまり気にしない人もいるとは思いますけど、まずまず大切なことが書かれています。一気に解説したいと思います。
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ISO9001 2015年版の箇条構成
ISO9001の箇条の構成はこのようになっています。箇条0の序文から箇条10の改善まで、全部で11箇条あるんですね。
でも0から3は具体的な要求事項ではないですし、審査で問われるのも箇条4以降が一般的です。なので、日頃の運用でも審査でも、0から3はほとんど意識することはないと思います。審査で問われるわけでもないからといって、重要ではないというわけではありません。ここに0から3が書かれている意味はしっかりあるんですけど、それはどういうことでしょうかね。一言でいうと、ISO9001は何のためにあって、どうやって運用すればよいかという最も基本的な原則が書かれていると言ってよいと思います。
ISO9001の序文について
まずは序文です。便宜的に「箇条0」と呼びます。ここで述べられていることは4つあります。
まずひとつめ、序文0.1ではISO9001に基づいて品質マネジメントシステムを採用し、実施することでどんなメリットがあるかを書いています。ここは「何のためにやるか」について触れた部分と言えるでしょう。
0.2は品質マネジメントの原則として7つの項目が挙げられていますが、これは一般的に「品質マネジメント7原則」と呼ばれるものですね。
ISO9001を採用する企業には「適合性」と「有効性」と呼ばれる2つのものが求められます。適合性というのは、ISO9001にかかれている要求事項にそった運用をしていることで、有効性というのは、その運用が成果を出しているということです。その適合性と有効性をもったマネジメントシステムにするためにはこういうことが大切ですよ、という骨組みのようなものだと思ってください。ここに書かれていることは、概ね箇条の4から10までの間に盛り込まれていると理解してよいでしょう。これはISO9001を「どうやって運用するか」について言及した部分ですね。
そして0.3はプロセスアプローチです。プロセスアプローチの説明だけで1本の動画が作れるくらい奥深いものですけど、簡単に言うと、ものづくりでもサービス提供でも、プロセス(それぞれの工程、仕事、業務、作業)というものを明確にして、プロセス同士のつながりを把握して、管理をしましょうということです。規格にもこういう図が載っていますけど、わかりにくいですよね。
例えばですけど、オムレツを作ることにも、いろんなプロセスが絡んでいるはずです。卵を買うプロセスもあれば、卵を割るというプロセス、調味料を測って入れるプロセスもあるし、かき混ぜるプロセスもあり、フライパンで焼くプロセス、盛り付けのプロセスもありますよね。そのプロセスの一つ一つを管理しながら仕事をするということですね。どこか一つのプロセスだけを管理するものではないし、もっというと、作り方は雑でも最後に検査さえしっかりやって不良品を弾けばいいやということでもなく、プロセス全体をしっかりと見て仕事をしていきましょうという考えです。これも昔からISO9001で推奨されている考え方です。ここもISO9001を「どうやって運用するか」について言及した部分ですね。
0.4は「他のマネジメントシステム規格との関係」です。このISO9001という規格は、単独で利用される規格ではなく、他の規格と結びつけて作られたり、利用することが想定されています。わかりやすい例でいうと、ISO9001の用語集とも言える規格 ISO9000を、用語集のようにして使うことができます。
という感じで、序文ではISO9001の土台、骨格となるような基本的な考え方について触れられています。
ISO9001 箇条1「適用範囲」
そして箇条1「適用範囲」です。ここは、この規格、ISO9001が、どのような場合に、どのような目的で適用されるべきかということを書いた部分です。簡単にいうと「お客さんに提供する製品やサービスを提供して、顧客満足を目指す場合」に適用されるということです。当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、この規格が対象外にしているもの、適用範囲外としているものを説明したほうがわかりやすいでしょう。例えばですけど、お客さんに提供しようと意図して製造・提供した製品・サービスではなく、意図せずできた副産物のようなものは対象外です。機械加工業だと加工の途中でできた切粉を、金属スクラップ屋さんに売ってリサイクルすることがありますが、そういうものは対象外です。そうした意図しない副産物の提供は除きますが、意図した製品やサービスに適用することには何の制限もありません。
ちなみにこの箇条1の「適用範囲」は、箇条4.3で求められている「適用範囲」とは異なることに注意です。箇条1の「適用範囲」は、あくまでもこの規格ISO9001の適用範囲ですが、箇条4.3の「適用範囲」は、品質マネジメントシステムを企業のどの領域に適用するかということです。
ISO9001 箇条2「引用規格」箇条3「用語及び定義」
箇条2「引用規格」ですが、ISO9001の一部として利用・引用できる規格について触れています。具体的にいうと、先程もちょっと紹介した、用語集的な使い方ができるISO9000のことを書いています。
箇条3も同様ですね。この規格の用語や定義はISO9000を見てくださいと書いているのが箇条3です。これも結構大事なことで、ISO9001の規格を読んで「なんだかこの言葉、よくわからないな」という言葉が出てきたら、ネットで調べるのもいいですが、まずISO9000をしらべるのが正解ですね。このISO9000は、9001と一体となって使うことがこの箇条の2や3で想定されています。