おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
11月19日、中小企業庁は「事業復活支援金事務事業」に係る受託者選定に当たり、企業支援に最大250万円を給付する『事業復活支援金』の実施計画書(仕様書)を公開しました。ここに『事業復活支援金』の詳細が一部判明しましたので、解説をします。
「事業復活支援金」を動画でも解説しています(無料・登録不要)
中小企業庁が公開した『事業復活支援金』の実施計画書(仕様書)はこちら
事業復活支援金は新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響を受け、売上が減少した企業が対象
実施計画書(仕様書)P1に、事業の目的が次のように書かれています。
新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響を受け、売上が減少した中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者に対して、その影響を緩和して、事業の継続・回復を支援するための事業復活支援金を給付する。
経産省のホームページ「不正受給及び自主返還について(持続化給付金・家賃支援給付金)」にも書いてありますが、売上減少の理由が新型コロナウイルスの影響によらない場合は給付対象とならないことを認識しつつ、申請する(季節性のある事業において、意図的に通常事業収入を得られる時期以外を対象月として申請することを含む)ことは不正受給に該当します。実際に、日本郵便とかんぽ生命保険の社員約120人が新型コロナとは無関係なのに受給申請していたことが明らかになり、持続化給付金を返納したという事例がありました。
事業復活支援金では一時支援金・月次支援金等の申請者情報を利用
実施計画書(仕様書)P1「事業の概要」のなかで、一時支援金・月次支援金等の申請者情報を活用することが書かれています。
事業復活支援金は、以下の①~⑤に則って給付することを想定している。また、令和2年度及び令和3年度に実施した緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金(以下、「一時支援金」という。)及び緊急事態措置又はまん延防止等重点措置の影響緩和に係る月次支援金(以下、「月次支援金」という。)等の申請者情報(申請ID、事前確認結果等)等を迅速かつ適切、公正な給付のために活用することとする。
どういう運用になるかはまだわかりませんが、一時支援金・月次支援金の申請・受給を受けた企業は、給付までの事務処理が迅速化するのかもしれません。
事業復活支援金の給付対象と給付要件(いつの売上を比較するのか、どのくらい減収していなければならないか)
実施計画書(仕様書)P1「給付対象」とP2「給付の要件」のなかで、給付要件について次のように書かれています。
新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響を受け、2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上が50%以上又は30%以上50%未満減少した中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者
なお、実施計画書(仕様書)には書かれていませんが、売上の比較対象となるのは前年もしくは前々年であると報道されています(例えば11月12日毎日新聞記事「新型コロナ 中小企業、最大250万円 政府給付金、概要固まる」)。この報道が正しければ、給付要件は下記のようになると思われます。
この例だと、2021年12月と前々年(2019年12月)を比較したら売上(事業収入)が50%減少しています。このような月がひと月でもあれば支給の対象となるのだと思われます。また、50%の減少ではなく、30%以上50%未満減少した企業も対象になります。ただし30%以上50%未満減少した企業は、給付の上限額が低くなるようです。
事業復活支援金の給付額(いくら給付されるか)
実施計画書(仕様書)P1~2「給付額」では、次のように書かれています。
2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上減少率に応じて、5か月分(11~3月)の売上減少額を基準に算定した金額を給付
○売上減少率が50%以上の場合・法人は事業規模に応じて250万円以内、個人事業者は50万円以内
○売上減少率が30%以上50%未満の場合・法人は事業規模に応じて150万円以内、個人事業者は30万円以内
「売上減少額を基準に算定した金額を給付」と書かれていますが、持続化給付金や家賃支援給付金のように給付額計算式に基づいて計算することになるのだと思われます。参考までに、持続化給付金の計算式は下記のとおりでした。
持続化給付金計算式 前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)
この情報に加え、11月20日の日本経済新聞記事「企業向け支援、事業継続へ最大250万円」では、給付額について下記のように報じられています。
11月から2022年3月までの5カ月分を一括して支給する内容で、事業の継続支援に力点を置く。給付額は、50%以上の減収となった企業のケースで年間売上高が5億円以上ならば、最大250万円。1億円以上5億円未満だと最大150万円、1億円未満なら最大100万円となる。
(11月20日日本経済新聞記事「企業向け支援、事業継続へ最大250万円」より引用)
これらの情報をまとめると、下記のような表で示すことができます。
事業復活支援金の申請書類(何を提出しなければならないか)
実施計画書(仕様書)P2「申請書類」では、次のように書かれています。
確定申告書、売上台帳、本人確認書類の写し、通帳の写し、その他中小企業庁が必要と認める書類
事業復活支援金の申請方法(どうやって申請するか)
実施計画書(仕様書)P2「申請方法」では、次のように書かれています。
電子申請で受け付ける。ただし、必要に応じて、電子申請に支障がある申請者の申請サポートを実施する。
家賃支援給付金や持続化給付金のように、電子申請で行うようです。なお、持続化給付金も家賃支援給付金も一時支援金も月次支援金もGビズIDは不要でした。今回の事業復活支援金もGビズIDなしで電子申請が可能になるのではないかと当社では推察しています(あくまでも推察です)。
事業復活支援金では基本的には申請受付から2週間以内に振り込まれる
実施計画書(仕様書)P2「迅速な給付の実現」およびP3「業務体制」では、次のように書かれています。
数百万件(※)の申請について、基本的には申請受付から2週間以内に振り込む。
審査完了後、原則、2営業日以内での振込を実施する体制とする。20万件/日(1,500億円/日)の振込でも対応できる体制とする。ただし、申請数に応じて、別途、中小企業庁と協議の上、対応すること。
ただし申請書類に不備があると2週間以内に振り込まれることは難しいでしょうし、持続化給付金や一時支援金でもあったように、申請が殺到し事務処理が滞ることがあれば、この限りではないでしょう。
事業復活支援金の申請件数は370万件を想定
実施計画書(仕様書)P2「迅速な給付の実現」では、次のように書かれています。
見積積算上、申請件数は370万件とする(対象月が12か月ある令和2年度補正予算持続化給付金事業では、約440万件の申請があった。事業復活支援金においては、対象月を5か月と想定しており、売上減少率に応じて2つの上限額設定があるため、440万件×5か月/12か月×2≒370万件の申請を見積積算上の前提とする。なお、申請数が変わった場合には、別途、中小企業庁と協議の上で対応すること。)。
「申請数が変わった場合には、別途、中小企業庁と協議の上で対応すること」とありますので、持続化給付金のように予算が枯渇した場合には予備費などから充当される可能性もゼロではなさそうです。
事業復活支援金では不正防止のため登録確認機関による事前確認
実施計画書(仕様書)P5「事前確認」では、次のように書かれています。
不正受給や誤って受給してしまうことを未然に防ぐため、申請希望者に対して、事業を実施しているか、給付対象等を正しく理解しているか等を事前に確認する措置(以下、「事前確認」という。)を講じる。
事前確認を実施する登録確認機関の募集及び登録、管理を行うとともに、申請希望者が登録確認機関を検索できるようにホームページ上での公表を行う。
事前確認の内容及び方法は、中小企業庁と協議の上で決める。
今年になって給付された一時支援金、月次支援金で行われたような、登録確認機関による事前確認を事業復活支援金でも採用するようです。
事業復活支援金の全体像については下記のページも参考にしてください
-
-
5分でわかる!『事業復活支援金』 個人事業主に最大50万円、中小企業に最大250万円。返済の義務のない現金給付
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 【12/5更新】11月19日、中小企業庁は『事業復活支援金』の実施計画書(仕様書)を公開しました。この記事では「当社は給付金の対象にな ...