おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
8月26日、NHKは「中小企業支援でサプライチェーン全体で脱炭素化を 環境省」という記事を公開しました。環境省は、資金面で中小企業の脱炭素化を支援する方針を来年度拡充する見込みです。
NHK報道『中小企業支援でサプライチェーン全体で脱炭素化を 環境省』はこちら
「サプライチェーン全体で脱炭素化」とはどういう意味か
NHKの報道では、サプライチェーン全体での温室効果ガスの削減を進めるために、資金面で中小企業の脱炭素化を支援すると書いていました。
環境省は国内の事業者の多数を占める中小企業を後押しし、サプライチェーン全体での温室効果ガスの削減を進めようと資金面で中小企業の脱炭素化を支援する方針を固めました。
サプライチェーン全体での脱炭素化と中小企業は、どういう関係があるでしょうか。
まず「サプライチェーン」とは何かというと、原材料や部品の製造から、加工・組立、在庫管理、配送、販売、消費、回収まで、モノを作って納めて販売し、回収・処分するまでの一連の活動のことを指します。この一連の流れのうち、原材料や部品の製造というのは中小企業が担うことが多い分野です(例えば金属製品であれば機械加工や板金、繊維業であれば原糸製造や染色等は、中小企業が行うことが多い)。配送も中小規模の流通業が担うことが多いでしょう。
いくら企画や管理を行う大企業が脱炭素化に取り組むとはいえ、こうした一連の活動の一端を担う中小企業も脱炭素化をしなければ意味がないということで、環境省は中小企業の脱炭素化を支援するのだと思われます。
二酸化炭素の排出量削減につながる設備導入を補助する予算を倍増
こうした中小企業の脱炭素化支援の具体的な内容については、NHKの記事では次のように言及されています。
具体的には、来年度予算案の概算要求に
▽二酸化炭素の排出量削減につながる設備導入を補助する予算として今年度の2倍以上にあたる100億円を、
▽温室効果ガスの排出量の算定や削減に向けた行動計画の策定を支援する予算として新たに15億円を計上する方針です。
「二酸化炭素の排出量削減につながる設備導入を補助する予算」が、具体的に何の施策のことを指しているのかはわかりません。「今年度の2倍にあたる100億円」と書いていることから、今年度(令和4年度予算)で50億円程度の予算規模の施策のことなのでしょうが、その予算規模で設備導入を支援する施策を(ぼくの力量では)探すことができませんでした。先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金(いわゆる「省エネ補助金」)のことかとも思いましたが、これは今年度ですでに250億円以上の予算規模ですし。
また「温室効果ガスの排出量の算定や削減に向けた行動計画の策定を支援する予算として新たに15億円」というのはどういう施策でしょうか。この一文だけではよくわかりませんが、温暖化対策推進法における温室効果ガス算定排出量報告や、省エネ法における中長期計画の提出のような印象を受けます。多くの中小企業は、温対法や省エネ法の適用対象外(原油換算で年1,500klも資源を消費しない)ですが、それでも排出量報告や中長期計画みたいなものに取り組む企業には補助を出す、という施策なのかもしれません。
年末にかけて、今年度の補正予算や来年度の当初予算の内容が明らかになると思いますが、カーボンニュートラルという厳しい目標に向けて政府も何もしないわけにはいかないので、今後省エネ・脱炭素関連の施策は予算増額も含めて、次々に打ち出されるものと思われます。