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創業時に開設した個人事業主としての口座を解約しました(&通帳の写し公開)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

先日、創業時に開設した個人事業主としての普通預金口座を解約しました。解約時にちょっとエモい気持ちになったので、そのエモい気持ちを私小説風におとどけします(なんのこっちゃ)

水曜日の午後。ぼくは銀行の待合室で一人座り、名前が呼ばれるのを待っていた。その日は折しも月末で、平日の午後とはいえATMにはちょっとした行列ができていて、行員は慌ただしくパソコンのキーを叩いている。待合室も混み合っていて、ぼくの前には初老の女性二人と、商店主のような若い男性が、名前を呼ばれるのを待っていた。

そういえば5年前――ぼくがこの銀行に口座開設に来たときも月末だった。ぼくはそれまで勤めていた会社を辞めた。事業用の口座をつくろうと、この銀行に訪れた。やはり月末だったからか、人の出入りが多く、店内はどこか慌ただしい空気が漂っていた。それまで会社勤めだったぼくは、「月末は忙しい」ということを知識としては知っていた。しかし月末の銀行で慌ただしく動く人たちを初めてみて、ようやく実感のようなものを持てた気がした。それくらいぼくは、商売というものに疎かった。

そんなことを思い出し、5年前と同じ待合室の椅子に座りながら、ふと創業時の通帳に目を落とした。あのときの預金の動きはどうだったんのだろう。創業時に鮮烈な体験をしたはずなのだが、5年もすれば忘れてしまうのだろう。そう思いながら通帳の1ページめを開く。

まず目に飛び込んできたのは「ご新規 10,000」という文字。あてもなく会社を辞め、とりあえず口座を作りに来たぼくは、たった1万円だけを入金した。それじゃ足りないとあとで気づいたのか、1週間後になけなしの資金を16万円入金する。それでも資金は20万円にも満たない。よくそんな手持ち資金で会社をやめようと思ったものだと、口を開けたまま通帳を眺めていた。

口座開設から1ヶ月後、政策金融公庫から創業資金の300万円が振り込まれていた。いまでも覚えているのだが、審査が通ったという公庫の担当者からの電話は沖縄で受けた。借入金であるにもかかわらず

「これでしばらくは生き延びることができる」

と安堵したのを覚えている。

しかし300万円の創業資金なんて、あっという間になくなるということをその時はまだ知らない。そこからたった2週間で、130万円も引き出してしまうからだ。何に130万円も使ったのかというと、それは生活資金もあったのだけれども、小規模企業共済を最大掛金で前払いをしたのが大きい。サラリーマン時代の給与所得を控除できるから、還付金が期待できると思い、小規模企業共催いきなりマックスベットしたのだった。

そんな通帳を見ながら、待合室にいるぼくは、ふだんは噛まない爪を噛んでいる自分に気がついた。

その後も多少は入金があるものの、基本的には預金は減っていく一方だった。創業から3ヶ月後の1月末には、残金は150万円ほどにまで減っていた。もちろん、売上のあてなどなかった。

その後の結果だけを言うと、寝る間も惜しんで仕事をしたおかげで、創業から8ヶ月後には借入金を全額返済することができた。正直なところ、この結果は「運だ」とはっきり言えるし、それまでは事業がうまくいく何の確信もないどころか、生きている心地が全くしなかった。ただ生きているだけでこんなにも資金が減っていくものなのかという驚きと同時に、コンサルを自ら名乗っておきながら「資金の枯渇」という不名誉な事態を避けられそうにない自分の不甲斐なさを悔やむだけであった。

「今村様、カウンターにお越しください」

窓口のカウンターから行員さんに呼ばれたぼくは、通帳を閉じ、かばんに入れた。マスクをしている若い行員さんの姿が視界に入る。カウンターに座るやいなや、アクリル板越しに行員さんはぼくに問う。

「お口座の解約ですね。もうこちらのお口座では、事業のご決済はなさっていませんか?」

「ええ……もう廃業したので……」

嘘ではない。法人成りしたときに、個人事業主は廃業をしたのだ。決して負けたわけではない……。訊かれたらそう答えよう。そう思っていた矢先に

「そうですか。では解約のお手続きをさせていただきます。ここにご契約印を……」

と事務的な会話が続けられた。事務的だったゆえになのだろうか。ぼくは少し胸をなでおろすことができた。

20分ほどですべての手続が終わり、銀行をあとにした。通帳の表紙には「ご解約済み」の判が押されていた。もう用済みの通帳は捨てるつもりだったのだけれども、なぜかこの20分の間で気が変わってた。ただの数字の羅列しかない通帳だけれども、その一行一行に思い出があることを「発見」してしまったからだった。

創業時に何が起きたのか、ぼくはまたきっと忘れてしまうに違いない。その時に通帳をみればまた思い出せる。今回は通帳を見て、不甲斐ない当時の自分に落胆をしたが、もしかしたら10年後、20年後にはまた違う感想を抱くかもしれない。

その時がくるのを少し期待しながら、ぼくは通帳をかばんの中にしまった。

(了)

む……むずかしい(・_・;)そして文才がない……

  • B!

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