おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
内部監査レベルアップ講座、「営業部門を内部監査する」というテーマでお届けします。2回目の今回は、箇条8.2(要求事項)と9.1.2(顧客満足)を中心に解説します。
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箇条8.2.1での内部監査のポイント
まずはa)の製品及びサービスに関する情報の提供です。これは具体的にいうと、製品カタログ、パンフレットとかウェブサイトでの製品説明などが該当します。こうした媒体に書かれている情報が最新のものであり、正確であるかを確認することも内部監査でできそうです。
製品やサービスの仕様が変わっているにも関わらず、パンフやウェブに載っている情報が古ければ、お客さんから「これ、違うじゃない?」と言われかねませんからね。既に販売を停止している製品・サービスの情報がウェブに載っていないか、または販売を開始しているにも関わらずパンフもウェブもできていないということがないかも確認できればいいですね。
そもそも、販促物の更新や改廃については、どんなプロセスになっていて、そのプロセスどおりに管理できているのかという問題でもありますね。
続いてはb) ですが、これについては見積書や注文書、契約書、納品書、検収書、請求書といった書類の有無とその内容確認ができるでしょう。口頭だけで注文を受けることがダメとはいいませんが、書面で顧客からの注文を受けていなければ、お客さんとの間だけではなく、営業の後工程……つまり設計部門や製造部門が仕事をする時に、間違いや誤解のもとになります。
内部監査では、営業担当者が、決められたルールやプロセスにしたがって、お客さんとしかるべき書類を交わしていることを確認したいところです。これも、受注処理プロセスどおりに作業ができているか、ということです。
c)については、苦情・クレームに関する部分です。苦情・クレームをどんな仕組みで入手して、入手したものをどう処理しているのかというルール・プロセスに対して、その通りに苦情・クレームに対応しているかどうかを確認することができるでしょうね。
これは「苦情を含む」と書いていますので、それ以外の顧客からの問い合わせなどについても、ルールやプロセス通りに処理ができているかという確認をするのがいいでしょうね。
箇条8.2.2~8.2.3での内部監査のポイント(要求事項の明確化とレビュー)
ところで、営業プロセスの中で重要なのは、受注をしてもよいかどうかを確認する行為だと思います。私も20年くらい昔にやらかしたことがありますが、技術的に実現不可能なのに、私が浅い知識でお客さんに「できます」と約束してしまったことがありました。当然、クレームになりますよね。
当時の私は、技術のことについても知識があると過信していたのもあるでしょうけど、売上をあげなければいけないというプレッシャーがあって、受注を焦ってしまったのだと思います。
そういうことって、営業の現場ではよくあると思うんですよね。営業さんが、できもしない案件を勝手に受注してきて困った事がある人も、きっと視聴者の皆さんの中にはいると思います。ISO9001でもその辺は危惧をしているのか、受注してもよいかどうかをしっかりとレビューしなさいと言っています。
箇条8.2.1ではお客さんとのコミュニケーションを定めています。ここで営業さんが、お客さんから引き合いをもらってくるんですが、お客さんからの引き合いは、必ずしも具体的ではありません。「この型番のこの製品をくれ」と名指しで買ってくれることもあるでしょうが、多くの場合は「こういうことをしたいんだけど、なんかいい方法はないですかね」みたいな、ふわっとした形での引き合いです。
そうした引き合いを受けたら、8.2.2で要求事項を明確にします。お客さんのふわっとした要望を、具体的な仕様に落とし込むんですね。
そして8.2.3では、それで本当に大丈夫なのか、という確認をします。この確認の方法は様々で、社内の誰かに相談をすることもあるでしょうし、ネットかなにかで情報を見て判断するかもしれませんし、「受注検討会議」みたいな会議形式で確認するかもしれません。どういう方法でもいいんですが、ちゃんと「これで本当にお客さんの要望を満たせるのか」という確認はしないといけません。製品・サービスの提供能力がないのに受注してしまうのは、リスクでもあるからですね。
こうしたプロセスにそって、受注の検討をちゃんとやっているかというのも、内部監査で確認したいところです。20年前の私のように、いち営業担当者の独断でお客さんに約束してしまう、みたいなことが起きていないか、という確認をすることだと言ってもよいでしょう。また、こうした確認を個々の営業担当者の判断でやっている場合は、営業担当者に判断ができるだけの技術的な力量があるかというのを確認するのも内部監査のポイントですかね。
箇条9.1.2 顧客満足の監視
箇条9.1.2では、顧客満足について監視をしなさいと要求されています。
一般的には「顧客満足度調査」のようなものをしている会社が多いと思いますが、営業さんが顧客満足度調査を担当しているというケースも多いんじゃないかと思います。
内部監査では、顧客満足度調査がちゃんと行われたかどうかを確認することはもちろん必要ですが、顧客満足度調査の有効性を確認することもできるでしょう。
例えば、毎年同じような調査結果だったり、よいコメントばかりで、悪いコメントや改善の余地を見つけることができそうなコメントというものが皆無だったりすると、「この顧客満足度調査をやってて本当に意味があるの?ISOのためだけにやってるんじゃないの?」となりかねませんよね。
そもそもISOは、顧客満足を向上させるためにやっているわけですから、それにつながるような「顧客満足度調査」であるべきですよね。今の調査の方法や頻度で、本当にお客さんのニーズを拾えているのか、そもそもアンケート形式でいいの?みたいな、顧客満足を把握するプロセスの根本にまで踏み込んで、有効性を評価できたら最高ですよね。
営業における品質とはなにか
営業における品質とは、顧客のニーズを正確に把握し、後工程である設計開発や製造部門に正しくパスをすることです。
営業だから売上が大切だという気持ちもわかりますが、売上を上げるためにやらなければならないことを、地に足をつけて内部監査していただきたいと思います。