おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
環境法令解説シリーズ、今回はEU(欧州連合)の規制であるRoHS指令(電気・電子機器に適用される、有害化学物質の規制)について、だいたい5分でわかるように解説します。
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RoHS指令とはなにか
RoHS指令とは、電気・電子機器に適用されるEU(欧州連合)の規制のことです。
EUで販売される電気・電子機器には、ある特定の化学物質を使ってはダメよ、と言っている法律みたいなもののことです。
こまかいルールはいろいろあるんですが、基本的には、製品・部品の単体としてEU域内で販売されるものが規制の対象です。
当たり前のことですが、自社が作った製品が日本国内しか流通しない、というのであれば、もちろんRoHS指令の対象外です。
またRoHS指令は、最終製品として、ある特定の有害な化学物質を使ってはいけませんとするものです。ですので「うちで作ったの部品は、取引先が組み付けて最終製品にして、ヨーロッパに輸出していますよ」という場合は、必ずしもRoHS指令に基づく文書の作成などをする必要がありません。
ただ、そういう場合でも、最終製品メーカーからは、「RoHSの規制物質を使ってませんよね?」という確認を求められることがあります。このような場合も、ある程度の責任を果たす必要があります。
RoHSが規制をしている有害な化学物質
RoHSが規制をしている有害な化学物質とは何でしょうか。これは10物質あります。
まずRoHSが2006年に施行されて以来禁止しているのは、この6物質です。鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテルですね。
これらの物質を一切使ってはいけないというわけではなく、濃度で基準が設けられています。基本的には1,000ppm以下…つまり物質の重量に対して0.1%以下でなければなりません。ただしカドミウムに関しては100ppm以下ですね。
最初はこの6物質だったんですが、2015年に指令が改正され、2019年7月から、規制物質が4つ追加されました。フタル酸エステル類の4物質です。樹脂の可塑剤などに使われているそうですね。
というわけで、現在ではこの10物質がRoHS指令の規制対象になっています。RoHS指令は、これら10種類の有害な化学物質が、環境に放出されるリスクや、製造やリサイクルする時に作業者の健康を害するリスクを低減するという目的で、施行されています。
製造者が守るべきRoHS指令の義務
さきほどお話したように、製品・部品単体として電気・電子機器をEU域内で販売する製造者は、RoHS指令に従う必要がありますが、そうした製造者が守るべき義務は具体的にどうようなものがあるでしょうか。
大まかに言うとここにあげた5つです。
特に1と2が重要なので、この2つだけは解説したいと思います。
まず1です。さきほど見た有害物質について、含有率が許容基準以下であることを評価し、適合宣言をします。そしてCEマークを貼り付けないといけません。
CEマークというのは、その製品が、関係するEU指令に適合していることを示すマークのことです。パソコンのACアダプタの裏などを見ると、こういうマークがついていると思います。
RoHS指令の場合、CEマークは自己宣言・自己認証で使うことができます。ちょっと注意が必要なのは、CEマークはRoHS指令だけのものではない、ということです。その製品に関係するEU指令すべてに適合していることを示すものです。電気・電子機器に関するEUの指令には、RoHS以外にも、EMC指令や低電圧指令などがありますが、CEマークをつけるということは、それら全てに適合しているということを意味します。
そして2ですね。適合していると宣言するだけではダメで、その根拠を示す技術文書を作らないといけません。
これはEN IEC63000:2018という整合規格にしたがって作らないといけません。この規格には、有害化学物質の非含有を証明するための手順が定められています。
このあたりのやり方は非常に複雑で、正直なところ私も詳しくわかっていません。経産省が「CE マーキング技術文書の作成の手引き」というような資料を無償で公開したりしていますので、こういうものを見ながら対応することになるでしょう。
今後もRoHS指令は改正され制限物質が増える可能性がある
RoHS指令についてざっと解説をしましたがいかがだったでしょうか。
RoHS指令は、2006年に施行されていらい、ちょくちょく改正されています。いまも改正の予定があって、制限物質を追加する見直しが行われているようですね。こうした規制は、徐々に厳しくなっていくというのがお約束ですね。改正の最新動向にも注意を払っていただければと思います。