おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO14001:2015 各箇条解説シリーズ、今回は7.4「コミュニケーション」。今回は箇条7.4の規格要求事項を中心に解説します。
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ISO14001:2015 7.4 環境でのコミュニケーションは範囲が広い(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO14001:2015 各箇条解説シリーズ、今回は7.4「コミュニケーション」。環境マネジメントシステムにおけるコミュニケーション ...
箇条7.4.1の規格要求事項
それでは箇条7.4の規格要求事項を見ていきましょう。7.4.1「一般」からです。
コミュニケーションに関する内部・外部のプロセスを確立することを求めています。どんなコミュニケーションを、いつ、誰が、誰に対して、どのようにコミュニケーションするのかを、必要なコミュニケーションの分だけ決めなさい、ということですね。
役所への報告は誰がどうやるかとか、法律の改正情報は誰がどう入手するかとか、顧客からなにか環境に関する情報提供を求められた場合は、誰がどうやるか、みたいなことを決めるということですね。
こうしたプロセスを確立する時の注意点もこの箇条に書いています。まずは「順守義務を考慮に入れる」とあります。考慮に入れる、という言い方なので、順守義務に関するコミュニケーションは、必ずプロセスとして確立しないといけないということですね。
そして次が「伝達される環境情報が、環境マネジメントシステムにおいて作成される情報と整合し、信頼性があることを確実にする。」とあります。
これはちょっと解説が必要ですね。環境に関する情報は、社内のいろんな人が、外部の利害関係者に対して、バラバラに行う場合があります。例えば顧客に対しては営業部門がコミュニケーションするでしょうが、近隣住民に対しては総務部門が窓口になるでしょうし、銀行や投資家に対しては経営者自らが窓口になったり、IR部門が窓口になったりします。
そうした時に、各部署がそれぞれバラバラの情報を社外に発信するようなことはダメよ、という意味ですね。コミュニケーションに必要な情報の管理も、環境マネジメントシステムのなかで行いなさい、ということです。「信頼性があること」と書いていますので、もちろん、隠蔽したり捏造したりするのもダメですね。
その次の「組織は、環境マネジメントシステムについての関連するコミュニケーションに対応しなければならない。」というのは、社内外とのコミュニケーションは双方向のプロセスとして捉えなさい、という意味だそうです。
そして最後、「組織は、必要に応じて、コミュニケーションの証拠として、文書化した情報を保持しなければならない。」ということですが、コミュニケーションの記録を取るということですね。わかりやすい例でいうと議事録みたいなイメージでしょうし、役所に何かを報告をしたのであればその控えを持っておく、というのも記録に該当するかもしれません。
「必要に応じて」とありますので、全てのコミュニケーションで記録を残すのではなく、重要なものに関して記録を残すというのでもよいでしょう。
箇条7.4.2の規格要求事項
続いては7.4.2「内部コミュニケーション」です。さきほどの7.4.1の要求事項にもとづいてコミュニケーションのプロセスを確立した上で、内部コミュニケーションについてはこのa)とb)をやりなさい、といことですね。
a)は、環境マネジメントシステムに関連する情報について、社内で周知しなさい、といことです。環境マネジメントシステムの変更を含め、とありますので、例えば新しい設備を導入して、新しい環境側面と環境影響が洗い出されたのであれば、それを現場にも周知する必要があります。
b)についてはどうでしょうか。これは従業員が、環境を改善していくことへ参加するようなコミュニケーションを求めています。例えばですが、提案制度を設けるとか、既存の改善活動に環境面の改善テーマを盛り込む、みたいなイメージでしょうかね。
箇条7.4.3の規格要求事項
続いては7.4.3「外部コミュニケーション」です。これもさきほどの7.4.1の要求事項にもとづいてコミュニケーションのプロセスを確立した上で、そのプロセスを実施しなさい、と言っているだけです。
ひとつ注意が必要だとすると、「順守義務による要求にしたがって」と書いている点でしょうか。7.4.1でも、順守義務を考慮に入れてコミュニケーションプロセスを決めましたが、それを実行することをあらためて強調しているようにも見えます。行政や顧客への報告は特にちゃんとやりなさいよと、強調していると解釈してよいと思います。
品質マネジメントシステムの「コミュニケーション」との違い
環境マネジメントシステムにおけるコミュニケーションは、法規制への対応のために行政とのやりとりの機会が多いという点が、品質とは大きく異なる部分ですね。環境関連法規によっては、行政への報告を怠った場合には罰則を受けるというリスクもありますから、品質と違って、行政とのコミュニケーションは特に気を使う必要がありそうですね。