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【内部監査レベルアップ講座】ISO9001/ISO14001もはかどる5S活動(1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

5Sの考え方がISO9001や14001の運用に役立つことがあります。その逆もあって、ISOの仕組みが5S活動に役立つこともあるんですね。今回はまず、ISOと5Sを効率的にやっていく手法について解説をします。

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ISO9001(品質マネジメントシステム)で使える5Sの手法

ISO9001(品質マネジメントシステム)に関連する5Sの手法について説明をしましょう。

適正な室温・湿度管理のための表示

ISO9001では、適切な作業環境を用意しなさいという要求事項があります。例えばですが、検査や試験をする部屋では、検査に適した温度や湿度などがJISで決められています。温度や湿度によって、特に金属などは、熱膨張などを起こして、精密な測定ができなくなるからですね。ですので、精密な測定が必要な部屋の室温は、しっかり管理しなければなりません。

この図では、JISで決められた検査室の標準状態の温度と湿度を空調のリモコンの横に貼っています。そして温度・湿度計をその横にかけています。室温の調整が必要になれば、すぐに空調のリモコンでの調整ができるようにしているわけですね。

続いてはISO9001で求められている測定器の管理です。まず測定器は優先的に5Sに取り組むべきものだといえるでしょう。というのも、モノがたくさんあるところに乱雑に測定器を置くと、ぶつかったり傷ついたりして精度が狂うおそれがあるからです。したがって測定器の精度を維持するためには、整理と整頓が重要です。もちろん、測定器をすぐ探せてすぐ手に取れるという効率の面からも、整理整頓しておいたほうがいいですよね。

計測器の形跡管理

この図では、発泡ポリエチレンシートやウレタンボードを測定器の形にくり抜いて、測定器の定位置を明確にしています。形跡管理というやつですね。心理的にも、同じ形のところに思わずはめたくなりますよね。ただし測定機器は似たような形のものも多いですので、くり抜きだけではなく、ラベルも貼るのが望ましいです。ラベルは、測定器の種類や使用する部署、校正期限などに応じて、色で管理するというやり方もあるでしょう。

木箱・アルミケースに入った測定器の置き場・置き方

測定器には保護のために木箱やアルミケースに入れて保管する場合もあります。そうしたときには、このような棚に収納すると整理整頓がはかどります。

箱と置き場には表示をつけて定位置を明確にするとともに、箱を開けなくても何が入っているかがすぐわかるように測定器の名称などを書いておくと良いでしょう。また保護用のケースは高さがマチマチです。そのケースの高さに合わせて、棚板の間隔や棚板の数も変えると収納力があがります。棚板の間隔は広いけど、おいているものはすごくひらべったくて、まるで空気をおいているみたいな収納の仕方は、あまり効率的とは言えないでしょうね。

測定器の校正期限の色別管理

ISO9001でよく不適合が見つかるポイントとして、測定器の校正期限の管理があります。平たく言うと、校正期限が来ているにもかかわらず、校正がされていない、ということがよくあるんですよね。測定器をたくさん使っているような現場では、確認漏れや抜けによって、見落としてしまうこともあります。そもそも管理台帳に名称や型番だけしか書いていなければ、どれがその現物なのかを探すのも手間ですよね。

そうした管理をわかりやすくするために、測定器にシールを貼って、色で校正期限を管理するという方法があります。

例えば赤のシールを貼っているものは、来年の2月が期限で、黄色のシールを貼っているものは来年の7月だ、みたいなことがわかる印ですね。こういう目印を付けておくと、探すことが楽になって、結果的には確認漏れや確認抜けの恐れも減っていくでしょう。

顧客支給品・預かり品の置き場・表示づくり

続いてはお客さんからの支給品や預かり品についての管理です。ISOでも「顧客や外部提供者の所有物は、識別したり保護・防護をしなさい」という要求があります。お客さんから預かったものを紛失したり、壊したりすると、クレームになるからですよね。

支給品や預かり品にはいろんな種類のものがあるので、一概に「こうするのがよい」とは言えませんが、例えば識別としては、この例のように、お客さんからの支給品や預かり品の置き場を定めたり、置き場に表示を作ったり、さらには支給品や預かり品がどういうものなのかを示す表示などを作ることが考えられます。

ここまですれば、紛失や破損のリスクってかなり減らせるはずですよね。

ISO14001(環境マネジメントシステム)で使える5Sの手法

続いてはISO14001(環境マネジメントシステム)の運用に関連する5Sの手法についての説明をしましょう。ISO14001では様々な環境法規制を順守することを求めていますが、モノの保管方法や表示方法を法律などで定めているというケースがよくあります。したがってISO14001と5Sは、非常に親和性が高いといえますね。

廃棄物分別の色別管理

まずはわかりやすいところから解説していきたいと思いますが、ごみの分別方法です。

この図では、ゴミの種類に応じてゴミ箱に表示を付けています。それだけではなく、台車と、その台車の置き場を、ゴミ箱の表示の色とあわせています。例えば燃えるゴミだと、赤い表示と、赤い台車と、赤で示した台車置き場になっていて、燃えるゴミに関しては赤で統一されていますね。これを、ゴミの種類ごとに用意しています。台車に乗せている理由は、現場のゴミを運び出すのは結構大変な場合があるからですね。台車そのものをゴミ箱の定位置とすることで、運搬のムダも軽減できる、ということです。

廃蛍光灯の置き場と表示づくり

つづいては廃蛍光灯の保管と表示の義務です。LEDではない、ふつうの蛍光灯は一部に水銀を使ってるので、廃棄物として出す時に、いくつかの決まりがあります。まず蛍光灯は、他の廃棄物と混ざらないように保管をしないといけません。そして保管場所には「水銀使用製品産業廃棄物」という掲示をする必要もあります。

このようなことが法律で求められていますので、廃蛍光灯の置き場も、この図のように、掲示を作ったり、他の廃棄物と混ざらないような置き方をしています。こうした置き方が守られるような仕組みを作るのも5Sだと言えるでしょう。左側の図は、ドラム缶に廃蛍光灯を入れて、ロープで区切って保管をしていますが、右側の図は何でしょうか。最近、ちらほら見かけますが、廃蛍光灯を収納できるプラダンの箱なども市販されているようです。こうした市販の箱を使って置き場・置き方を定めるという方法もあるでしょう。

危険物の置き場・表示づくり

危険物の保管方法にも法律での定めがあります。まず、危険物と、危険物以外の物品を、まとめて貯蔵する場合は、相互に1m以上の間隔を置く必要があります。また、類が異なる危険物は原則として同一の貯蔵所に置かないという法律上の決まりもあります。したがって危険物の保管庫内でも、こうした法の定めを順守できるような置き場、置き方を考えなければなりません。

また、何が置かれているかを明確にするためには、それぞれの危険物の置き場に表示があるのが望ましいでしょう。

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