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ISO14001:2015 9.2 「内部監査」の規格要求事項

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO14001:2015 各箇条解説シリーズ、今日は箇条9.2「内部監査」について解説をします。まずは箇条9.2の規格要求事項をじっくりと解説します。

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箇条9.2「内部監査」 の位置づけ

それでは今日のテーマである箇条9.2「内部監査」 の位置づけについて確認しましょう。

箇条4では、組織をとりまく課題や利害関係者のニーズ・期待などを考慮して、環境管理の仕組みをつくる手筈を整えました。

箇条5では、トップマネジメントが果たすべき役割について定めましたね。

つづいて箇条6では、環境側面と環境影響、リスクと機会、そして環境に関する法令などを明らかにして、その上で環境に関する計画や目標を定めてきました。

箇条7では、必要な人材、道具、設備、インフラなどを準備しました。

箇条8では、プロセスを確立、実行して、管理、維持してきました。

箇条9では、マネジメントシステムがうまくいっているかどうかのチェックをします。その中でも今日説明をする箇条9.2では、内部監査という方法で、環境マネジメントシステムが狙い通りに運用されているかをチェックすることを求めています。

箇条9.2.1「一般」の規格要求事項

では規格要求事項を見ていきましょう。まずは箇条9.2.1「一般」です。

ここはただ「内部監査をやりなさい」と言っているだけですね。ここで注目をしたいのが「あらかじめ定めた間隔で」ということです。わかりやすくいうと、「毎年8月に、年1回やる」と決めたのならば、その間隔でやりなさいということです。とはいえメリハリをつけることも重要です。

次の9.2.2でも言われていますが、関連するプロセスの環境上の重要性などを考慮して内部監査をすることもOKです。例えば環境上、重要なプロセスは年2回やって、それほど重要でないプロセスは年1回にする、みたいな柔軟な対応を取るのもよいでしょう。

a)の1)には「環境マネジメントシステムに関して、組織自体が規定した要求」と書いていますが、これはどういうことでしょうか。これは、みなさんがたの会社の環境マニュアルや、その他の規程、手順書など、みなさんがたが定めたルールのことを指しています。一方2)は、この規格…つまりISO14001の要求事項のことですね。この1)と2)が、内部監査の基準となります。

箇条9.2.1「内部監査プログラム」の規格要求事項

続いては箇条9.2.2「内部監査プログラム」の要求事項です。

冒頭の一文に書いている内部監査のプログラムとは何か?ということですが、これは個別の内部監査の具体的な計画というよりも、年間の監査計画のようなものだと理解するほうがしっくりきます。

監査プログラムは、関連するプロセスの重要性、組織に影響を及ぼす変更、及び前回までの監査の結果を考慮に入れなければならない。とあります。これは先ほどのスライドでも説明したように、環境上、重要なプロセスは年2回やって、それほど重要でないプロセスは年1回にする、みたいなメリハリをつけることを意味しています。

これはリスクに基づく考え方ですね。社内の全部署を一律にまんべんなくチェックをしていくのではなく、問題がおきそうなところや、問題がおきたら大変なことになりそうなところに重点をおくことを考慮に入れて、年間計画を立てなさいということですね。もう少し具体的にいうと、インプットとして有機溶剤や油をガンガン使い、アウトプットとして廃油や廃液、産業廃棄物が出るような製造現場のプロセスと、一方で、事務所でパソコンを使って、アウトプットは紙・ゴミと電力消費だけという事務作業プロセスを比べたら、明らかに製造現場のプロセスのほうがリスク高いですもんね。

また「組織に影響を及ぼす変更」というのは、前回の内部監査から変わった点などにも注意をするということですね。例えば新しい設備が入ったとか、人が入れ替わったとか、取り扱う有機溶剤の種類が増えたとか、そうした変更時にはミスが起きやすいですよね。つまり、変更箇所はリスクが高いともいえます。このように、リスクにもとづいてメリハリをつけなさいというのが、冒頭の2つの文が言おうとしていることですね。

その上で規格は、a)からc)までをやりなさいと言っています。

a)の監査基準というのは、一般的にはマニュアルや規程などの文書、そしてISO14001の規格などでしょうし、監査範囲は一般的には箇条4.3で決めた適用範囲でしょうね。

b)については、客観性・公平性というのがキーワードですが、これは内部監査のお約束として、監査員は自分の仕事を監査しないということです。自分で自分の仕事をチェックすると、甘くなってしまう恐れがありますからね。それはもちろんですが、ちゃんと内部監査ができる力量を持った人を選定する必要もあります。

c)は内部監査の結果を、監査対象となった部門はもちろん、管理層などの、その他の必要な人にも報告しなさい、ということです。内部監査の結果は、9.3マネジメントレビューでもトップに対して報告されることになっていますね。

最後の一文は、監査の記録をとっておきなさいということですね。一般的には、内部監査報告書というものにまとめるとか、監査でいろいろと記入をしたメモやチェックリストなどを記録として保持するケースが多いと思います。

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