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ISO14001:2015 9.3 マネジメントレビューはリーダーシップの発揮の場(1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO14001:2015 各解説シリーズ、今日は箇条9.3「マネジメントレビュー」について解説をします。マネジメントレビューというのは、ISO14001がうまくいっているかどうかを、組織のトップが評価する場のことです。規格要求事項を詳細に解説します。

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箇条9.3「マネジメントレビュー」 の位置づけ

それでは今日のテーマである箇条9.3「マネジメントレビュー」 の位置づけについて確認しましょう。

箇条4では、組織をとりまく課題や利害関係者のニーズ・期待などを考慮して、環境管理の仕組みをつくる手筈を整えました。

箇条5では、トップマネジメントが果たすべき役割について定めましたね。

つづいて箇条6では、環境側面と環境影響、リスクと機会、そして環境に関する法令などを明らかにして、その上で環境に関する計画や目標を定めてきました。

箇条7では、必要な人材、道具、設備、インフラなどを準備しました。箇条8では、プロセスを確立、実行して、管理、維持してきました。

箇条9では、マネジメントシステムがうまくいっているかどうかのチェックをします。その中でも今日説明をする箇条9.3では、環境マネジメントシステムがうまく機能しているかどうかについての情報などをトップに報告し、もっと成果があがるように環境マネジメントシステムを継続的に見直しすることを定めています。

箇条9.3の規格要求事項(インプット)

では箇条9.3の規格要求事項を見ていきましょう。

まずは冒頭のこの一文ですが、ここも「マネジメントレビューをやりなさい」と言っているだけですね。内部監査と同様、「あらかじめ定めた間隔で」とあります。いつ、どのくらいのスパンでやるかは企業が決めることです。一般的には、その会社の年度末・もしくは年度初めに行うというケースが多いのではないかと思います。

規格要求事項には続きがありますが、表にしてまとめて解説します。規格では、ここに書いているようなことをマネジメントレビューのなかで、一つ一つ確認し、話し合い、対応を考えていくことが求められています。

左側のインプットから一つずつ確認をしていきましょう。

まずはa)前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況です。前回のアウトプット、つまり「こうしよう」と前回決めたことが、ちゃんと実行されたか、定着しているか、効果をあげているかについて確認をします。

b)は、次の事項の変化として、1)から4)まで議題があります。

b)の1)は、環境マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題の変化ですね。たとえばこの1年間を振り返ってみて、箇条4.1で明らかにした課題に変化があるかをインプットします。最近ではこんな新しい環境技術があるようだとか、他社では最近こんな取り組みをしているようだ、みたいなことですかね。こうした課題の変化を認識して、新しい打ち手を経営層が経営判断をする材料にします。最近現場で特に困っていることなども、この場でインプットするのが効果的でしょう。現場の困りごとをトップに伝えて、トップに経営判断をしてもらう、という流れを作ることができます。

2)は、箇条4.2や6.1.3で明らかにしたことに変化があるかをインプットします。最近顧客からはこんなことを求められるようになったとか、関連する法律が変わった/変わる予定があるとかですね。

3)は、箇条6.1.2で明らかにした著しい環境側面に変更があるかをインプットします。最近、こういう化学物質を使うようになったとか、新たな設備の導入によってこういう著しい環境側面が明らかになった、とかですね。

4)は、箇条6.1.1で明らかにしたリスク・機会に変更があるかをインプットします。脱プラの動きが加速していて、このままプラスチックを使っていては、当社の評判を落とすリスクが新たに生まれた、みたいな感じですね。

c)に参りましょう。環境目標が満たされている程度です。たてた環境目標がどの程度達成できたかについての報告ですね。達成したとしても達成できなかったとしても、なぜそういう結果になったかという分析がやはり重要ですので、ここも単に環境目標の結果をインプットするだけではなく、そういう結果がでた理由や背景、そして今後の見通しなども説明できる人が報告をすることが、マネジメントレビューが有効に機能するポイントでしょう。

d)は、環境パフォーマンスに関する情報ですね。パフォーマンスというのは、箇条8.1で定めた、各プロセスの運用基準に対する結果であるとか、9.1.1での監視測定の結果などがありますね。d)については、1)から4)の傾向も含めなさいと言っています。

d)の1)は、不適合及び是正処置です。どれだけの不適合があり、是正処置の状況はどうなのかということですね

2)は、監視及び測定の結果です。箇条9.1.1で、何を監視し、測定するかということを決めましたが、その結果のことですね。

3)は遵守義務を満たすこととありますが、これは箇条9.1.2でやった順守評価…たとえば法律が守られているかどうかという結果などのことですね。

4)の監査結果は、内部監査、外部審査、そして顧客から直接監査を受けるなどがあった場合は、不適合や指摘事項、推奨事項、監査の所見などについて報告をします。

つづいてe)の資源の妥当性です。資源というのは人、モノ、金のことですが、いまのわが社には人、モノ、金がじゅうぶんかどうか、必要な部署に行き届いているか等について報告をします。例えば設備が古くなって環境に負荷がかかっている、みたいな現場の実態を報告すると、効果的な経営判断ができそうです。
f)では、苦情を含む、利害関係者からのフィードバックについてトップに報告します。

最後、g)は改善の機会ですね。内部監査や外部監査での推奨事項や、その他現場からの改善提案などを報告するのが望ましいでしょう。

  • B!

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