おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
環境法令解説シリーズ、今日は2023年4月から施行が予定されている改正省エネ法の改正点について解説をします。改正のポイントは3点ありますが、最終回の今回は「電力需要最適化」について解説します。
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前回・前々回の記事はこちら
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【環境法令解説シリーズ】基礎からわかる!省エネ法2023年改正点解説(1)
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【環境法令解説シリーズ】基礎からわかる!省エネ法2023年改正点解説(2)
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省エネ法改正のポイント「電力需要最適化」について
続いて3点目の電力需要最適化について見てみましょう。電力需要最適化を説明するには、電気を供給する上での制約について知っておいたほうが、理解がはかどります。
電力会社は、電気を作るのにいろんな作り方をしています。
まずは原子力や水力発電などのベースロード電源です。これは昼夜を問わず安定的に発電できる電力源のことです。そして一番上に再生エネルギーがありますね。太陽光発電をイメージしてもらうとわかりやすいですが、再生エネルギーは昼夜または天候などで発電量が左右されがちですので、発電量が一定ではありません。真ん中には火力と書いていますが、火力はおおざっぱにいうと、ベースロード電源や再生エネルギーだけでは足りなくなった場合や、逆に発電量が多すぎた場合などに、調整をする役割があると思ってください。
そして、われわれが会社や家庭などで電気を使う電力需要があります。基本的には、電力は受給のバランスと取ることが必要です。この図では、朝方や夜は、電力需要のほうが多くなっていますし、昼間は供給が多くなっていますね。これはよろしくない状態なんですよね。電気は、需給のバランスがくずれてしまうと、周波数に乱れが生じ、発電所の発電機や工場の機器に悪い影響を与えて、最悪の場合は大規模停電につながってしまいます。だからこの調整をうまく取る必要があります。これが電気を供給する上での制約の基本的な知識です。
そして、今回の改正省エネ法で行われる電力需要最適化について説明をしますが、要は電力供給のバランスをとるために、需要をずらそうという試みですね。
例えばこういう電力需要の時、昼間に再生エネルギーの分が供給過多になっていますよね。
電気を作りすぎなわけです。このようなときに昼間の電力需要を伸ばすことができれば、需要と供給のバランスが取れますよね。電力を使って朝方にやっている仕事を、昼にやってもらう、みたいなイメージですね。こうしたことを促すために、再生エネルギーの出力を抑えたいときに、通常時の係数よりも、低いエネルギー換算係数で、エネルギー使用量を計算してもらうわけです。こうすると、同じ電力を使ったとしても、朝方に仕事をするより、昼間に仕事をしたほうが、省エネ効果を高く報告できるということですね。
反対に、この図のような電力需要の時、夜に電力需要過多になっていますよね。電気が足りなさすぎなわけです。
このようなときに夜の電力需要を減らすことができれば、需要と供給のバランスが取れますよね。電力を使って夜にやっている仕事を、昼にやってもらう、みたいなイメージですね。こうしたときに、通常時の係数よりも、高いエネルギー換算係数で、エネルギー使用量を計算してもらうわけです。こうすると、夜の仕事を昼間にやったほうが省エネ効果を高く報告できることになるので、仕事をする時間帯をずらすインセンティブが働くのではないかということです。
こうした需給に応じた係数の設定を、時間帯別または月別にやろうという試みですね。結構複雑な運用ですし、企業にも都合があるでしょうから、どこまでうまくいくのかわかりませんが、それでもやっていく必要性があるんだと思いますね。
この記事を書いている2023年2月の時点ではまだ運用の細かい点がわかっていないところもありますので、これからの役所の情報には注意をしてくださいね。