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事業再構築指針が更新 指針の基礎と変更点解説(1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

3月30日、事業再構築補助金第10回公募の開始にあわせて、事業再構築指針も更新されました。今更ですが指針の基礎を復習するとともに、このたびの変更点について解説します。

「事業再構築指針」と「事業再構築指針の手引き」はこちら

事業再構築指針

事業再構築指針の手引き

2023年3月30日改定の事業再構築指針について(指針の基礎)

2023年3月30日に改定された事業再構築指針には、5つのタイプ(類型)があります。

「新市場進出」「事業転換」「業種転換」は、既存事業と再構築後の主たる業種・事業がどう変わるかによって決まります。ここで言う主たる業種・事業というのは、売上構成比が最も高いもので、日本標準産業分類に基づくものです。大事なのは、新規事業の業種・事業ではなく、会社全体の主たる業種・事業だということです。(これについては後でもう少し詳しく解説をします)

最初の類型である新市場進出は、主たる業種・事業が変わらない場合の類型です。事業転換は、中分類・小分類・細分類で主たる事業が変わる場合ですね。業種転換は、大分類で主たる事業が変わる場合です。

「新市場進出」「事業転換」「業種転換」では、新製品・新サービスを投入し、新市場に進出する必要があります。新製品・新サービスとは、これまでに提供実績のない、完全に新しいものでなければなりません(製品等の新規性要件)。新市場とは、既存事業と新規事業とで、顧客が変わることを指します(市場の新規性要件)。

つづいて国内回帰ですが、この類型では新製品を投入しなくてもいいんですが、海外製造品を国内で作ることと、先進設備を導入することが求められます。なおこれらの類型には売上に関する要件もあります。

なお「新市場進出」「事業転換」「業種転換」「国内回帰」では、補助事業終了後(3~5年後)に、新製品の売上高が総売上高の10%以上になる計画や、新製品の属する事業・業種がその企業において売上構成比で最大になるような計画でなければなりません。ただし、数字に根拠がなければ評価されません。

最後に、事業再編は、会社法上の組織再編行為を行い、新たな事業形態で新市場進出・事業転換・業種転換を行う場合です。

主たる業種・事業はどうやって調べるか(日本標準産業分類について)

「主たる業種」「主たる事業」とは何のことでしょうか?それを知るためには、まずは「日本標準産業分類」を知る必要があります。

日本標準産業分類とは、総務省が決めた業種・事業の分類のことで、役所に申請する書類などでは、この分類を使って自社の業種が何であるかを申告することが一般的です。

日本標準産業分類は、上記の図のように、大分類、中分類、小分類、細分類と、4つの階層にわたります。この例だと、製造業という大分類の中に、いくつも中分類があって、中分類の中に、小分類がいくつもあって、小分類の中にはまた細分類がいくつもある、という構造になっています。自社の分類は、細分類まで確認をしましょう。こうしてまずは、現在の「主たる業種」「主たる事業」(売上構成比の最も大きな業種と事業のこと)を調べます。

そして次に確認するのは、補助金をもらってやろうとしている新しい取組が、日本標準産業分類のどれに該当するかを調べることです。そうすると、現在の主力事業の分類と、新しくやろうとしている分類がわかります。

この違いが、大分類間(例えば、E製造業からG情報通信業)での変更になるならば、これは業種転換に該当します。一方で、中分類間(09食品製造業から16化学工業)での変更や、小分類間、細分類間での変更であれば、それは事業転換に該当します。

取組をやったとしても、「主たる業種」「主たる事業」に変更がなければ、新市場進出に該当します。

主たる業種・事業が変わることには何の意味があるのか

どうして事業再構築補助金では、主たる業種や事業なんてものが要件になっているのでしょうか。こんなわかりにくいことをしなくても、儲かる分野の仕事をするってだけでいいじゃないか?って思いませんか?

実はこの理由は、事業再構築補助金が「コロナ対策の補助金」であることと関係します。

例えば事業転換に該当する例を見ながら解説をしたいと思います。事業転換は、現在の主たる事業とは異なる事業分野で新しい製品・サービスを提供し、3~5年後に現在の主な事業を超える場合の類型でしたよね。

具体的には、飲食店が、コロナの影響の著しい日本料理店から、コロナの影響の少ない焼肉店を手掛け、しかも焼肉店が日本料理店の売上規模を超え、主たる事業になるという場合が該当します。

既存サービスである日本料理店は、産業分類でいうと細分類が7621にあたりますが、焼肉店をはじめて3~5年間で、日本料理店は新しいサービスの焼肉店に抜かれ、主たる事業から陥落しています。このような場合は、事業転換に該当します。

なぜこんなことをするかというと、現在の主たる事業(この例でいうと日本料理店)は、感染拡大によって売上を落とす可能性があるからです。しかも現在の主たる事業であるので、売上が落ちたときに会社の経営に与えるインパクトは大きいです。別の言い方をすると、この例は、感染拡大の影響を受けやすい事業への依存度が高い、ということでもあります。

そこで、感染拡大の影響を受けにくい事業(焼肉店。なぜなら焼肉店は一般的に排気設備が重実しており、感染リスクが低いため)に集中することで、感染拡大の影響を受けやすい事業への依存度を下げるのです。これが事業転換であり、ひいては事業再構築補助金が狙いとするポストコロナ・ウィズコロナへと対応するための戦略的転換なわけです。

この補助金はあくまでも「コロナ対策」の補助金

世間一般的にコロナによる社会活動の制約が少なくなってきたとは言え、事業再構築補助金の第10回公募は、公募要領を読む限り、まだまだ「ポストコロナ」や「ウィズコロナ」というキーワードが見られます。審査項目にも残っています。

したがって上記の例のように、感染拡大の影響を受けやすい事業への依存度を下げるような事業再構築が必須と当社では考えます。いくら産業分類が変わるからといって、コロナの影響を受けやすい業種や事業へと事業を再構築するのは、この補助金の趣旨に反します。また、元の「主たる業種」や「主たる事業」が、コロナの影響を受けていないというのも、この補助金の趣旨にはそぐわないものだと言えるでしょう。

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