おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
環境法令解説シリーズ、今回は労働安全衛生法の改正点について要点を絞って解説します。厳密に言うと労働安全衛生法は環境法令とは言えませんが、ISO14001の順守義務として取り扱う場合があります。その場合を想定して、企業が対応すべきポイントの要点を説明します。
どんな場合に労働安全衛生法をISO14001の順守義務として扱うのか
厳密に言うと労働安全衛生法は環境法令とは言えませんが、ISO14001の順守義務として取り扱う場合があります。どういう場合に労働安全衛生法をISO14001の順守義務として扱うのかというと、やはり環境側面として化学物質の使用を挙げており(もっというと、その上で環境影響として従業員の健康・安全を阻害するということが明確になっている)、さらに加えて、労働安全衛生法を順守義務として定めている場合と考えるのがわかりやすいでしょう。
このあたりは企業が決めるべきことだとは思いますが、当然のこととして、ISO14001の順守義務として扱っていなくても、労働安全衛生法を順守すべきことには変わりません。
3年をかけて労働安全衛生法を改正する背景
現在の労働安全衛生法では「この化学物質はこう扱いなさい」というルールを国が決めて、それを企業に守らせるというやり方を取っています。これを変えて、化学物質を企業主体で自律的に管理させる方向へと変えていくというのが、このたびの改正の趣旨です。つまり、企業の責任が従来よりも重くなるわけですね。
なぜ自律的な管理の方向に改正が行われるのでしょうか。実は、日本で使われている化学物質は数万種類あり、その中には、どれくらい危険かや体に悪い影響があるかまだよくわかっていない物質がたくさんあります。また、化学物質が原因で労働者が働けなくなるような労働災害の8割ほどは、特定の化学物質に関するルール(特化則など)が適用されない物質が関与しています。
そうしたわけで、特定の化学物質に関するルール(特化則など)が適用されない化学物質に対する対策を強化する必要が出てきました。このような背景から、企業は、国の情報に基づいてリスクアセスメントを行い、ばく露防止措置(従業員を化学物質による危険から保護する対策)を自ら選択していくという制度へと変わります。
労働安全衛生法改正のポイント
2022~2024年にかけて段階的に施行される、改正労働安全衛生法のポイントは下記の3点にまとめることができます。
これらの3つのポイントについては、次回以降解説します。