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ISO14001「ライフサイクルの視点」っていったい何のこと?(2)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO14001規格に書かれている「ライフサイクル」について解説します。2回目の今回は、ISO14001で使われる「ライフサイクル」の意味と、ライフサイクルに関連する規格要求事項(6.1.2)について解説します。

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前回までの記事

ISO14001「ライフサイクルの視点」っていったい何のこと?(1)

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ISO14001で使われる「ライフサイクル」の意味

前回のおさらいです。「ライフサイクル」という言葉は、もともとは人間や生物などの変化のことを指す言葉ですが、それが転じて、ビジネスの世界でも使われることがあるというお話をしました。

このライフサイクルの考え方がISO14001と何の関係があるか、ということを説明しましょう。

例えば、プラスチック製のおもちゃを作って売っている会社があるとします。その会社は、環境に優しい材料を使おうと思って、プラスチック製ではなく、木製のおもちゃを新たに設計開発するとします。

「別にいいことじゃないか?」と思うかもしれませんが、ライフサイクルの視点で考えると、そうとも言えません。木製のおもちゃの原材料は木材です。木材を採取するという段階まで含めて考えるとどうでしょうか。木を切り取るためには森林を伐採しなければならないかもしれません。さらにはプラスチックを加工するよりも、木を加工したほうが、より多くのエネルギーを使うかもしれません。

たとえ、環境に優しい木材から作る設計にしたとしても、他の過程を見ると、環境に対して別の影響が生じる可能性があるということです。そうならないように、ライフサイクル全体を見なさいと、規格は言っているんですね。

ライフサイクルの関連する規格要求事項(6.1.2 環境側面)について

では「ライフサイクル」に関連する規格要求事項を見ていきます。ISO14001の規格要求事項の中で、ライフサイクルに関連するものは2つあります。まずは箇条6.1.2の環境側面です。

6.1.2 環境側面

組織は、環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、ライフサイクルの視点を考慮し、組織の活動、製品及びサービスについて、組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面、並びにそれらに伴う環境影響を決定しなければならない。

(ISO14001:2015 6.1.2より引用)

ここでは簡単に言うと、環境側面と環境影響を決めるときは、ライフサイクルのことも考えて決めなさい、といっています。

これはどういうことかというと、先程説明したように、原材料の取得から製造、使用、廃棄まで、全過程における環境への影響を考えなさい、ということです。自社の管理できる部分だけを考えるのではなく、それ以外の各ステップのことも考えて環境側面と環境影響を決めなさい、ということですね。

自社に関連する部分というのは、環境側面や環境影響をまだ挙げやすいんですよね。例えばうちの工場ではボイラーを使っているから、それが要因となって、エネルギー使用量の増加や気候変動への影響がある、という環境影響を決めることが、比較的イメージし易いと思います。しかしライフサイクルの視点で考えると、ユーザーが使う段階や、廃棄する段階で、どういう要因によって、どういう環境への影響があるかまで考える必要があります。

ライフサイクルの視点を考慮した環境側面と環境影響にはどういうものがあるかというと、わかりやすい例では「消費者による使用」という環境側面によって、「廃棄物が発生する」という環境影響があります。我が社はお客さんに届けてしまえば後のことは知らない。そこから先はお客さんの責任だ、と開き直るのではなく、「お客さんが使った後には廃棄物が発生する」という影響をまず認識します。そのうえで、影響を低減するための手立てが何かないかというのを、提供者である我が社としても考えるということですね。

これの身近な例としては、「ペットボトルのラベルについている切込み」があります。数年前まで、ペットボトルのラベルには切り込みが入っていませんでしたよね。今は切り込みが入って、楽にラベルをはがすことができるようになりました。なぜラベルを剥がしているかというと、リサイクルしやすくするためなんですよね。

ペットボトルは卵のパックとか洋服などにリサイクルされますが、ラベルがついたままだとリサイクルしづらいわけです。でも「ペットボトルのラベルをはがすのはお客さんの責任だから、うちは知らないよ」というのではなく、少しでもお客さんが楽にラベルをはがせるように、メーカーとしてもラベルに切込みを入れるようになったわけですね。そうすると、リサイクルしやすくなるので、結果的には廃棄物量は減るし、リサイクル率も高まっていきます。

こうした取り組みに繋げていくためには、ライフサイクルの視点で環境側面と環境影響を洗い出すことが重要だということですね。

  • B!

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