おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
製造業でよく取り上げられる「4M変更管理」を解説します。初回の今回は、4M変更管理とは何なのかを簡単に説明します。
動画でも解説しています(無料・登録不要)
4M変更管理(変化点管理)とはなにか
ものづくりやプロジェクトを進行させる中で、ちょっとした変化が大きな影響を及ぼすことは、皆さんも経験されているかと思います。これらの変化や問題を効率的に管理し、品質を向上させるための手法として、4M変更管理(変化点管理)があります。
4M変更管理(変化点管理)とは、簡単にいうと、以下のように言えます。
ものづくりをしている中で、計画的な変更や、突発的な変更が起きたときに、製品の品質に与える影響を少なくするための管理のこと
なお、変更管理と変化点管理という2つの呼び方があります。この2つを別の意味として使い分けている会社もあるのですが、この動画では変更管理と変化点管理は同じものだとみなして、これ以後、「変更管理」という言葉に統一して説明をします。
変更管理がうまく行かずに大きな問題が起きた事例
なぜ変更管理が必要なのかを、実際の事例をもとに説明しましょう。
20年近く前の話ですが、ソニーの製造するCCDにトラブルが生じました。CCDとは、デジタルカメラなどに使われる半導体デバイスで、光を電気信号に変換する部品です。最近のデジカメはCCDではなくCMOSが主流なので、CCDは少し古い技術というイメージがありますけどね。
このCCDでどんなトラブルがあったかというと、ソニーでは、CCD製造の生産性を高めるために、2つの変更を行いました。一つはワイヤ・ボンディング装置の設定の変更です。簡単にいうと、めちゃくちゃ細いワイヤーで、電子部品を基盤に接続するための機械なんですが、その機械の設定を変えた、ということですね。もう一つは接着剤の変更です。生産性を高めるために、これらの変更をしたんですが、品質的には裏目に出てしまい、デジカメの画像が乱れたり、画像が映らなかったりするという問題が発生しました。
この問題によって、ソニーだけで300万台、他メーカーを含むと1000万台のカメラが影響を受けたそうです。
身近な事例としての変更管理
このように、何かを変更すると影響が出ることは身近にもあります。
例えば、私はじゃがいもを入れたカレーが好きなんですけど、いつもは煮崩れしにくいメークインを使っています。でもスーパーに買い物に行って、メークインが売り切れで、男爵イモしかなかったら、男爵イモを買いますよね。でも男爵イモは、メークインより煮崩れしやすいので、メークインと同じように調理をしていたら、煮崩れしてボロボロになっちゃいますよね。ですので、材料を男爵イモに変える場合は、煮崩れしないように、大きめに切るとかの工夫をするはずです。これも一つの「変更管理」と言えます。
このように、何かが変わっても、製品の品質に与える影響を少なくするためには、それなりの管理が必要だ、ということです。
次回は、変更管理の対象を洗い出すための切り口である「4M」について、もう少し詳しく説明します。