おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
10月16日、日本経済新聞は「省人化・省力化補助金(仮称)」について報じました。記事によると、省人化・省力化補助金(仮称)」はカタログ形式で実施されること、また財務省との調整が続いていることを報じています。
日本経済新聞による「省人化・省力化補助金(仮称)」続報記事はこちら
「省人化・省力化補助金(仮称)」とは
2023年度中の実施をめざす、国による新たな補助金施策で、中小企業のロボット導入など省人化に向けた設備投資を後押しするものです。10月12日にも、時事通信を始めとした各紙が報じました。
この度の日本経済新聞のきじによると、以下のような制度を想定しているようです。
介護、飲食、宿泊といったサービス業や製造業など幅広い業種を対象とする。旅館での清掃や飲食店での配膳、製造工場での加工・検査に用いるロボットの導入などへの補助金の支給を想定している。補助金を活用できる事項を政府側がカタログ形式で示し、申請手続きを簡素にする。
「省人化・省力化補助金(仮称)」の"カタログ形式"とはどういうものか(想像)
記事の内容からだけでは具体的にはわかりません。ここからは、根拠のない当社による推察になりますが、IT導入補助金のような申請手続きになるのではないかと想像します。
IT導入補助金では、提供するITツールの情報を、IT導入支援事業者(ITソフトのメーカーや販売店など)が事務局に登録し、認定を受けることで、ITツールが補助金の対象になります。補助金に申請しようとする中小企業者は、公式の対象ツールリスト(これが”カタログ"みたいなもの)から、適切なツールを選択し、様々な情報(自社の経営状況や、自社の今後の方向性等)を、Webフォームに入力して、申請をします。
「省人化・省力化補助金(仮称)」も、おそらくこのように、事前にITベンダーやロボットメーカー・SIer等によって登録された設備などから選択する方式になるのではないかと思います。この方式だと、事業再構築補助金やものづくり補助金のように、A4用紙で何枚も事業計画書を書く必要はないので、記事にあるように「申請手続きを簡素にする」ことが可能です。
仮定に仮定を重ねる話ですが、もしIT導入補助金と似たような申請方式であれば、コンサルに報酬を支払って補助金の申請を支援してもらう必要性は低くなるでしょう(ITソフトのメーカーや販売店などのサポートで申請をする可能性があります)。既存の経産省系中小企業向け補助金でも、コンサルが暗躍することを好ましく思っていない節もありますので、コンサルを排した、IT導入補助金のような形での申請方式になる可能性は高いと思います。
財務省は「省人化・省力化補助金(仮称)」の創設ではなく、既存制度の要件変更を主張している
また日本経済新聞の記事には、次のように書いています。
経済産業省が補助金の新設を要求し、財務省が既存制度の要件変更で対応できると主張し、調整を続けている。
経産省と財務省の意見が対立しているようにも読めます。日経新聞の記事にもあるように、中小向けの補助金には現在、IT(情報技術)ツールの導入を支援する「IT導入補助金」や、革新的な設備投資を後押しする「ものづくり補助金」等があります。これらも生産性を向上するための補助金という位置づけであり、補助金の目的が「省人化・省力化補助金(仮称)」と重複している印象があります。財務省もそのように思っているので、既存制度の見直しでの対応を求めているのでしょう。
なお財務省は、既存の経産省系中小企業向け補助金の効果についても懐疑的な眼差しを向けており、最終的にどのような形に落ち着くかは、いまだ不透明と言えるでしょう。