おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO9001の規格を読むと、いろんなところに「変更」という言葉が出てきます。こうした「変更」は、どのように理解するべきでしょうか。そして「変更」をどのように内部監査すべきでしょうか。今回はISO9001における変更と4M変更管理の関係について解説します。
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【内部監査レベルアップ講座】"品質マネジメントシステムの変更"と"変更"を内部監査する(1)
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“ISO9001の変更”と”4M変更管理”
連載の最後に、製造業でよく知られている、いわゆる「4M変更管理」と、ISO9001の変更に関する箇条の関係について、整理をしたいと思います。かなり私の個人的な印象で語っていますので、個人の意見として聞いていただければと思います。
結論を先にいうと、4M変更管理はより具体的なプロセス変更に焦点を当てていて、現場レベルでの管理が中心です。一方、ISO9001では組織全体の品質マネジメントシステムに焦点を置き、トップマネジメントの積極的な関与が求められていると考えることができます。4M変更管理はISOの要求事項を満たす手段といえますが、ISO規格を満たすために4M変更管理を採用しないといけないわけではありません。
ではそれぞれの共通点や違いを見てみましょう。まず目的ですが、これは共通しています。どちらも自社が提供する製品やサービスの不良を未然に防止し、品質を維持・継続的に改善することを目的としています。そして次ですが、私が知る限りですが、4M変更管理には特定の規格や業界標準はありません。つまり、会社ごとにやり方が異なるんですね。一方、ISO9001はご存知のとおり、国際規格です。でもこれまで見てきたように、ISOでは変更に関して大まかな枠組みだけを決めているにすぎませんので、結局のところは、ISOの変更管理でもやっぱり、企業ごとにやり方が異なるでしょう。
続いて変更の対象です。これも一概には言えませんが、4M変更管理は主には特定の作業領域や製品ラインの変更を扱っています。もちろん、会社全体に関わる変更を扱う場合もあります。一方ISOは、品質マネジメントシステムの変更と特定のプロセスの変更の両方を扱っています。変更の対象は、ISOのほうが広い印象がありますね。続いて変更の影響範囲です。4M変更管理では、どちらかというと特定の作業や製品などの狭い範囲の印象がありますが、ISOの場合は、会社全体から特定のプロセスまで、変更の影響範囲は広そうですね。最後に関与する人々です。4M変更管理は、現場中心で、工場長や品質保証部、現場管理者や作業者といった方々が主に関与する印象ですが、ISOの場合はこれに加えて、トップマネジメントの関与が重視されている印象がありますね。
繰り返しになりますが、ISOは「変更があったらちゃんと管理しなさい」という程度の大まかな枠組みだけを決めているので、4M変更管理のような具体的なことは言っていません。結局のところ、企業ごとに具体的なやり方を決めないと運用が難しいので、その手段として4M変更管理がありうる、という関係性だと思います。ISOの要求を満たすために4M変更管理を、絶対に採用しないといけないわけではありません。
"品質マネジメントシステムの変更"と"変更"のまとめ
ISO9001は規格のなかで、わざわざ「品質マネジメントシステムの変更」という言葉と、単なる「変更」という言葉を分けて使っていましたね。わけて使っているということは、それぞれには違う意味合いがあり、違うレベルの管理が求められている、ということだと私は思っています。「品質マネジメントシステムの変更」という言葉と、単なる「運用の変更」は、組織に与える影響の範囲や大きさ、トップの関与などに違いがあるという説明をしましたが、そうした規模などに応じた変更管理ができているかどうかを内部監査できれば、有効な監査になりそうですね。