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EU AI法案が暫定合意=世界で初めての”AI規制法案"に

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

12月8日、EU加盟国とヨーロッパ議会、ヨーロッパ委員会による3者協議を行い、かねてより審議中であったEU AI Act(AI法)案について、暫定合意しました。あらためて、EU AI Actの概要を踏まえながら、今後の流れを説明します。

EU AI Actが暫定合意。どのような法律なのか?

欧州連合(EU)では、人工知能(AI)に関する新しい法案について、欧州議会と理事会が暫定的に合意しました。この法案は、AI技術に関するいくつかの重要なルールと制限を設けた、世界初の法律になります。

規制の内容は、主に人々の安全性を確保するためのものです。例えば、警察が使用する顔認識システムなどの生体認証技術は、プライバシーの侵害や監視社会への懸念があるため、特定の制限が設けられます。また、人々の社会的行動や個人的特徴に基づいてスコアをつける「ソーシャルスコアリング」も、プライバシーの侵害や不公平、差別に繋がる恐れがあり、禁止されています。その他、人の行動を操作するAIの使用も禁止されます。法律により消費者は、これらの規則に違反するAIに対して、苦情を申し立てる権利を有することになります。

法律に違反した場合、企業は最大で売上の7%に相当する罰金を科される可能性があります。特に禁止されているのは、敏感な特徴に基づく顔の分類、ランダムに顔の画像を収集すること、職場や学校での感情認識技術の使用などです。警察が生体認証システムを使用する場合は、特定の犯罪や脅威を対象とした場合に限り、司法の承認が必要となります。

高リスクとされるAIシステムは、人権への影響を評価することが必須です。これは保険や銀行業界など、さまざまな分野にも適用されます。また、汎用AIモデル(注:OpenAIのChatGPTのようなもの)は透明性を保ち、EUの著作権法に従い、技術文書を提供しなければなりません。これらのモデルは、システムリスクの評価や緩和、セキュリティの確保、エネルギー効率に関する報告も求められます。

この法案は、規制のサンドボックス制度(イノベーション促進のために、一時的に規制の適用を停止するなどした、新たなビジネスの実験場のこと)を通じて、技術革新や中小企業のサポートも促進する予定です。

欧州委員会委員長のコメント

人工知能はすでに私たちの日常生活を変えています。そして、これはまだ始まったばかりです。賢く広く使われれば、AIは経済と社会に莫大な利益をもたらすでしょう。そのため、私は今日、欧州議会と理事会による人工知能法案に関する政治合意を非常に歓迎します。

EUのAI法案は、世界で初めての包括的な人工知能に関する法的枠組みです。ですから、これは歴史的な瞬間です。AI法案は、欧州の価値観を新しい時代に適用します。特定のリスクに焦点を当てた規制により、今日の合意はヨーロッパにおける責任ある革新を促進するでしょう。人々とビジネスの安全と基本的な権利を保証することで、EU内での信頼できるAIの開発、展開、利用を支援します。私たちのAI法案は、人間中心のAIのためのグローバルな規則と原則の開発に大きな貢献をするでしょう。

米国のマスコミ(New York Times)の受け止め方

 

ニューヨーク・タイムズの技術担当記者アダム・サタリアノは、このたびの合意が、急速に進化するこの技術の社会的および経済的影響に対処しようとする世界で初めての試みの一つであると報告しました。サタリアノ記者は、この法案が、AIの利点と、仕事の自動化、偽情報、国家安全保障の脅威などの潜在的なリスクとのバランスを取ることを目指していると述べています。サタリアノ記者は、この法案が規制上の突破口として歓迎されている一方で、その効果についての懸念が残っており、一部の規定は12から24ヶ月かかって施行されると予想されていますと付け加えています。

ブリュッセルで3日間の交渉の後に達成されたこの合意は、欧州議会と理事会の投票による承認を待っています。教育、医療、銀行業界などでの主要なAI開発者やビジネスに影響を及ぼすこの法律は、世界中で厳しく監視され、AI開発の方向性とその経済的意味合いに影響を与えるでしょう。27カ国にわたる規制の調整や、潜在的な法的紛争など、執行上の課題が予想されています。

EU法案適用までの今後の流れを説明します

合意には達しましたが、この法案はまだ正式にはEUの法律として採用されていません。日本の報道機関(NHK)によると、法案は今後、加盟国とヨーロッパ議会による正式な承認を経て成立し、2026年にも規制が完全に適用される見通しのようです。

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