おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018各箇条解説シリーズ、今回は箇条5.3「組織の役割、責任及び権限」について解説をします。今回は、労働安全衛生に関する役割や責任、権限とは、具体的にどのようなものかを、例を使って解説します。
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ISO45001:2015 箇条5.3の位置づけ
まずは箇条5.3の位置づけを見てみましょう。箇条5は、箇条4で確立した労働安全衛生マネジメントシステムを円滑に回していくために、トップは何をどうするかを定めています。
箇条5.1では、トップが組織の中でやるべきことを定めています。箇条5.2は、会社で労働安全衛生方針を作りなさいと言っています。箇条5.3は、トップは、組織で働く人の、労働安全衛生に関する役割や責任、権限を明確にしなさいと言っています。そして5.4では、安全衛生に関することについて、トップは働く人から意見を聞きなさい、と言っています。
今回は箇条5.3「組織の役割、責任及び権限」を解説します。
そもそも「役割」と「責任」「権限」とはなにか
そもそも「役割」と「責任」「権限」ってなんでしょうか。ISOではこれらの用語に明確な定義はありませんが、一般的には、役割は「組織内で期待される機能や立場」、責任は「やるべきこと」、権限は「他人に指示を出す、または何かを実行する権利」、つまり「やってよいこと」と理解できます。
労働安全衛生における役割・責任・権限とは、具体的にどのようなものか
では、労働安全衛生における役割・責任・権限が、具体的にどのようなものなのか、製造業の現場を例にして説明をします。
ご覧の通りですが、製造業の現場管理職は、安全リスク管理や教育実施などの責任を持ちます。また、安全基準の見直しや物品購入といった権限があります。一方作業者は、安全基準の遵守やミーティング参加などが責任で、緊急時の対応や危険報告などの権限を持ちます。
もちろん、現場以外の役割もありますよね。事務職では、安全に関するデータの記録とか、安全に関連する法改正情報の把握と共有、といった責任があるでしょう。
その他、安全衛生委員会や、安全パトロール員、そして安全管理者・衛生管理者のように法律で決められた役割、内部監査員のようにISOの規格で決められた役割についても、それぞれの役割に応じた責任と権限を割り当てる必要があります。
そう聞くと「えっ、これ全部に対して責任と権限を割り当てるの?面倒くさいなあ」と思うかもしれませんが、労働安全衛生においては、組織で働くすべての階層の人たちに責任と権限が割り当てられることはとても重要です。責任と権限が明確でないと、自分が何をすべきか、どこまでやっていいのかがわからないので、普通の人は行動を躊躇します。労働安全衛生において、行動を躊躇してしまうと、大きな事故に結びつく恐れがあります。そうなっては遅いので、責任と権限を明確にする必要があるんですね。
次回はISO45001:2018 箇条5.3の規格要求事項を解説します。