おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
1月26日、中小機構は、「中小企業省力化投資補助事業に係る事務局の公募要領」を公開しました。これは補助金申請事業者向けの公募要領ではなく、事務局の公募要領ですが、ここから新情報が見えてきました。
中小機構「中小企業省力化投資補助事業に係る事務局の公募要領」はこちら
中小企業省力化投資補助事業の補助額・補助率
経産省の補正予算PR資料と変わっていません。大幅な賃上げを行う場合は、補助上限額が増額されます。
大幅な賃上げとは、補助事業終了時点(≒省力化機器の納入・支払い後)において(a)事業所内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること、(b)給与支給総額を年率平均6%以上増加させることをいうようです。この文面から確たる事は読み取れませんが、(a)は事業終了時点で、(b)は毎年の報告時点か、もしくは事業計画終了時点ではないかと思います。
中小企業省力化投資補助事業の補助対象者の要件は結構厳しい
中小企業省力化投資補助事業の補助対象者の要件は、事務局公募要領の別添3にかかれていますが、結構厳しいものです。
(1)人手不足の状態にある中小企業・小規模事業者等であり、客観的にそれを示す証憑を提示、あるいは人手不足が経営課題となっている旨の申告を行うこと。
人手不足を客観的に示す証憑(証拠)の提出が求められるようです。ぼくがざっと適当に思いつく限りでは、求人広告履歴・求人広告への支払い証憑とか、残業時間が増加していることを賃金台帳から示すこと、外部の業者に業務を委託している履歴や支払い証憑、採用数と退職者数の推移、従業員数の推移などでしょうか。(あくまでも推測です)
「あるいは人手不足が経営課題となっている旨の申告」というのがどういうものを指すのかよくわかりませんが、証憑を出せない場合は、「うちは人手不足なんですよ」という主旨の一筆を書かされるのかもしれません。ただ、それで済むのならば誰も証憑なんて出さないわけなので、何らかの差別化(例えば証憑を出したら加点とか)が図られるのかもしれません。
(2)補助事業終了後1~3年で付加価値額の従業員一人当たり付加価値額が年率平均3%以上増加する見込みの事業計画を策定すること(以下「付加価値額要件」という。)。 (付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)
これはものづくり補助金やIT導入補助金と同じ要件ですが、中小企業省力化投資補助事業の場合、付加価値額目標が未達の場合は補助金一部返還となるようです。事務局公募要領P16の補助要件には「予見できない大きな事業環境の変化に直面するなどの正当な理由なく、付加価値額要件の目標を達成できなかったときは、補助金額の一部の返還を求める。」と書いていました。
付加価値額目標が未達の場合に補助金を一部返還するというのは、おそらく中小企業庁関連の補助金では初めて設けられた要件だと思います。
なおここから、申請時には1~3年間の付加価値額のシミュレーション(予測P/Lのようなもの)を入力する必要があることが予想できます。
(3)賃上げによる補助上限の変更(3.(1)に記載)を適用する場合は、申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員に表明すること。交付後に表明していないことが発覚した場合は、補助金の増額分の返還を求める。
賃上げの宣誓を申請時にさせるようですが、それをしておきながらも実は従業員に表明していないことがわかったら、増額分の返還となるようです。抜き打ちヒアリングでもするつもりでしょうかね。
なお、給与支給総額についても、予見できない大きな事業環境の変化に直面するなどの正当な理由なく、賃上げ要件の目標を達成できなかったときは、補助金額の減額を行う。
令和8年度9月末までに公募回数は15回程度、採択予定件数は計120,000件程度
事務局公募要領によると、令和8年度9月末までに公募回数は15回程度、採択予定件数は計120,000件程度を予定しているようです。2年半で15回、120,000件だとすると、およそ2ヶ月に1回、1回の公募あたり8,000件の採択を予定しているということですね。
また、事業の実施期限(つまり最終の公募にける省力化機器の納入・支払い期限)は、令和8年度末を想定しているようです。9月末に公募を締め切って翌年3月末の実施期限まで6ヶ月の計算です。ここから公募のサイクルがある程度想像できいます。公募から2ヶ月程度で交付候補者が決まり、発注から納品までが4ヶ月程度といったイメージでしょうか。
なお、補助事業者の補助事業期間終了後のフォローアップ業務等については、令和14年7月頃に完了、とのことです。おそらく令和9年から令和14年まで、最大で5年間のフォローアップ(付加価値額や賃上げ状況の報告等)があるのだと想像できます。
省力化支援事業者の支援を受けながらJグランツで申請。公募開始は3月から。
事務局公募要領によると、省力化支援事業者というものがあるようです。おそらくIT導入補助金の支援事業者と同じ位置づけだろうと思います。この省力化事業者の支援を受けながら、補助金申請システム「jGrants(電子申請システム)」で事業者が申請を行うというプロセスになるのでしょう。今回は補助金屋の出番はなさそうですね。
また、公募開始は3月からと書かれています。
カタログに掲載する省力化支援事業者と機器の選定を行った後、令和6年3月より公募を行うものとし、常時、中小企業・小規模事業者等からの交付申請を受け付けることとする。平行して、カタログに掲載する省力化支援事業者と機器の拡充を続ける。なお、原則として、申請やその後の実績報告等は電子申請で行うものとする。
事務局の公募が2月20日まで行われていますし、そこから事務局を決め、公募要領を定め、対象機器の登録などをするので(ある程度は先行で進められているのでしょうけど)、3月といっても中盤~後半くらいになるのではないかという気がします。