おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018各箇条解説シリーズ、今回は箇条6.1.2.3を説明します。「機会」とはそもそも何なのか、機会をどう発見し、評価するのか、そしてなぜ機会が職場の安全と健康にとって重要なのかについて解説します。
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箇条6.1.2.3の位置づけ
まずは箇条6.1.2.3の位置づけを見てみましょう。
箇条4では、会社が置かれている状況を考えて、労働安全衛生マネジメントシステムを作って運用することを求めていましたね。箇条5では、そのマネジメントシステムを円滑に回していくために、会社のトップがやるべきことを定めていました。箇条6では、会社を安全で健康的な場所にするために問題になりそうなことをあらかじめ洗い出して対策をしたり、目標を作ったりすることを求めています。
箇条6.1.2は、さらに細かく3つに分かれていますが、今回はそのうち、箇条6.1.2.3「機会の評価」についてお話をします。
そもそも「機会」とは何か
そもそも「機会」とは何でしょうか。ISO45001では、「機会」の定義はあまり明確ではありません。規格の3.22に「労働安全衛生機会」の定義が載っている程度です。
労働安全衛生機会(occupational health and safety opportunity)
OH&S機会(OH&S opportunity)
労働安全衛生パフォーマンス(3.28)の向上につながり得る状況又は一連の状況。
規格の全体を通じて考えると、個人的には「機会」を以下のように理解しています。
何かを良くするために使える、特別な状況や条件のこと。「機会」は、自然に生じるものだけではなく、組織が能動的に行動を起こすことで最大限に活用できるものも含む。
具体例を挙げて説明しましょう。「最新の光線式安全装置付きのプレス機が発売された」という情報は「機会」と考えられます。これはプレス機による事故リスクを低減してくれるかもしれないからですね。プレス機は、使用中に指を挟むなどの事故リスクがありますが、光線式安全装置があると、こうした事故を未然に防ぐことが期待できます。
ただし、最新のプレス機を導入するためには、組織が情報を収集し、見積もりを取り、発注するなど、こちらからアクションを起こす必要がありますよね。ISO45001における「機会」とは、こうした前向きな改善やリスク軽減を、組織が能動的に追求することを意味しています。
機会によって改善される対象は他にもあります。例えば「労働者の安全と健康が改善される」とか、「法規制を守るためのやり方やアプローチがもっとやりやすくなる」とか「働く人の労働安全衛生に対する意識や行動が改善される」といったことも、機会によって改善される対象となるでしょう。
次回は機会をどのように管理するかについて解説をします。