おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2024年2月、ISO(国際標準化機構)は、マネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で規格の一部を改定しました。今回の「追補」は、どういう変更で、企業はどういう対応が必要なのでしょうか。
動画でも解説しています(無料・登録不要)
前回の記事はこちら
-
-
ISOマネジメントシステムが追補改訂 変更内容は?企業はどういう対応が必要なの?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 2024年2月、ISO(国際標準化機構)は、マネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で規格の一部を改定しました。今回 ...
気候変動に関する課題とは何か
まずは気候変動に関する課題です。以下の図は、企業の様々な活動とその流れを示した図なんですが、この流れにそって、気候変動に関する課題にはどういうものがあるか、例を挙げていきます。
まずは企業の主たる活動の視点で見ていきますが、物流では異常気象により交通網が遮断され、商品の入荷遅延が起こる可能性があります。
製造面では、夏の猛暑が製造条件を変える恐れがあります。
販売・マーケティングでは、気候変動対策への取り組みがブランドイメージに影響を与えるかもしれません。
引き渡し後のサービスでは、設置環境の変化により設備に不具合が生じることがあるかもしれません。
支援的な活動についても影響は考えられます。調達では、異常気象が材料の供給を不安定にする恐れがあります。
技術開発では、エネルギー効率の良い製品を開発するためのスキルや知識がより重要になるかもしれません。
人の面では、ゲリラ豪雨などで従業員の通勤に影響が出ることがあります。
また、気候変動に関する法律ができたり変わったりして、役所への報告や世間への情報開示がいっそう求められるかもしれません。
気候変動に関するニーズ・期待とは何か
気候変動に関するニーズや期待にはどういうものがあるでしょうか。
最も基本的なのは法的要求事項で、具体的には、省エネ法や温対法などがあります。「こういう法律は品質と何の関係があるの?」と思うかもしれませんが、顧客の視点では、CSR調達の一環として、サプライヤーの法令遵守を求める傾向と繋がります。こうした法令を守っていないことが顧客にばれると顧客満足度が下がる可能性がある、というわけです。対応が遅れた場合は、取引が減ったり失われたりする恐れもあります。
株主や投資家の要求もあります。彼らは最近、財務情報だけでなく、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを投資判断の材料としています。つまり「気候変動への対応に積極的に取り組む企業に投資する」という姿勢がある、ということですね。
ESG投資に関連しますが、気候変動に関する業界標準もあります。例えばISSBという団体は、温室効果ガス排出量の開示基準を設定していますが、最近では企業が排出した温室効果ガスの量だけを開示するのではなく、その会社の仕入先や物流過程で発生する温室効果ガス排出量まで開示をすることが求められるようになってきました。
企業で働く人や労働組合からは、職場づくりの一環として、猛暑対策や災害対策を求められることもあるでしょう。このように、企業には気候変動に関して様々なニーズや期待があります。
次回は、この改訂(追補)により、企業は何をしないといけないのかを解説します。