おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2024年2月、ISO(国際標準化機構)は、マネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で規格の一部を改定しました。今回の「追補」は、どういう変更で、企業はどういう対応が必要なのでしょうか。
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ISOマネジメントシステムが追補改訂 変更内容は?企業はどういう対応が必要なの?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 2024年2月、ISO(国際標準化機構)は、マネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で規格の一部を改定しました。今回 ...
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ISOマネジメントシステムが追補改訂 変更内容は?企業はどういう対応が必要なの?(2)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 2024年2月、ISO(国際標準化機構)は、マネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で規格の一部を改定しました。今回 ...
改訂(追補)の伴うMSへの影響(企業がやるべきこと)
今回の箇条4.1と4.2の追補によって、マネジメントシステム全体はどのように影響を受けるでしょうか。
ISO9001を例に説明をしますが、一般的な流れとして、箇条4.1や4.2で明確にした課題やニーズ・期待を踏まえて、リスクや機会を特定します。リスクや機会に対して何らかの処置をすると判断したら、その取組方法を決めます。もし改善を伴うようなものであれば、これが品質目標に展開されることもあるでしょう。定めた取組は、現場で運用されますが、運用した結果がどうだったかを監視・測定・分析・評価されます。また内部監査や顧客満足の監視・測定も同様に実施することになります。こうした結果はマネジメントレビューにインプットされますし、もしなにか問題があれば、改善や修正、是正をします。
今回の追補は、気候変動に関連する課題やニーズ・期待に関するものですが、今見てきたように、ここは様々な取組をマネジメントシステムに組み込む出発点です。したがって皆さんがたの会社は、気候変動に関する課題やニーズ・期待を特定した後は、この図のような流れでマネジメントシステムを見直し、必要な取り組みを計画・実施することになるでしょう。
今後どのような第三者審査が想定されるか
今回の追補を受け、今後どのような第三者審査が想定されるか考えてみましょう。この動画を作っている時点では、多くの審査機関が審査方針を策定中のようですが、私が審査員であればという前提で、ちょっと予測をしてみたいと思います。
まず、企業が気候変動に関連する課題を特定しているかどうかを確認したいですね。課題があれば、それがどういう課題かを尋ねるでしょうし、「うちにはそんな課題はないよ」というのであれば、課題がないと判断した理由や、課題の特定プロセスがどうなっているのかを尋ねたくなるでしょうね。万が一、気候変動に関する課題を全く検討していないよという場合は、不適合とみなすかもしれません。
課題を特定している場合、次に質問したいのは「気候変動は御社のマネジメントシステムにどのような影響を与えますか?」ということですかね。この質問の意図としては、気候変動がその会社にとってどのようなリスクや機会であるかを探る意味があります。そして、評価したリスクや機会に対する具体的な対応策や、現場での取り組みとその証拠も確認したいところです。
さらには、気候変動に関するニーズや期待についても質問したいですね。ニーズや期待があるというのであれば、それがどういうものかを尋ねて、どうやって満たしていくのかという計画や運用の実態を確認します。これも「そんなニーズや期待はないよ」というのであれば、その理由を確認したいですね。
認証取得企業はまずこれをしましょう
3回にわたって、気候変動に関するISOのマネジメントシステム規格の追補についてお話しましたが、いかがだったでしょうか。この追補については、皆さんがたの審査機関から、審査に関する何らかの情報提供があると思われますので、それを待つなり問い合わせることから対応を始めてみてください。気候変動について何もやっていない、というのは審査対策上もよろしくないと思いますので、審査機関の方針を踏まえた上で、何らかの取組をする必要があります。次の審査でさっそく気候変動について訊かれること可能性は大ですので、しっかりと準備をお願いします。