おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
5月3日、読売新聞は「政府はAI(人工知能)を巡り、国内外の大規模な開発事業者を対象とした法規制の検討に入った」と報じました。AIの法規制については5月1日の日本経済新聞でも報じられており、日本でもこの分野の法規制が進みそうです。
『生成AIの大規模な開発事業者、政府が法規制へ…「技術革新を阻害」と反対の声も』の記事はこちら
自民党AIの進化と実装に関するPT WG有志の素案がベースとなる可能性
読売新聞の記事には、以下のような記述があります。
自民党内では、大規模なAI開発事業者に対して第三者による安全性の検証や政府との情報共有を義務づける案が出ている。法規制はこうした案がベースになる可能性もあるが、政府内には「強い規制は技術革新を阻害する」として法規制に反対する声もあり、慎重に意見集約を進める考えだ。
「自民党内では、大規模なAI開発事業者に対して第三者による安全性の検証や政府との情報共有を義務づける案が出ている」とあるのは、2024年2月に自民党AIの進化と実装に関するPT WG有志が公開した「責任あるAIの推進のための法的ガバナンスに関する素案」ではないかと思われます。読売新聞の記事ではこの素案が法規制のベースとなる可能性を示しています。(もちろんベースにならない可能性もあります)
この素案は、以下のリンクから確認できます。
この素案には「責任あるAI推進基本法(仮)の骨子」と書かれたスライドがあります。以下に引用しますが、この骨子でも規制対象となるのは、一定の規模・目的のAI基盤モデル開発者のようです。読売新聞の記事にもあるように、大規模な事業者が対象になることは想像ができますが、その他にも目的に応じて規制対象になりえるかもしれません。ここでいう「目的」が具体的に何なのかはわかりませんが、EU AI法のように、リスクの高いサービス(例えば生体認証などにAIを活用するもの)を規制するようなイメージなのかもしれません。
これがそのまま法規制になるとは限りませんが、この案は単に法律で規制をするだけではなく、整合規格(EUにおけるCEマーキングのようなもの)を作り、その規格に準拠しているかどうかを認証(もしくは報告・開示)することまで想定をしています。具体的なことにはあまり触れられていませんが、だいぶEU AI actを意識しているような内容と言えるでしょう。
さて、日本でもいよいよAIに関する法規制が具体的に議論されそうです。どのような制度になっていくのでしょうか。