おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
化学物質に関連する法律ってたくさんあるんですが、3回にわたり、そうした法律を全体的かつ横断的に説明したいと思います。今回は、化学物質による環境汚染を予防し、改善するための法律、化学物質の廃棄段階に適用される法律、化学物質に関する海外の規制について説明します。
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化学物質による環境汚染を予防し、改善するための法律
製造に伴って、化学物質が工場周辺の環境を汚染し、公害となるおそれもあります。そうした環境汚染を予防し、改善するための法律について説明します。
板金や機械加工業で該当しがちな、公害関係の法律について説明しています。
まず、大気汚染防止法です。塗装や洗浄、めっきなどの工程があると、作業中に排出される揮発性有機化合物(トルエンやキシレン等を含んだ塗料など。VOCともいう)によって、光化学スモッグが引き起こされてしまいます。それを防ぐために、塗装施設(塗装ブース等)の設置時に届出をしたり、排出基準を守って仕事をする必要があります。
次に、水質汚濁防止法です。これは工場などから出る排水が川や海を汚さないようにするための法律ですが、めっきなどの表面処理をして排水を河川等に流す場合に適用されます。排水は、pH値などの基準が決められていますので、それを守って排出する必要があります。
排水を下水道に流す場合は、下水道法が適用されます。これも水質汚濁防止法に似ていますが、法律で決められた基準を守って下水道に排水する必要があります。
最後に、土壌汚染対策法についてです。上記の3つの法律は、公害を起こさないよう予防することを主な目的とした法律ですが、土壌汚染対策法は、すでに汚染してしまった土壌を改善するための法律です。例えば古いめっき施設を廃止する場合や、3,000㎡以上の土地に新しい工場を建てるようなときには、その土地が汚れていないかを調査する必要があります。もし汚れていた場合は、その汚れを取り除くための措置を講じなければなりません。
この他、フロン排出抑制法も、環境への排出によって影響(温暖化)を与えるものを規制する法律ですが、これは次の項目で解説をします。
化学物質の廃棄段階で適用される法律:廃棄物処理法
板金や機械加工業で排出される、化学物質の廃棄物といえば、例えば廃油や廃アルカリ、廃酸などがまず挙げられます。こうしたものは産業廃棄物として処理されなければなりません。また産業廃棄物の中でも特に人の健康や環境に強い影響を与えるものを、特別管理産業廃棄物といいます。例えば洗浄液などに使う炭化水素系の廃油は、引火点が高いので、特別管理産業廃棄物として扱われます。
こうした化学物質の廃棄物は、自社で処理をするか、もしくは許可を持つ業者に処理を委託します。業者は、その自治体で収集・運搬・処理をできる許可を持っているところから選ばなければなりません。こうした業者と契約を結んだら、排出するときにマニフェストという管理表を取り交わして、最終処分(埋め立て)まできちんと行われることを確認しないといけません。また特別管理産業廃棄物がある場合は、講習などを受けた責任者を置く必要もあります。産廃置き場にも保管基準が定められていますので、法に基づいた置き場の管理をしないといけません。
化学物質の廃棄段階で適用される法律:フロン排出抑制法
続いてはフロン排出抑制法です。例えば、現場の空調やスポットクーラー、工作機械のチラーなどは、冷媒としてフロン(代替フロンを含む)という化学物質を使っています。フロンは地球のオゾン層を破壊し、温暖化を引き起こすため、しっかりと管理する必要があります。
空調を普通に使っている分には、フロンが勝手に漏れ出たりすることはありませんが、室外機や配管が壊れていたりすると、そこからフロンが漏洩します。そこで空調の室外機やスポットクーラーなどは、適切な場所に設置し、定期的に点検してその記録を保存する義務があります。
全ての機器には3ヶ月に1回の簡易点検の義務があります。出力の大きな機器は、年に1回、専門の業者によって点検をして貰う必要があります。点検の結果は、機械を廃棄した後も3年間保管しなければなりません。そして、機械を廃棄する際にも、専門の業者に頼むことが必要です。
製品が海外に出ていく場合に適用される規制:RoHS指令など
最後は日本の法律ではなく、海外の化学物質規制についてです。例えば、鉛が含まれる材料や六価クロムが使われるめっきなどは、海外で規制をされています。自社が海外に製品を輸出をしない場合でも、こうした海外の化学物質規制を守らなければならない場合があります。
具体的には、部品の納品先であるセットメーカーが、海外に輸出をするような場合です。この時、取引先のセットメーカーは、みなさんがたの会社に対しても、部品に規制化学物質を使っていないことの確認を求める場合があります。取引先によっても違うと思いますが、具体的には材料メーカーの証明書や、自社の様式の非含有証明書、不使用証明書などを顧客に提出することが求められます。またはchemSHERPAのようなツールを使って情報を伝達することが求められる場合もあるでしょう。