おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
マネジメントレビューをどう運用するべきかという質問をよく受けることがあります。確かにマネジメントレビューは審査対策として形骸化しているケースもよく見ます。効果的な運用方法について考察していきます。
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マネジメントレビューはいわば「経営者による内部監査」
マネジメントレビューは、定期審査対策として、2~30分程度でチャッチャッとやって、議事録さえ残せばいいだろうと考えている会社もあるかもしれません。しかし、実際には、そういうやり方は適切とは言えないと思います。マネジメントレビューは、単なる形式的な会議ではなく、いわば「経営者による内部監査」と位置づけることができるんじゃないかと個人的には思っています。
マネジメントレビューの目的とは?
マネジメントレビューとはそもそもどういう目的で行われるものでしょうか。目的は規格にこう書いています。
トップマネジメントは、組織の(品質・環境・労働安全衛生・情報セキュリティ等)マネジメントシステムが、引き続き、適切、妥当かつ有効で更に組織の戦略的な方向性と一致していることを確実にするため……
「適切」「妥当」「有効」というキーワードが出てきますが、これは箇条10.3に出てくるキーワードと同じように解釈できそうです。
まず「適切」であるとは、組織の規模や目的、事業内容に応じたマネジメントシステムになっていることを意味します。「妥当」であるとは、意図した成果…つまりパフォーマンスの向上や目標の達成のために、十分な取り組みが行われていることを意味します。そして、「有効」であるとは、意図した成果が実現できていることを指します。
つまり、自分の組織にあったマネジメントシステムなのか、成果を上げるために必要な取り組みをやっているか、結果がでているかということを、トップ自らが確認をすることが、規格では期待されています。
それに加えて「戦略的な方向性と一致」していることをトップが確認することも求められています。「戦略的な方向性と一致している」とはどういうことでしょうか?
例えばある会社で、たくさんの同じ種類のクッキーを作って売っているとします(これが既存の戦略)。しかし新しい戦略として、たくさんの種類のクッキーを少しずつ作って、お客さんの好みに合わせたクッキーを売ることを目指すことにしました(これが新しい戦略です)。
この新しい戦略に取り組むために、従業員に新しいレシピや道具の使い方についてのトレーニングが行われましたが、パートやアルバイトといった一部のスタッフはトレーニングを受けていないことがわかったとします。つまり、会社が目指す戦略的な方向性と一致していない状態が明確になった、ということですね。
この状況を受けてトップは、例えば、研修時間を捻出するとか、または研修を時間外にやるのであれば、残業代を含めた研修予算を確保する、などのことを意思決定します。現場での実態がトップの考える戦略に沿っているかを確認して、沿っていないのであれば経営資源を投入する意思決定ができるのは、通常はトップしかいません。ですので、マネジメントレビューという場が必要なわけです。
こうした確認や意思決定をするのがマネジメントレビューですが、これを年に一回、年度末にやりますというので、果たして十分でしょうか?
(次回へ続きます)