おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
EUのAI規制法案である"EU AI Act"に関して、8/1時点での最新情報を、かいつまんでお伝えします。8/1からついにAI法が施行されました。(情報源は、The EU AI Act Newsletter #58です)。
8月1日からAI法が順次施行開始
8月1日、EUのAI法が施行されました(順次施行されます)。
この法律の目的は、EUにおける責任あるAIの開発と展開を促進することを目指しています。もともと2021年4月に最初に提案され、2023年12月に欧州議会と理事会によって合意され、市民の健康、安全、基本的権利に対する潜在的なリスクに対処するものです。
法は、AI開発者と利活用事業者(デプロイヤー)に対する明確な要件を設定しながら、企業に対する行政および財務の負担を最小限に抑えることを目的としています。EU諸国全体で統一的な枠組みを導入し、以下の4段階のリスクベースのアプローチを採用しています。(基本的には、以下の高リスクAIに対する規制が中心です)
最小リスク: スパムフィルタのようなシステムは義務を負わないが、自発的に行動規範を採用することができる。
特定の透明性リスク: チャットボットのようなシステムは、ユーザーに対して機械と対話していることを知らせる必要があり、AI生成のコンテンツはラベル付けされなければならない。
高リスク: 医療や採用のシステムは、リスク軽減や人間の監視を含む厳格な要件を満たす必要がある。
許容できないリスク: 「社会的スコアリング」を可能にするシステムは、基本的権利に対する脅威のため禁止されている。
AIオフィスの一般目的AIに関する協議
欧州AIオフィスは、7月30日から9月10日まで、AI法に基づく信頼できる汎用目的型AIモデル(大規模データを用いてトレーニングされた汎用性を持つAIモデルのこと。ChatGPTなどが該当すると考えられる)に関するマルチステークホルダー協議を開始しました。
この協議は、汎用目的型AIモデルモデルプロバイダーのための最初の行動規範のルールに関する意見を提供する機会を、利害関係者に提供します。また、これらの汎用目的型AIモデルのトレーニングに使用されるコンテンツの概要を示すテンプレートとガイダンスの作成に関するAIオフィスの作業に情報を提供します。学術研究機関、独立した専門家、業界代表、市民社会組織、権利者、公共機関など、幅広い利害関係者の参加を奨励しています。協議のアンケートは3つのセクションに分かれています。
- 汎用目的型AIモデルに関する透明性と著作権関連の規定
- システム的なリスクを伴う汎用目的型AIモデルのリスク分類、評価、および軽減
- 汎用目的型AIモデルの行動規範のレビューと監視
最初の行動規範の草案は提出物に基づいて作成され、AIオフィスは集約された協議結果の概要を発表します。
汎用目的型AIモデル行動規範策定の参加者募集
AIオフィスは、最初の汎用目的型AIモデル行動規範の策定を支援するために協力したい人や団体を募集しています。参加資格があるのは、AIモデルのプロバイダー(OpenAIのような事業者)、AIを活用してサービスを提供する事業者、その他の業界団体、市民社会、権利者、学術界およびその他の独立した専門家です。
この行動規範は2025年4月までに段階的に策定され、汎用目的型AIモデルおよびシステム的なリスクを伴うモデルに対するAI法の規則の適用を確実にすることを目的としています。8月25日までに参加表明ができます。
行動規範の策定プロセスは、9月のキックオフ本会議から始まり、3回のオンライン会議とフィードバックラウンドが含まれます。参加者は行動規範本会議メンバーの一員となる上、4つの作業グループで構成されます。議長および副議長は協議および本会議参加者からの提出物を統合します。汎用目的型AIモデルのプロバイダーは、各策定ラウンドへの貢献のためにワークショップに招待され、本会議にも参加します。公表後、AIオフィスおよびAI委員会はその適切性を評価し、委員会は必要に応じて共通ルールを提供することがあります。
議会がワーキンググループを設置
ニュースメディアであるEuractivのEliza Gkritsi氏によると、欧州議会の2つの委員会(内部市場・消費者保護(IMCO)委員会および市民自由・司法・内務(LIBE)委員会)は、AI法の実施を監督するために共同ワーキンググループを設立しました。これは、EU議会議員たちによるAIオフィスの人員配置プロセスの透明性と市民社会の関与についての懸念に基づくものです。
ワーキンググループのアプローチ、メンバーシップ、会合の頻度については夏以降に決定される予定です。