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水質汚濁防止法の超基本を 銀河系一わかりやすく超解説(1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

環境法令解説シリーズ、今回は「水質汚濁防止法」について解説をします。非常に厳しい法律なのですが、誰が規制の対象で、どのような義務があるのでしょうか?初めての方でも全体像を理解できるよう解説します。

動画でも解説しています(無料・登録不要)

水質汚濁防止法の成り立ちとその目的

まず、水質汚濁防止法の成り立ちとその目的から見ていきましょう。

日本では1950年代後半から「高度成長期」に突入し、産業が急速に発展していきました。それに伴って、工場から大量の排水が海や川、湖などの公共用水域に流れ込むようになり、水質が著しく悪化してしまいました。これによって、水俣病やイタイイタイ病といった深刻な公害問題も引き起こされました。

このような状況を受けて、以前から「水質保全法」と「工場排水規制法」という工場排水を規制する法律が存在していたものの、その規制をさらに強化する必要に迫られました。そこで、従来の法律を改良するとともに、より厳しい規制を盛り込んだ「水質汚濁防止法」が1971年に施行されました。

この法律の目的は、工場や事業場から出る排水を適切に規制し、水質を清浄に保つことです。そして、これによって人々の健康を守り、私たちの生活環境を良好に保つことを目指しているのです。

水質汚濁防止法の対象者

次に、この法律を守るべき対象者について説明しましょう。

水質汚濁防止法の規制対象は、すべての業種・すべての工場というわけではありません。

基本的には「特定事業場」と呼ばれる施設であり、かつ「公共用水域に排水を行っている」場合に限定されます。

この「特定事業場」というのは、法律で定められた約100種類の「特定施設」(汚水や廃液を出す設備)を持つ工場やお店を指します。具体的には、電気めっき工場や、食品製造工場、旅館の厨房設備などが該当します。これらの施設を持ち、海や川、湖などに直接排水している工場や事業場が、この法律の規制対象になるということです。

逆に、どのような工場やお店が対象外かというと、公共用水域ではなく下水道に排出している事業者や、特定施設を持たない事業者は対象ではありません。ただし、下水道に排出をしている事業者は、下水道法を遵守しないといけません。(下水道法も水質汚濁防止法によく似た法律です)

「特定事業場」にはどのような義務があるか

では、この「特定事業場」にはどのような義務があるのでしょうか。

まず、特定施設を設置する際には、必ず都道府県に事前に届け出を行う必要があります。そして、排水を行う際には、法律で定められた基準を守らなければなりません。この基準を守るためには、排水口で定期的に水質を測定し、その結果を記録・保存する義務もあります。

さらに、排水基準は特定施設から出るものだけでなく、トイレや手洗い場から出る排水、さらには雨水なども含まれる場合があります。つまり、特定事業場から公共用水域に排出される排水は、原則としてすべてが規制の対象になります。

ただし、これらの排水が規制対象になるかどうかは例外もあり、具体的な状況によって異なるため、最も確実な方法は、都道府県に確認することです。

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