おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
EUのAI規制法案である"EU AI Act"に関して、9/30時点での最新情報を、かいつまんでお伝えします。(情報源は、The EU AI Act Newsletter #62です)。
100社以上がAIパクトの誓約を署名
欧州委員会は「AIパクト」に100者以上の署名があったことを発表しました。
AIパクトとは、欧州で作られた新しい法律"EU AI Act"(AI法)に備えるための活動です。EU AI法は、2024年3月に採択されましたが、法律の完全適用は約2年後を予定されています。それまでの間、EU AI法による規制の対象となる事業者が、この新しいAI法に早めに備えるようにするための活動が「AIパクト」です。
署名者には多国籍企業や様々な業界の中小企業が含まれます。署名者は、少なくとも3つの義務を負います。具体的には、①AI法への準拠を目指したAIガバナンス戦略の策定、②高リスクAIシステムのマッピング、そして③スタッフへのAIリテラシーの促進です。署名者の半数以上が、人間による監視の確保、リスクの軽減、特定のAI生成コンテンツの透明なラベル付けについても約束しました。
AI法が本格的に始まる前に、AIパクトに参加したい企業はまだ参加が可能です。また、AIパクトで決められた基本的な約束や追加の取り組みにも取り組むことができるようです。
「汎用目的型AIモデル行動規範」に対する400以上の提出
欧州委員会は、今後策定予定の「汎用目的型AIモデル行動規範」についての意見を集めるために行った相談会で、約430件の意見や提案を受け取りました。「汎用目的型AIモデル行動規範」とは、汎用目的型AIモデル(大規模データを用いてトレーニングされた汎用性を持つAIモデルのこと。ChatGPTなどが該当すると考えられる)の提供者に対するルールを詳細に規定したものです。
これらの意見や提案をもとに、2025年4月までに「汎用目的型AIモデル行動規範」を整備し、2025年8月1日から本格適用される見通しです。
主要な焦点分野には、透明性、著作権規則、リスク評価と軽減、内部ガバナンスが含まれます。また、世界中で約1000の組織や個人が、最初の「汎用目的型AIモデル行動規範」の策定に参加する意向を示しています。
MEP(欧州議会議員)が「汎用目的型AIモデル行動規範」のリーダー任命に疑問を呈す
Euractivの技術編集者エリザ・グクリツィ氏によると、3人の欧州議会議員が、「汎用目的型AIモデル行動規範」の起草における欧州委員会のリーダー任命プロセスに疑問を呈しています。
9月24日、委員会は、9月30日に予定されている最初の全体会議以外の詳細を提供せず、参加希望者に回答しました。MEPのアクセル・フォス、スヴェンヤ・ハーン、キム・ファン・スパーレンタクは、作業部会(後述)の議長と副議長の任命プロセス、特に国際的な専門知識に関して質問を提出しました。彼らは、月曜日の全体会議までに任命されるかどうか、また、短期間での成果をどのように確保するのかについての明確な説明を求めています。
作業部会の議長が発表される
AIオフィスは、最初の「汎用目的型AIモデル行動規範」を策定する4つの作業部会の議長および副議長を発表しました。これらの専門家は、コンピュータサイエンス、AIガバナンス、法学の多様なバックグラウンドを持ち、2024年10月から2025年4月まで選定作業を主導します。
選定基準には、専門知識、独立性、地理的多様性、ジェンダーバランスが重視されました。例えば、透明性と著作権に関する作業部会は、欧州著作権法とAIの透明性に詳しい専門家が共同で議長を務めます。4つの作業部会は、透明性、著作権、リスク評価、軽減策、汎用AI提供者の内部リスク管理を扱います。議長と副議長は、参加者からの意見をまとめ、2025年4月までに最終案を提示することを目指して議論を進めます。