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ISO45001:2018 10.1 規格が言う改善とは何か?何を目指して改善をするのか?

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO45001:2018各箇条解説シリーズ、箇条10.1「一般」の解説です。規格がいう「改善」とは何か、何をめざして改善をするのかという基本的な考え方についてお話します。

箇条10.1「一般」の位置づけ

まずは今日解説をする箇条10.1「一般」の位置づけを確認しましょう。

まず箇条4でシステムを確立し、箇条5ではトップマネジメントの役割を定めました。箇条6ではリスクや機会を特定し、目標を設定しました。その目標を達成するためのリソース確保やプロセスが箇条7と8で準備・実行されます。そして箇条9では、その結果をモニタリングして測定して、状態を分析・評価します。そして最後に箇条10では、その評価結果に基づいて改善を行います。

このように規格全体が連携して働いているのですが、その中で箇条10.1は、改善の基本的な考え方を示しています。

改善のネタは箇条9から出てくる

では箇条10.1の規格要求事項を見ていきましょう。とても短いです。

ここで最初に述べているのは、改善の機会を決定しましょう、ということです。そして改善の機会は、箇条9を参照しなさいと言っていますね。これはつまり、改善のネタは箇条9から出てくる、ということですね。

改善のネタは箇条9から出てくる、ということがどういうことかを、少し詳しく説明をしましょう。

目標への取組や、現場での安全衛生の具体的な取組、緊急事態への準備・対応などのアクションは、箇条9.1で監視・測定されます。例えば、労働安全衛生目標への取組がうまくいっているかどうかや、プロセスが基準どおりに運用されているかどうかを確認するんですが、その確認の結果から「ここは改善が必要だな」と判断されたら、それが改善の対象になる、というイメージです。

また内部監査の所見として、不適合や改善推奨事項が挙げられることがありますが、そうしたものも改善の対象になりますよね。

モニタリングなどの結果や、内部監査の結果は、マネジメントレビューで、経営者によってもチェックされます。そこで経営者が「これは改善すべきだな」と判断したら、そのアウトプットも改善の対象になりますね。

つまり、箇条10.1の最初の一文が言っているのは、こういう流れで改善のポイントが決まるから、それに応じて改善をしなさい、ということです。

何のために「改善」をするのか

箇条10.1の規格要求事項には、もう一つ気をつけたいポイントがあります。それは、「労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果を達成するために」と書かれている部分です。この一文は、いったい何を意味しているのでしょうか。

意図した成果とは何かについては、規格の序文である箇条0.2にヒントがあります。それは、「働く人の労働に関係する負傷及び疾病を防止すること」と「安全で健康的な職場を提供すること」です。この2つが労働安全衛生マネジメントシステム全体の目的であり、達成すべき成果として定義されています。

しかし、そもそもこの規格は「労働安全衛生マネジメントシステム」の規格なのですから、「意図した成果を達成するために」などとわざわざ書かなくても、健康や安全のために改善をするというのは当然のことではないか、と感じる方もいるかもしれません。

それでは、逆に考えてみましょう。「意図した成果の達成に結びつかない改善」とは、どのようなものでしょうか?例えば、手順書の誤字脱字を修正するだけのような改善はどうでしょうか。もちろん必要な作業ではありますが、それだけではケガや病気の防止には限定的な効果しか期待できません。このように、表面的・形式的な改善ではなく、働く人の健康や安全の向上に直接貢献する改善が求められているのです。

規格が「意図した成果を達成するために」とわざわざ明記しているのは、そのための改善なんだということを強調するためでしょうね。

「改善」の事例

今日の最後に、「改善の例」について解説をしましょう。ISO45001の附属書Aでは、改善の例が5つ挙げられています。それぞれ見ていきましょう。

まず1つ目は「是正処置」です。これは事故や問題が起きた後、その原因を取り除き再発を防ぐ対策です。例えば作業手順の見直しや、より安全な機器への切り替えなどが、是正処置に該当します。

次は「継続的改善」です。これは、日々の取り組みの中で少しずつ安全を高めていく方法です。例えば、毎年の安全目標の設定や、労働者の意見を取り入れての改善活動などがこれに該当します。

3つ目は「現状打破による変革」です。既存のやり方や考え方を根本的に見直すような改善のことをいいます。例えば、危険な作業を完全に自動化するなどですね。

そして4つ目の「革新」では、これまでにない新しい技術や新しい考え方を導入することを指します。例えばウェアラブルデバイスで労働者の体調をリアルタイムにモニタリングするといったことが「革新」に該当するでしょう。「現状打破による変革」と「革新」はよく似ていますが、革新はこれまでにない新しい技術や考え方を導入することだと考えると理解しやすいでしょう。

最後は「組織再編」です。これは、改善活動をスムーズに進めるための体制づくりのことを指します。労働安全衛生の専任部門を設置したり、役割や責任・権限の割当を見直すなどして、より良い改善ができる基礎を作る活動ですね。こうした取り組みを組み合わせることで、ケガや病気の防止をはかり、安全で健康的な職場を実現しなさい、というのが、箇条10.1の趣旨ですね。

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