おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018 各解説シリーズ、箇条10.2「インシデント・不適合及び是正処置」です。インシデントや不適合が起きた場合、具体的に何をすべきかを解説します。
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箇条10.2「インシデント・不適合及び是正処置」の位置づけ
まずは今日解説をする箇条10.2「インシデント・不適合及び是正処置」の位置づけを確認しましょう。
箇条4~9では、システムの構築、実施、運用、評価について求めています。そして箇条10では、運用結果をもとに、必要な改善を行うことを求めています。今日解説をする箇条10.2は、事故やルール違反などが起きた場合に、どうやって再発防止を図るかについて書いています。
インシデント・不適合とはなにか
インシデントとは何か、不適合とはなにかについておさらいをしておきましょう。
インシデントとは、規格の定義(3.35)によると「結果として負傷及び疾病(3.18)を生じた又は生じ得た、労働に起因する又は労働の過程での出来事」のことです。簡単にいうと、ケガや病気、そしてヒヤリハットのことです。
そして不適合の正確な定義(3.34)は「要求事項を満たしていないこと。」ですが、要はルール違反のことです。ここでいうルールとは、ISOの規格要求事項のほか、社内で決めたルールや顧客が決めたルール、そして労働安全衛生法令などがあります。こうしたルールに対する違反が見つかった場合は「不適合」ですね。
そしてインシデントや不適合が起きたときは、修正と原因分析をして、それが二度と起きないようにするための是正処置(再発防止策)を取ることになります。
インシデントがあった場合のプロセス
では規格要求事項を見ていきましょう。この規格要求事項はボリュームがあるので、小分けにして解説をします。最初の一文ですが、要は、インシデントや不適合があった場合のプロセスを作って運用しろということです。
では、ここでいう「プロセス」とは具体的にどういうものか、例を見ていただきましょう。
まずはインシデントへの対応プロセスの例です。
現場で転倒事故が発生したとします。。まずは、けがをした人を安全な場所に移動させるなど、「避難・救護」を最優先で行います。同時に、他の人が同じように転ばないようにするために、床を拭いたり、「ここは入らないでください」と注意を呼びかけたりといった「修正」を行います。その次に、この転倒事故をインシデントとして扱うかどうかを「決定」し、上司や総括安全衛生管理者などに「報告」します。そのあと、事故が起きた理由を詳しく調べて、「同じ事故を起こさないためにどうするか」という是正処置を考えます。これは、安全衛生委員会の調査審議事項にもなっていますね。そして、事故の程度にもよりますが、労基署に対し、労働者死傷病報告や「労働災害再発防止対策報告書」などの提出を行います。最後に、事故を防ぐための対策を実際に現場で行い、それがうまくいったかどうかを確認します。これが、インシデント対応プロセスの一例ですね。
不適合があった場合のプロセス
では、不適合(ルール違反)への対応プロセスについても見てみましょう。
たとえば、内部監査中に、フォークリフト作業エリアで「一旦停止しなければならない」というルールを守らない作業者を、いろんな場所で何度も見つけた場合を考えます。まず、その日の夕礼などで、ルールを守るよう再周知するといった「修正」を行います。次に、この出来事が「不適合」として扱われるべきかどうかを「決定」します。不適合だと判断された場合は、そのことを現場の管理者や総括安全衛生管理者などに「報告」します。そして、ルール違反が起きた原因などを詳しく「調査」し、その結果をもとに「同じ違反を起こさないためにどうするか」という是正処置を考えます。考えた対策は、実際に現場で「実行」し、しっかり効果を確認します。これが不適合対応プロセスの一例です。
このようなプロセスを作って運用しなさいと、規格の最初の一文は言っているのですね。