おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
新たな経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算が成立しました。これに伴い、12月18日に新しい「ものづくり補助金」の概要が中小企業庁から公開されました。
令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要
基本要件等が未達の場合、補助金返還義務
注目すべき点として「基本要件等が未達の場合、補助金返還義務」という記述があります。基本要件とは以下のものです。
以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画書の策定及び実行
①付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
② 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
※最低賃金引上げ特例適用事業者の場合、基本要件は①、②、④のみとする。
②と③は従来も補助金返還義務がありましたが、今回から①付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加も未達の場合は補助金を返還しないといけないと読むことができます。
④もあたらしい基本要件です。厚労省のホームページによると、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画とは以下のとおりです。
一般事業主行動計画(以下「行動計画」)とは、次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。
従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられています。
収益納付は求めない
「収益納付は求めない」という記述があります。これは単なる要件緩和ではなく、上記のように、基本要件遵守が厳格化されたことによるものと考えられます。
省力化(オーダーメイド)枠が廃止に
17次・18次公募で募集があった省力化(オーダーメイド)枠の記述がなく、製品・サービス高付加価値化枠とグローバル枠しか募集がないようです。おそらく省力化(オーダーメイド)枠は廃止になるのだと思われます。
17次・18次公募の製品・サービス高付加価値化枠では、革新的な新製品や新サービスの開発が必須でした。既存製品の生産プロセス見直しは対象ではありません。
17次・18次公募では、さらに特化した類型がありました。DX類型では、新製品や新サービスに、AI、IoT、センサー、デジタル技術を活用した遠隔操作、自動制御、プロセスの可視化などの機能が必要です。GX類型は、グリーン成長戦略実行計画14分野の課題解決に貢献する内容が必要です。また、この3つの類型はすべて、新たに開発する製品の売上が、3~5年で全社売上の10%以上になるような事業計画の策定が求められます。
おそらく省力化(オーダーメイド)枠がなくなったのは、省力化に関する補助は「省力化補助金」に一本化するためではないでしょうか。もしくは、革新的取り組みだと謳いながらも、その実際は古い設備の更新にこの補助金を当てるという申請者やそれを唆すコンサルへの対策という側面もあるかもしれません。
いずれにしても、ものづくり補助金が更に高いハードルになり、広くあまねく使えるものでなくなることは疑いないでしょう。