おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018 各解説シリーズ、今日は箇条10.3「継続的改善」を解説をします。継続的改善とはなにか、継続的改善はどのように行うべきかを具体的なイメージがわくように解説します。
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箇条10.3「継続的改善」の位置づけ
まずは今日解説をする箇条10.3「継続的改善」の位置づけを確認しましょう。
箇条4~9では、システムの構築、実施、運用、評価について求めています。そして箇条10では、運用結果をもとに、必要な改善を行うことを求めています。今日解説をする箇条10.3は、パフォーマンス向上のために継続的に改善をしましょうと述べています。
そもそも何のために継続的改善が必要なのか
この箇条は「継続的改善」についての要求事項ですが、そもそも何のために継続的改善が必要なのでしょうか。継続的改善は、パフォーマンスの向上のために行われます。ここでいうパフォーマンスとは、例えば「労災件数削減」や「喫煙者数減少」のように、労働安全衛生マネジメントシステムを運用した成果や結果のことを指します。こうしたパフォーマンス向上を目的として、地道に小さな改善を積み重ね、着実にステップアップしていくことが求められます。
ところで、ISO45001のいう「継続的改善」は、右肩上がりに一直線でパフォーマンスを向上させるものではありません。この図のように、改善の取り組みを続ける中では、停滞したり後退したりと、時には思うように成果が出ないこともあります。そのような時でも、結果を振り返って、うまくいかなかった原因を分析して、次の改善に活かして結果につなげていくことを、規格は求めています。つまりすべてを、同時に、右肩上がりに向上させていくのではなく、優先順位をつけて、小さな改善を積み重ね、成果が出た部分は維持しながら、次の課題に取り組むということが、ここでいう「継続的改善」なのですね。
継続的改善では何を改善するのか
では、継続的改善では何を改善するのでしょうか?中心となる改善の対象は**「プロセス」です**。例えば、料理をするプロセスを考えてみましょう。材料(インプット)を準備し、それを切る、焼く、煮込む、味付けするという一連のプロセスを経て、料理というアウトプットが生まれます。この場合、「早い」「安い」「旨い」といったことがパフォーマンス指標になります。こうしたパフォーマンスを向上させるには、調理方法や工程といったプロセスの改善が中心になるかと思いますね。もちろん、インプットの改善やアウトプットの改善もあるでしょうけどね。
同じことが労働安全衛生マネジメントシステムにも当てはまります。例えば、労災件数削減というパフォーマンス向上を目指す場合、過去の事故・災害の記録やヒヤリハットの報告といったデータをインプットとして活用し、教育訓練の内容や頻度を見直したり、安全パトロールの重点を変えたり、危険源の特定方法やリスクアセスメントの手法を改善するといったプロセスの改善を積み重ねていくことになるでしょう。そして、改善後の労災件数の変化をモニタリングし、その結果(アウトプット)を次の改善につなげることで、さらにパフォーマンス向上が期待できるのです。「継続的改善」は、こうしたプロセスの改善を促すためのプロセス、といえるでしょう。
次回は継続的改善プロセスの説明をして、その後に規格要求事項について解説をします。