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【ISO 9001:2026最新情報】CD2(委員会草案)が差し戻し?

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO/TC176/SC2(ISO9001の改定作業の中心となっている委員会)や、IRCA(マネジメントシステム審査員の国際登録機関)が、最新の改訂状況を公開しました。CD2(第二次委員会草案)が差し戻しになったということですが、改訂作業はちゃんと進んでいるのでしょうか?

IRCA(マネジメントシステム審査員の国際登録機関)によるISO9001:2026改訂最新状況

3月25日、IRCA(マネジメントシステム審査員の国際登録機関)が次のような情報を更新しました。

◆NEW◆ISO/CD 9001.2 は 3月18日に再度差し戻しとなりました。
2025年1月17日から協議が始まっていた ISO 9001 の2度目のCD ISO/CD 9001.2 のコメント募集が3月15日に締め切られ、3月18日には再度作業部会への再度差し戻しが決定しました。今後、再度 CD が修正されたのち、協議に掛けられます。

確かに「再度差し戻し」と書いていますね。

「差し戻し」に慌ててしまいそうですが、実はごく普通の段取りです。ISOの公式ホームページにおけるISO9001の現在の改訂状況によると、2026年に発行予定の新版ISO 9001は「ステージ30.92」に位置していることがわかります。

ISO規格の改訂は大きく8つのステージに分かれています。企画段階(00)から提案(10)、準備(20)、委員会草案(30)、照会ドラフト(40)、最終承認(50)、発行(60)、そして一定期間ごとに見直しを行うレビュー(90)へと進みます。各ステージにはさらに細かいサブステージがあり、「30.00」「30.20」「30.92」のように細かく進捗を管理しています。現在の状況である「30.92」はCD referred back to Working Groupとあり、これが「作業部会への差し戻し」というステータスです。「差し戻し」という言葉だけを聞くと「なんだか後戻りしたのでは?」と感じるかもしれませんが、この図からもわかるように、規格化の標準的なプロセスの一つになっています。

このロードマップ上の「30.92」は 、必ず全ての規格改訂が通過するわけではありませんが、標準化プロセスには、あらかじめ「必要に応じてドラフトを戻して再検討する」ためのサブステージが用意されており、その一つが30.92のようですね。ここからは推測ですが、ISO9001:2026の改訂では、CD2に対して膨大かつ多岐にわたるコメントが3月15日までに寄せられたため、WG(作業部会)がそれらをしっかり反映する必要が生じ、3月18日にこの「30.92」で一旦ドラフトを作業部会に戻して再調整しているのではないかと推測します。

ISO/TC176/SC2(ISO9001の改訂作業の中心となっている委員会)の公式情報

ISO9001の最新改訂状況については、4月8日にISO/TC176/SC2も公式なアップデート情報を公開しています。

これによると、差し戻しの決定が3月18日に行われたあと、今年の3月31日~4月4日に、40か国以上から50名を超える専門家がパリに集い、ISO 9001の改訂作業を進めています。この会合が、まさに差し戻しされた先のWorking Group(WG29)でした。このWG29では、各国から寄せられた「運用と管理」「インフラ」「組織的知識」「事業継続」「倫理」など主要トピックに関するコメントを精力的に検討した、と委員会のホームページは伝えています。

さらに委員会のページでは、この会合の後は、次の大きな節目として「Draft International Standard(DIS)」の公開が予定されている、と書いていますね。DISとは「国際規格草案」のことで、この段階にまで進むと、規格の改訂案が世界中に公開され、さらに多くの人が意見を提出できるようになります。こうして関係者の声を収集し、議論に反映させることで、最終段階の規格内容をより充実することを狙いとしています。

というわけで、差し戻しのされたあとの委員会で3月31日~4月4日に議論がなされた、という順序になっています。ISO/TC176/SC2公式サイトにも「重大なトラブルが起きた」という記述は一切ありませんので、今のところ(外野の我々が伺い知れる範囲としては)規格の改訂はそれなりに予定通りに進んでいると解釈してもよさそうです。

なおオーストリアの第三者認証機関であるQuality Austriaは、国際標準草案(DIS)は2025年の第3四半期(7月~9月)頃に公開されるのではないかと見ているようです。

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