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株式会社マネジメントオフィスいまむら

下請法の改正が可決・成立しました

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

5月16日に参議院本会議で、下請法の改正が可決・成立しました。どういう改正があったかを簡単にまとめます。

下請法の改正についての中小企業庁の告知

今回の大まかな改正点

 

まず、今回の改正で何が変わるかというと、大きく5つのポイントです。

  • 代金額の一方的決定を禁止:発注側が「協議もせずにこの金額でいいだろう」という行為を全面禁止。必要な説明も情報提供もしないまま代金を決められないようになります。
  • 手形払いなど“回収リスク”のある支払手段の禁止:約束手形はもちろん、電子記録債権やファクタリングなど、期日までにお金が入ってこない支払い方法はNG。現金払いか振込で、確実に代金が回る仕組みになります。
  • 運送委託も規制対象に追加:いわゆる荷主と運送業者の関係も、「下請取引」の一つとして保護。運賃を低く抑えすぎて無償で荷役を強要される事例が見られたため、その改善が狙いです。
  • 適用基準に従業員数を追加:これまでは資本金のみで「中小」が判断されていましたが、従業員数300人以下(役務提供は100人以下)という基準も設け、不正な資本金操作による適用逃れを防ぎます。
  • 行政のチェック・指導を強化:関係省庁が横断的に連携し、指導・助言や情報共有を行いやすく。改善が見られない事業者には、より踏み込んだ具体的措置を示せるようになります。
  • 用語もリニューアル:「下請事業者」は「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」に。

法律名も変更に

従来の「下請代金支払遅延等防止法」と「下請中小企業振興法の一部を改正する法律」が、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」と「受託中小企業振興法」に変更となります。法律名は長くなりますが、主従関係のイメージをなくす工夫がされているようです。

法改正の背景と関係者の談話

今回の改正の背景として、中小企業庁の調査で「価格転嫁率」が2024年9月時点で約50%しかなかったことや、発注側がコスト増分を受注側に押し付ける構造への問題意識があったようです。ここを正す(厳しくする)ことで、中小受託事業者が賃上げの原資をしっかり確保できる環境を整えようというわけです。

なおこの改正に対して、連合(日本労働組合総連合会)も「持続的な賃上げにつながる環境整備」として歓迎のコメント。政府が掲げる「最低賃金全国平均1500円」目標との相乗効果にも期待がかけられると話していますね。確かに今回の改正は「取引の公正化」と「中小事業者の賃金アップ支援」を両立させる狙いがありました。サプライチェーン全体でフェアな価格形成を進めつつ、働く人の所得底上げにもつなげる──そんなイメージですね。2026年1月の施行までに、実務現場での具体的運用ルールがどう整備されるか、引き続き注目しておきましょう。

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