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株式会社マネジメントオフィスいまむら

2025年版 中小企業白書をざっと読む(第2部第1章)(2)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

4月25日に2025年版 中小企業白書が公開されました。白書は中小企業の現状を浮き彫りにするものですが、同時に、政策立案の根拠となるものでもあります。今回は第2部第1章をざっくりと読んでいきたいと思います。

2025年版「中小企業白書」はこちら

です。

前回までの記事はこちら

2025年版 中小企業白書をざっと読む(第1部)(1)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ちょっと出遅れましたが、4月25日に2025年版 中小企業白書が公開されました。白書は中小企業の現状を浮き彫りにするものですが、同時に ...

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2025年版 中小企業白書をざっと読む(第1部)(2)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ちょっと出遅れましたが、4月25日に2025年版 中小企業白書が公開されました。白書は中小企業の現状を浮き彫りにするものですが、同時に ...

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2025年版 中小企業白書をざっと読む(第1部)(3)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ちょっと出遅れましたが、4月25日に2025年版 中小企業白書が公開されました。白書は中小企業の現状を浮き彫りにするものですが、同時に ...

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2025年版 中小企業白書をざっと読む(第2部第1章)(1)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 4月25日に2025年版 中小企業白書が公開されました。白書は中小企業の現状を浮き彫りにするものですが、同時に、政策立案の根拠となるも ...

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4. 経営の透明性・開放性

従業員への情報開示や業務の脱属人化、経営状態を可視化できる管理体制を「透明性」、社外への情報開示や相談を「開放性」と定義し分析しています。

要点は以下の通りです(NotebookLMによるAI要約です)

組織運営の透明性: 「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」といった組織運営の透明化への取り組みは、従業員規模が大きい事業者ほど進んでいる傾向があります。これらの取り組みは、従業員の主体性を高め、改善・効率化を促し、付加価値額の向上につながる可能性が示されています。業務の属人化からの脱却は、ボトルネックの削減や標準化による効率向上に寄与すると考えられます。

これも経営のセオリーと言われているのだけれども、ダニエル・カーネマンの名著「ファストアンドスロー」の中で、ビジョナリーカンパニーの限界について統計的事実から触れられているように、理念やビジョンの共有は万能ではありませんね。

このあたりの章は、中堅企業への支援を正当化するために書かれているのですが、読み手の我々としては相関と因果関係を混同しないように注意したいところです。相関があるからといって、規模の大きい企業になるための必要十分条件では決してありませんからね。

経営管理の透明性: 「製品・商品・サービスの原価構成・利益の把握」、「業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理」といった経営管理の透明化にも多くの事業者が取り組んでいます。原価構成・利益の把握は適切な価格転嫁に、業績・キャッシュフロー管理は収益性の向上につながる可能性が示唆されています。

一般論としてはそうですが、これは業種や提供している製品の形態などにもよります。下請け中小企業とかだと、原価管理をやっても、結局のところ原低につながるのは品質を高めるところに集約される、みたいなことがあります。管理工数を増やすことは負担につながるので、利点ばかりではないことに留意が必要ですね。

経営の開放性: 「決算情報の社外開示」には約6割、「社外への経営課題の共有・相談」には約半数の事業者が取り組んでいます。社外への情報開示は社内状況の論理的・正確な説明を促し、経営管理の透明性向上や収益性改善につながる可能性があります。社外への経営課題の共有・相談は、課題解決や成長につながる可能性が見られます。

決算情報の社外開示って6割くらいなんだ。決算公告は義務じゃないの?という気もしますが(まあ個人事業主は義務じゃないんですけど)。

5. ガバナンス体制と透明性・開放性

要点は以下の通りです(NotebookLMによるAI要約です)

企業類型(同族企業、パブリック企業、所有と経営の分離企業)別に分析すると、「同族企業」は他の類型に比べて取締役会の設置状況や社外取締役の登用状況といったガバナンス体制の構築に取り組む割合が低いことが分かります。しかし、ガバナンス体制を構築している企業ほど経営の透明性向上への取り組みが進んでおり、ガバナンス体制の構築が透明性向上の必要性を高め、取り組みを促進していると考えられます。

その代わり同族企業には「統治の正統性」がプリインストールされてますからね。どの形態がよいとか悪いとかいう話ではなく、その会社のガバナンスに最も適した形は、その会社が決めるしかない、という話だと個人的には思っています。

「同族企業」においても、取締役会や社外取締役といった外部の視点を取り入れている企業では、「財務内容の健全化」や「部門・製品別のコスト管理」など、成長やリスク管理に重要な財務戦略に取り組む割合が高い傾向が見られます。

うーん、しかし中小企業白書はいろいろと勉強になるデータがあるんだけど、相関と因果をゴチャゴチャにして結論を導こうというような印象が強いなあ。昔からこうだったっけ……?

  • B!

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