おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISOマネジメントシステムでもあまり語られることのない「機会」についてお話したいと思います。2回目の今回は、機会を活かす事例を使って、機会とはどういうものかを解説します。
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前回までの記事はこちら
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待つだけはNG!ISOの「機会」は自ら動いて成果を出す(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISOマネジメントシステムでもあまり語られることのない「機会」についてお話したいと思います。機会とはそもそも何なのか、そして機会をどう ...
事例1.製造現場で新設備を導入
一つ目の事例は、製造現場で新設備を導入するというものです。ある機械加工業の現場で、設備の剛性が低いために加工中に振動が出て、寸法にバラつきが出るという問題があり、悩んでいました。
しかし設備商社からの提案を受けて、剛性の高い新型加工機の情報をキャッチしました。「この新型機なら振動が抑えられるかも」という情報を得た品質管理部門は、この「新型機の発売」を機会と捉え、経営層に提案しました。投資の結果、不良率が3%から0.5%に激減。再加工コストが減って納期も安定した、という話です。
さらにこの会社では、これを一回で終わらせず、月1回の品質会議で「新技術情報の収集」を定例議題としました。こうして「仕組み」にすることで、継続的に改善の機会を探せるようにした、という例ですね。
事例2.データ分析による不良の未然防止
次の事例は、データ分析による不良の未然防止の話です。
あるメーカーの品質保証部門では、過去の不良データをたくさんためていました。でも、どう分析すればいいか悩んでいました。ある時「生成AIを使って、過去の不良データが簡単に分析できるらしいよ」という情報をキャッチしました。
品証は、この「生成AIによる不良分析」を機会と捉えて、さっそく試してみました。するとAIが「この製品は、夏場に寸法不良が出やすい」という傾向を予測しました。そこで工場では、夏前に設備温度管理を強化する対策を講じ、実際に不良の発生を防ぐことができました。そしてAIによる分析を正規の分析方法として採用し、定期的に実施するよう仕組み化しました。
この事例は、ISO9001の旧規格にあった「予防処置」の考え方を発展させたものです。機会を使って、今後起きるかもしれない未来の不具合に対して、先回りして手を打つ、というところまで含んでいるのが、「機会」の考え方なのです。